和服のHSコード

 和服は、長方形の生地を縫製して作られるので、HSコードの決定に当たっては洋服とは異なる注意が必要です。

目次

和服のHSコード

 和服は、第50類~第55類の織物を長方形に裁断したものを縫製して作られます。
 通常、ニット製品ではないので第62類に分類されます。また、第62.01項から第62.10項までには該当する項がないので、その他の衣類として第62.11項に分類されます。

和服の男子用・女子用の分類

 第62.11項の細分には、男子用と女子用の区分があります。従って、男物の和服は第6211.32号~第6211.39号に、女物の和服は第6211.42号~第6211.49号に分類されます。
 通常、男子用の衣類と女子用の衣類は、第62類注9の規定により決定されます。

 この類の衣類で、正面で左を右の上にして閉じるものは男子用の衣類とみなし、正面で右を左の上にして閉じるものは女子用の衣類とみなす。この注9の規定は、衣類の裁断により男子用の衣類であるか女子用の衣類であるかを明らかに判別することができるものについては、適用しない。(以下略)

 この規定により、右前の衣類は男子用、左前の衣類は女子用の衣類となります。
 但し、和服は全て右前に着ます。左前に着るのは死装束です。
 右前・左前の表現は少し理解しにくいですが、和服を着るときには先ず右の部分を体に合わせ、その後左の部分をその上に合わせます。これが右前です。右前・左前の「前」は先にという意味だそうです。
 従って和服の男物・女物の判断は右前、左前ではなく、次の「この注9の規定は、衣類の裁断により男子用の衣類であるか女子用の衣類であるかを明らかに判別することができるものについては、適用しない。」という規定を適用して決定します。この規定の適用に当たっては「衣類の裁断により」という部分が引っ掛かります。和服は長方形の生地を縫製したものであり、男物も女物も裁断方法に変わりがないからです。

「衣類の裁断」は誤訳?

 「衣類の裁断」は英文では、「the cut of the garment」となっています。
 ロングマン現代英英辞典では、cutには、「 the style in which clothes have been made」という意味があるとされています。ここでの意味は、この定義に従い、衣類のスタイル、形等と訳すのが適当であると考えます。
 もちろん、「cut」には「裁断」という意味がありますが、「裁断」という意味とすると衣類(garment)を裁断する、従って、衣類ではなくなるということになってしまいます。

仮縫いした和服のHSコード

 洋服の生地を型紙に従って裁断したものは長方形(正方形を含む。)以外の形になっているので、第11部注7「製品にしたもの」に従い、衣類本体と同じ項(通則2(a)の未完成の完成品の規定が適用される場合)又は衣類の部分品として第61類又は第62類に分類されます。
 しかし、和服の各パーツは長方形になっているので、第50類から第55類の織物に分類されます。
 和服を仮縫いしたものは第11部注7(f)(縫製、のり付けその他の方法によりつなぎ合わせた物品)の規定に従い、第62.11項に分類されます。
 詳しくは、国内分類例規「6211.39 又は 6211.49 1.和装用絹製品等(着物)における関税率表第 11 部注7(f)の適用について」をご参照ください。

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