「日EU・EPA発効1周年記念セミナー」聴講録

 2020年2月6日にCIVI研修センター新大阪東で開催された、公益法人日本関税協会一般社団法人日本通関業連合会一般社団法人日本貿易関係手続簡易化協会(JASTPRO)及び駐日欧州連合(EU)代表部共催の「日EU・EPA発効1周年記念セミナー」に参加してまいりましたので、皆様と情報を共有したいと思います。
 本セミナーはEU側の発案で日EU・EPA発効1周年を記念して東京と大阪で開催されたものということでしたが、EU側は欧州委員会税制関税総局の原産地規則担当責任者、日本側も財務省関税局の原産地規則担当責任者がプレゼンターということもあり、大阪会場は200名程度の収容の会場がほぼ満席でした。
 会場にて配布された資料と質疑応答は関税協会のホームページに掲載されていますので、詳しくはこちらをご覧ください。
 日EU・EPA発効後10か月間(2019年2月~11月)の貿易実績をみると、EUから日本への輸出は6.6%伸びており、これはこの期間のEUの経済成長率を約2ポイント上回ること、同期間の日本からEUへの輸出は6.3%伸びているとのことでした。また、主な日本のEPA/FTAの中では、日EU・EPAの利用割合(日本側の輸入)が一番高く、23%となっている、とのことでした。
 本セミナーでは日本税関より、インボイス以外の文書への「原産地に関する申告」(以下、「SOO」という。)の仕方(原産品申告書の作成方法)について、例示をを含めた解説がありましたので、参考になるのではないかと考えます。
 本セミナーでは1時間半強にわたり質疑応答の時間がありました。同時通訳の方の話も含めて聞いたところをメモにしただけですので不正確なところがあるかもしれませんが、以下、情報を共有したいと思います。

REX番号について

  1. 全輸出者に占めるREX番号取得者の割合は?
    • REX番号は輸出者・輸入者の区別なく取得できるので、輸出者に限定した数字は不明である。EU全体としてのREX番号登録者は30,083者(英国を含めると42,643者)
  2. REX番号から、輸出品目の特定は可能か。
    • 登録時に関連する品目を記載する必要はあるが、拘束力はなく、登録した品目以外の輸出入も可能なので、REX番号で品目の特定はできないと考える。
    • カナダに輸出するとして登録した会社が、そのREX番号を使用して日本に輸出することもできる。

(注)REX番号とは

 REX番号は、EUにおいてEPAの適用及び一般特恵関税の利用の際に必要となる番号で、EU加盟国政府に申請して登録を行う必要があります。
 日EU・EPAを利用してEUから6,000ユーロを超える貨物を輸出する際にを輸出者が(生産者)がSOOを作成する場合にはREX番号の記載が必要となります。
 詳しくは欧州委員会のサイト又はJETROのサイトをご覧ください。
 なお、日本の輸出者がEUへの輸出に際して申告文を作成する場合は、法人番号(行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(いわゆる「マイナンバー法」)第 2 条第 15 項に規定する法人番号(13 桁))の記載が必要となります。

