HSコードHS codeHS番号)は、HS品目表につけられた番号のことです。HS品目表は世界税関機構WCO)が作成した国際的な商品分類表で、「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約(International Convention on the Harmonized Commodity Description and Coding System:HS条約)」の附属書です。この条約により、各締約国は、HS品目表を用いて
(イ) 関税率表
(ロ) 貿易統計品目表
を編纂することを義務付けられています。
 HSは現在200以上の国・地域で採用されており、世界貿易の98%以上をカバーしています。(締約国は159か国、1経済同盟(EU):2020年10月1日現在)
 HSコードは一般に、このHS品目表に従い分類された、2桁()、4桁()及び6桁()の番号を言います。慣習的に、この下に付けられた各国独自の番号を含めて言うこともあります。 
 個々の物品に、HS品目表の規定に従って各国の関税率表のHSコード(関税率表の番号)を付けていくことを関税分類と言います。

目次

  1. HS条約及びHS品目表の特徴
  2. HS品目表の構成及び番号の付け方
  3. 関税分類の統一的適用を図るための条約上の規定
  4. HS品目表に関する日本の法体系
  5. WCO統一システム委員会(HS委員会)
  6. HS品目表開発の歴史

HS条約及びHS品目表の特徴

 HS条約及びHS品目表は以下のような特徴を有しています。

  • 条約の正文は英語(イギリス英語)及び仏語
     各国はそれぞれの国の言葉に翻訳して利用している。米国では、アメリカ英語に修正して使用(HTS Code)。
  • ありとあらゆる有形の商品が単一の項目に分類できるような品目表である。 (人間、遺体は商品ではないので分類項目はないが、商品である人髪(0501項)、人血(30.02項)は分類項目がある。また、空気の項目はないが、圧縮空気(28.53項)の項はある。)
  • 無形の商品としては「電力(27.16項)」の項がある。(任意採用の項、わが国は採用していない。)
  • HS品目表はあくまでも商品の分類表であって、学術的な分類表ではない。(品目表の一部では、学術的な分類に従って分類されている項目(例えば魚類)があるが、あくまでも統一的な分類を確保する目的であり、学術的な分類を行うことを意図したものではない。)
  • 関税及び貿易統計編纂のためばかりではなく、貿易の際の再分類をできる限り回避する目的で、保険、輸送等の目的にも利用することを意図して編纂された。
  • 世界各国がHSを基に貿易統計品目表を編纂しているので各国の貿易統計の比較ができる。 また、国連統計局の国際貿易商品分類SITC)と完全に関連付けられており、貿易統計を分析する者の便宜が図られている。
  • 貿易統計の比較を容易にするために、貿易統計計上の際に共通の数量単位を使用することを勧告している。
  • HS番号を指定することによって、貿易交渉を行う対象商品が明確になり、交渉相手国との貿易金額も分かるので国際的な関税交渉、EPA(FTA)等の交渉が容易になる。
  • 国際条約(化学兵器禁止、麻薬の不正取引の防止に関する条約、バーゼル条約、モントリオール議定書等)の規制の実効性を確保するための細分が設けられており、規制対象物品の貿易額がモニターできる。詳しくはこちら
  • WCOではHS分類が輸出国と輸入国で統一的な分類が行われるようにインボイスにHS番号を記載することを勧告している。

HS品目表の構成及び番号の付け方

国際貿易で取引される物品を系統的に配列

 品目表の最初の方に原料品を、後ろの方に加工度の高い製品が分類されるように配置されています。
 例えば、最初に動物(第1類)、次に動物の肉(第2類)、その次に肉の調製品(第16類)が分類されるように配置されています。
 同じ製品のグループでは、まず、一次製品を最初に配置し、加工度が上がるにつれて最後の方に分類されるように構成されています。例えば綿製品では、綿花(第52.01項~第52.03項)を最初に配置し、次に綿糸(第52.04項~52.07項)、その次に綿織物(52.08項~52.11項)が分類されます。綿織物よりさらに加工された綿製品は、それより後の番号(第56類~第63類)に分類されます。

