関税評価とは、輸入貨物に関税及び消費税を課税するときに、その課税の基礎となる課税価格を決定することを言います。

 日本に輸入する貨物の課税価格は、関税定率法第4条から第4条の9の規定に基づき決定されます。
 この関税定率法の規定は、WTO関税評価協定を基に制定されています。

課税価格決定の原則

 課税価格は、原則として相互に独立した売手と買手が、自由な競争条件の下で決定した取引価格により決定します。取引価格とは、輸入貨物の輸入取引に際し現実に支払った又は支払われる価格(「現実支払価格」という。)に含まれていない限度において運賃等(加算要素)の額を加えた価格となります。
 現実支払価格は、多くの場合インボイス価格となります。
 
 課税価格=取引価格=現実支払価格+加算要素の額

 日本では、課税価格は日本までの国際輸送の運賃及び保険の金額を含めた価格(CIF価格)を課税価格としています。

加算要素

 税価格を決定する場合には、現実支払価格(インボイス価格)に含まれていない輸入取引に関係する費用、経費等があった場合には、これらの費用・経費等を現実支払価格に加算することとなっています。これらの課税価格を決定する際に現実支払価格に加算する費用、経費等を「加算要素」と言います。
 これらには以下のような費用・経費等があります。

  • 輸出国から輸入国までの国際輸送に掛かる運賃・保険料
  • 手数料及び仲介料(買付手数料を除く。)
  • 関税評価上輸入貨物と一体を成すものとして取り扱われる容器の費用
  • 包装に係る費用(人件費であるか材料費であるかを問わない。)
  • 無償提供材料、設備、役務等
  • 技術、考案、工芸、意匠及び設計に関する費用
  • ライセンス料、ロイヤリティー
  • 売手帰属収益

取引価格により課税価格を決定できない場合

 無償貨物、委託販売貨物、賃貸借貨物や売手と買手の間に特殊関係があり、取引価格を基に課税価格を決定できない場合等には、次の方法により課税価格を決定します。

  1. 輸入貨物と同種又は類似の貨物の取引価格による方法
  2. 輸入貨物(若しくは加工後の貨物)又は輸入貨物と同種若しくは類似の貨物の国内販売価格から逆算する方法
  3. 輸入貨物の製造原価に基づき積算する方法
  4. 原則的な方法又は上記1から3に規定する方法において必要とされる要件を満たさない事項について合理的な調整を加えてこれらの方法により計算された価格によるほか、WTO関税評価協定に適合する方法として税関長が定める方法により計算される価格による方法
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