面ファスナー(マジックテープ)のHSコード
面ファスナーはフック上に起毛された側とループ状に密集して起毛された側を押し付けて貼り合わせることが出来るようになっているファスナーです。英語ではhook-and-loop fastenerと呼ばれることもあるようです。日本ではマジックテープと呼ばれていますが、これはクラレの商標です。また、海外ではVelcroと呼ばれていますがこれも商標です。
面ファスナーは基本的にフープ状又はフック状のパイルを有する織物で、かつ幅が30cm以下の「細幅織物」に該当するため、第5806.10号(パイル織物(テリータオル地その他のテリー織物含む。)及びシェニール織物)に分類されると考えられます。米国の事前教示回答の例をみても、5806.10となっています。
グーグルのAIのGeminiに聞いてみると、Velcroは材料や形状により39類や63類に分類される可能性はあるが、原則としては5806.10ということでした。また、Country Specificsとして、「While the first 6 digits (e.g., 5806.10) are international, the remaining digits (8 or 10 digits total) vary by country (e.g., HTSUS in the US or HSN in India).」とされており、細幅織物として第58.06項に分類されるのが国際標準のようです。
ところが、日本の事前教示回答をみると、面ファスナーは第9606.10号に分類されています。第96.06項は、「ボタン、プレスファスナー、スナップファスナー及びプレススタッド並びにこれらの部分品(ボタンモールドを含む。)並びにボタンのブランク」となっており、第9606.10号は「プレスファスナー、スナップファスナー及びプレススタッド並びにこれらの部分品」となっています。
日本の税関としては、面ファスナーは押して(プレスして)留めることから、第96.06項のプレスファスナーに該当するという解釈のようです。私が税関に勤務していた時からこの分類は間違っていると分類担当者に言ってきたのですが、長年続いているので簡単には分類変更はできないようです。
第96.09項の関税率表解説を見ると、下記のように記載されています。
(B)プレスファスナー、スナップファスナー及びプレススタッド:これらは二以上の部分から成り、スナップ機構により作用する。このようなファスナー及びスタッドは、衣服等に縫い付けるように作ることもあり、リベットによって取り付ける(例えば、手袋用のプレススタッド)こともある。
プレスファスナー及びこれに類するものは、それらの分離した部分が細いテープの帯の上に取り付けてある場合にもこの項に属する。
ここでは、スナップ機構により作用すると明示されていますので、繊維のフックとループで留めるような機構は想定されていないと考えられます。
プレスファスナーは、「Goong.com – 新世代の辞書」では、「プレスファスナーは、衣類や布製品などで用いられる、簡単に開閉できる留め具の一種です。一般的には、金属やプラスチック製で、2つの部分から構成されています。一方の部分が突起状になっていて、もう一方の部分にはその突起を受け入れる凹みがあります。押すことで簡単に留めることができ、再度押すことで外すこともできます。これにより、布製品の開閉がスムーズになり、特に赤ちゃん用の服や運動用品に多く用いられます。」とされています。スナップファスナー及びプレススタッドも同種の製品と考えられます。
Wikipediaの英語版では、プレスファスナーはスナップファスナーの項目の中で解説されいます。その中で、「They were also adopted for use with law enforcement holsters and their myriad accessories for similar reasons – replaced in both fields largely by hook and loop fasteners in recent decades.」(プレスファスナー等は法執行のホルスター(拳銃などの銃器を安全に携行するための専用ケース)に採用されてきたが、ここ数十年で面ファスナーに置き換えられた。」と記載されており、プレスファスナーと面ファスナーは別物と考えられていると思われます。
面ファスナーは、海外向け(対比表の原材料表のHSコードを含む。)では、第58.06項を、日本向けでは第9606.10号で申告するのが無難と考えられます。幸いにして、第5606.10号と第9606.10号の日本の輸入関税率は一般特恵税率と中国からのRCERP税率を除き同一です。
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