部、類、節、項、号の順に細分化

  • :商品のカテゴリーごとに21の部に大きく分けています。 
    • 第3部(動物性・植物性油脂等)のように1部の中に1つの類(15類)しかないものから、11部(繊維製品)のように、14の類(第50類~第63類)からなる大きな部もあります。
  • :部の下に第1類から第97類までの96の類がある。 HS番号の上2桁の番号が相当します。
    • 第77類は欠番(将来の新規商品のために留保している。)
    • 第98類、第99類は各国が自由に使用できることとなっている。
      (我が国では、少額の無条件免税貨物(98類)及び簡易税率適用貨物(99類)のNACCS申告用のコードとして利用している。)
  • :類によっては、類の中の小分類として節が設けられています。  
      例:第28類(無機化合物)、第29類(有機化合物)、第39類(プラスチック)、第69類(陶磁製品)、第63類(その他の繊維製品)、第71類(真珠・貴金属・貴石・身辺細貨・貨幣)、第72類(鉄鋼)
  • :類の下に1,222の項がある。HS番号の上4桁の番号です。
  • :項の下に5,387の号がある。HS番号の上6桁の番号です。号までがHS条約上の番号となります。

    (注)2017年版HSの場合。日本は任意の項である電力(第27.16項)採用していないので、1,221の項、5,386の号からなる。

各国は号の下に細分を自由に設定できる

 国際条約で決まっているのは、号(上6桁)迄です。その下に各国は自由に細分を設定できます。
 わが国では、号の下に3桁の統計細分を設けています。
 国内細分については、輸出・輸入共に共通の細分を設けている国もありますが、我が国では輸出統計品目表と輸入統計品目表は別々に作成されています。
 NACCSで輸出入申告を行う際には、さらに1桁のNACCS符号を追加し、合計10桁の番号で申告を行います。NACCS符号は通常はチェックデジットとなっていますが、関税協会発行の「実行関税率表」ではNACCS符号のところに「†」の付いている場合があります。これは何らかの理由で一つの統計品目番号の中に複数の税率があり、その税率を区分するためなどの理由により、複数のNACCS符号が割り当てられていることを示します。
 他の国では、2桁から4桁の細分を設けている場合が多いようです。

HSコードの事例

 下記の事例は、絹製のネクタイ(表地が絹のみからなるもの。)のHSコードです。
 第62.15項はネクタイを分類する項です。このうち、絹製のものは第6215.10号に分類されます。
 また、日本の輸入統計品目表では、表地が絹のみからなるものは6215.10-010に分類されます。「010」は日本独自の統計細分です。

ネクタイのHS番号
我が国のHS番号の事例

関税分類の統一的適用を図るための条約上の規定

冒頭に「HS品目表の解釈に関する通則」を配置

 「HS品目表の解釈に関する通則(以下「通則」という。)」はHS分類の原則を記述したものです。HS品目表の分類はこの通則に基づき行われます。

部注、類注、号注で項及び号の規定を補足

 部及び類に共通する分類上の規定を設ける場合や、項、号の規定だけでは分類の詳細を規定することが出来ない場合、部注、類注、号注が置かれています。実際にHS分類を行う際には、分類を行う物品に関し、これらの注に関係する規定がないかどうか、検討することが必要です。

  • 部注:部の分類に関する注。第11部(繊維製品)、第15部(非金属製品)、第16部(機械・電気器)には、詳細な部注がある。
  • 類注:類の分類に関する注。特定の項の分類に関するものもある。
  • 号注:号の分類に関する注

 HS品目表が法的にどのように我が国の関税率表等に反映しているか、法律、通達等のレベルまで解説していきます。

関税率表と統計品目表

 HS品目表はHS条約の付属書ですので、条約の一部を構成するものであることから、その規定を「legal text」ということがあります。
 この附属書を基に、関税定率法別表として「関税率表」が定められています。
 関税暫定措置法の暫定税率特恵税率等も関税率表別表の番号を引用する形で制定されています。
 また、輸出統計品目表及び輸入統計品目表は財務省告示で定められています。
 これらは全てHS品目表を基に作成されています。
 関税定率表別表、関税暫定措置法別表1(暫定税率)、同法別表2(農水産品の特恵税率)及びその他の規定、WTO協定の日本国の譲許表、輸入統計品目表を一つの表にまとめて、輸入申告の際に便利に活用できるようにしたものが実行関税率表となります。

WTO譲許表及びEPA(FTA)の譲許表

 WTOの我が国を含めた各国の譲許表は、HS品目表を基に作成されています。
 譲許表とは、外国との協定により約束した関税率の表のことです。
 我が国が締結した経済連携協定(EPA)の譲許表及び原産地の品目別規則はHS品目表に従い作成されています。