原産品申告書(SOO)について

  1. マルチのSOO(原産品申告書)を使用して輸出する場合、途中でインボイスを切り替えた後も有効か。
    • 輸出締約国でインボイスが切り替えた場合は使用可能である。
    • 第三国インボイスでリファーすることは想定されていないので、輸出国の文書(デリバリーノート等)でリファーする必要がある。
  2. 日本から輸出する際に、EU域内でインボイスの切替は可能か。可能な場合、元のSOOは利用できるか。
    • 輸出者(生産者)は何時でもSOOを発行できる。分割して運送後輸入する場合には、その形態に応じてSOOを再発行することが考えられる。(Article 69 of the UCC Implementing Regulation (Commission Implementing Regulation (EU) 2015/2447 of 24 November 2015))
  3. 1回の輸出が多数の品目からなり、EPAを利用するものと利用しないものが混在していた場合のSOOの記載方法は?
    • インボイス及びSOOに利用する品目を特定するための文言が必要である。EPAを利用する品目を別紙にリストにして記載している例もある。
  4. 1インボイスで複数の品目でそれぞれ別の原産地基準を用いる際のSOOの記載方法は?
    • どの品目がどの原産地基準を用いるのか明確にする必要がある。
  5. EU各国において、SOO以外に原産性を説明する資料は必要か。また、申告時の特恵要求方法について。
    • 輸入申告のデーターには要件があり、特恵待遇を要求する際には該当する項目を入力する必要がある。
    • 輸入申告時に特恵待遇要求以外の資料が要求されることもあるが、EPAに関してはSOOのみである。(但し、事後確認の際には資料を要求される。)
  6. 1年超の長期蔵置貨物(日本の場合はIS貨物)についてのSOOの有効性について
    • 日本においては、IS時にSOOを提出してもらっているので、ISWの際にSOOを提出する必要はない。
    • EUにおいては、輸入申告時にSOOを提出する必要があり、作成から1年を経過したSOOは無効である。新たにSOOを作成してもらう必要がある。
  7. インボイスに輸出者名が記載されているが、SOO(申告文)に輸出者の記載がない場合は無効となるか。
    • 日本の場合は、不備のあるSOOとなる。具体的な取り扱いについては、輸入地の税関に相談してほしい。
    • SOOに日本の法人番号が記載されている場合等、輸出者を特定できれば受理却下とはならないのではないか。事後的にSOOに輸出者名を追記することも可能と思われるが、まずは、提出先の税関に相談することが望ましい。
  8. 昨年末に発出されたEUのガイドラインによって、EU各国の取扱いは統一されたと考えるか。
    • 運用が統一されたと考えている。もし、不統一があれば日本国税関を通じて申し入れをしてほしい。

EUへの輸入後の関税還付手続き

  1. EUで輸入後、特恵待遇の要求をして関税の還付を受ける際に、最初に発行されたSOOは有効か。
    • 1年を過ぎたSOOは無効である。しかし、SOOは輸入後でも再発行可能なので、再度、SOOを取得して関税の還付(輸入後3年以内)を受けることは可能である。その際、SOOの発行者は、再発行時点から新たに4年間の書類の保存義務が生じるので注意してほしい。
  2. 還付決定後に実際に還付されるのはいつ頃になるのか。
    • 加盟国の国内法による。加盟国はEUの財源である関税をEUに代わって徴収、還付を行う。
    • 還付申請は120日以内に決定される。決定されない場合は、裁判所に不服申し立てができる。
    • 通関手続きを行った国以外の国に還付申請を行うことはできない。

EUの事前教示について

  1. EUの事前教示(BTI(関税分類)、BOI(原産地))をEUに拠点のない輸入者も行うことが出来るか。また、英語は各国で利用可能か。
    • BTI、BOIに関して域内共通の規則はない。
    • 申請を行うことはできると考えるが、実際に輸入することを考えると、通関を行う予定の国に輸入の手続きを行う税関事務代理人を利用して行うのが望ましいと考える。
    • 英語での申請は可能と考えるが、加盟国にEUから強制することはできない。

事後確認(検認)について

  1. 日EU・EPAのこれまでの事後確認の件数は?
    • 日、EU共に非公開とのこと。
  2. EU・韓国EPAでは、発効後3年から急に輸出国事後検認が増えたと聞いているが、日EU・EPAの場合はどうか。
    • 韓国と日本では協定やその他の状況が違う。今後のことはよくわからない。
    • EUの検認はリスク分析によるランダム選定により行われる。
      (筆者注)
       日本の通関時の審査・検査の選定も同様な考え方で行っている。
       即ち、リスクの大きい輸出者、輸入者、貨物(原産地規則の証明を誤りやすい貨物)を高い確率で選定し、リスクの小さい輸出者、輸入者、貨物は低い確率で選定する。優良な輸出入者でも選定の確率はゼロとはならないが、誤りが発見されると選定される確率は高くなる。
  3. EUにおける原産地証明が間違っていた場合の罰則は?
    • EU共通の規則はない。各国の税制の規定に従う。

EPA/FTA原産地証明のコンサルティング

コンサルティング
*原産地証明書の根拠資料の作成方法が分からない。
*JETROや商工会議所に相談したが、原材料のHSコードが分からない。
*輸入国税関から問い合わせが来たが、どのように対応したらよいかわからない。

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