SDSとHSコード

 化学品のHSコードの問合せを受ける際の情報が、SDSのみということがよくあります。しかし、通常はSDSに記載された情報のみではHSコードを決定すことはできません。

SDSとは

 SDSは安全データシート(Safety Data Sheet))とも呼ばれ、化学物質の物理化学的性質や危険性・有害性及び取扱いに関する情報を化学物質等を譲渡または提供する相手方に提供するための文書です。
 日本では、下記に定められた物質の情報を提供しなければならないとされています。

 SDSには、上記に定められていない物質は記載しなくても良いとされています。また、化管法では、指定物質でも含有量が1%以下のものは記載対象外とされています。さらに、未反応のモノマーは記載対象ですが、ポリマーは記載対象外とされています。SDSに記載されている物質の含有量が全体の1割以下ということもあります。

SDSの情報ではHSコードを特定できない理由

 SDSの情報から、問合せ先から提示のあったHSコードが間違いであると判明する場合もあります。また、幾つかの該当しそうなHSコードの候補を挙げることが出来る場合はあります。
 HSコードを決定するためには、通常成分表が必要となりますが、SDSに記載されていない成分が多数ということもあります。製品に含有されている物質が全てSDSに記載される場合以外は、SDSからHSコードを特定することは困難と言えるでしょう。
 一般に、化学品のHSコードの特定には以下のような情報が必要ですが、多くの場合、SDSにはこれらの情報は網羅されていません。化学品のHSコードを照会される場合には、是非、このような情報の提供をお願いします。

第28類又は第29類の物品の場合

  • 化学名・化学構造、CAS番号
  • 化学的に単一の化合物であるか否か
  • 他の物質が含まれている場合、製造上の不純物とみなせるか
  • 第28類又は第29類に認められている保存料等以外の物質が含まれていないか。

第30類から第31類までの調製化学品の場合

  • 用途
  • 用途に適した組成・物性を有しているか
  • 用途に必要な有効物質を含有しているか(特に医薬品、消毒剤、殺虫剤等)
  • 項又は注に規定された原料及び製造工程が用いられているか

化学品の輸出入には化審法等にかかる情報も必要となる

 化学品を輸入する場合には、化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)の規定に基づき含有されている化学物質を届出る必要があります。輸出する際にも相手国の化学品規制に基づく届け出を行うために同様の情報が必要となると思われます。SDSの情報よりは、こちらの情報の方が含有している化学物質をより網羅しているので、HSコードの特定には役立つと考えられます。

 

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