関税率表解説と関税分類例規

 WCOでは、HS品目表の運用の統一を図るため、その品目表の公式の解釈をまとめた「Explanatory Notes」と分類事例をまとめた「Classification Opinions」を出しています。これらは、WCOの勧告という位置づけですので、強制力は持ちませんが、実質的には各国を拘束するものです。
 「Explanatory Notes」と「Classification Opinions」は、HS委員会の討議結果をもとに随時改訂しています。
 日本では日本語に翻訳して「Explanatory Notes」を「関税率表解説」、「Classification Opinions」を「国際分類例規」として関税局長通達としています。
 「国内分類例規」は、日本独自の関税分類事例や分類を行うための規則を定めたものとなっており、これも関税局通達となります。各国でも、日本の国内分類例規に相当する通達が出されている場合が多いので、必要に応じ参照すると良いと思います。

関税分類事前教示事例

 税関ホームページに、関税分類の事前教示の事例が掲載されています。
 関税分類の事前教示は関税局長通達により取得から3年間、税関はその分類を尊重することとなっています。
 第三者にとっては法的な意味はありませんが、自社の商品と類似の商品の分類事例が掲載されていれば、HS番号決定の際の参考になります。
 主要国では、日本と同様に拘束力のある事前教示制度が採用されています。

WCO統一システム委員会(HS委員会)

 HS条約により、WCOに締約国等の代表からなるHS委員会(統一システム委員会:Harmonized System Committee)が設置されています。HS委員会においては、締約国は1票の投票権を持ちます。ただし、関税同盟又は経済同盟は全体として1票の投票権しかないとされており、EUは全体として1票で、EU加盟国には投票権がありません。
 HS委員会の主な任務は次のとおりです。

  • HS品目表の改正の提案(5年に1度程度)
  • HSの解説書、分類に関する意見書を起案すること
  • HSの解釈及び適用を確保するための勧告(例:品目分類に関する事前教示)を起案すること
  • 関税分類に関する紛争が当事者国間で解決できないとき、紛争当事国はHS委員会に付託し、HS委員会はその解決のための勧告を行う。 (民間企業は直接WCOに分類に関する質問を行うことができない。)

HS分類統一のための施策

 例えば、A国とB国である物品についてHS分類の不統一があった場合、まずは、当事国同士の協議に委ねられることとなっています。
 当事国間での協議で決着がつかない場合、HS委員会での検討を依頼することが出来ます。
 また、WCOの事務局として物品の分類についてHS委員会での検討を行うべきと判断した場合も、HS委員会での検討が行われることがあります。
 HS委員会での分類決定は、基本的には出席国(EUは全体で1票)の多数決で決定されます。その際、分類の統一を図るため、次のような対応が行われます。

  • リーガルテキスト(部注、類注、号注、項、号のテキスト)の改正
    リーガルテキストの改正は5年に1回であることから、改正までの分類の統一を図るために、Explanatory Notesの改正又はClassification Opinionsの追加を行うことも多い。
  • Explanatory Notesの改正
  • Classification Opinionsの追加等

 HS委員会で特に必要ないとされたときは、物品の分類決定のみということもあります。

HS品目表開発の歴史

 HS品目表ができるまでは、我が国やヨーロッパ諸国等、世界の多くの国では関税賦課目的の関税率表としてCCCN(Customs Co-operation Council Nomenclature: 関税協力理事会品目表)が使用されてきました。
 CCCNは西ヨーロパの主要国が1950年に調印した、「関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約」の付属書として作成され、1955年に修正され完成したものです。1976年に関税協力理事会品目表と改称されるまで、ブラッセル関税品目表(BTN)」と呼ばれていました。
 CCCNは、21部、99類、1,000余りの4桁の項から構成されていました。HS品目表の4桁までは、CCCNがベースとなっています。
 しかし、1970年当時、米国、カナダ、ソ連(当時)等はCCCNとは別の品目表を用いていたこと、国際貿易や国際輸送を行う上で何回も異なる品目表を用いて異なる分類番号を付す必要があったことなどのため、貿易を行う関係者が共通で使用できる品目表の開発が望まれていました。また、米国などCCCNを利用していない国とGATT(関税及び貿易に関する一般協定)等の場で関税引下げの貿易交渉を行う場合には、関税引下げの対象品目を定義することから交渉を始める必要がありました。
 このような事情から、世界的に共通の品目表の作成が望まれており、CCCNをベースにして各国の税関当局をはじめ、貿易関係者が共通してい使用することが出来る統一的な品目表の作成が1973年に開始されました。しかしながら、繊維の品目表が米国の要求等により細かく細分されたり、鉄鋼も大幅な拡充が行われるなど難航することもありましたが、ようやく1983年に完成しました。
 HS条約は1988年に発効しており、概ね5年毎に改訂されています。現在は2022年1月1日に改正されたバージョンを使用しています。。

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HSコード

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