HS2028改正➁ プラスチック汚染への対応強化

 環境保護について、HSはこれまでも重要な役割を果たしてきました。(「HSコードと化学物質の貿易管理」のページ参照)
 HS 2028改正においては、プラスチック汚染対策としてプラスチックくずを分類する第39.15項の再構成を行っています。また、使い捨てプラスチック製品の細分を設けるなどの対応が行われました。
 また、ゴムの廃棄物についてもバーゼル条約の規制対象外である回収ゴムを、再生ゴムを分類している第40.03項に統合しています。このことにより、規制対象の物品と対象外の物品がHSコード上で明確に判別できるようにまります。

目次

第39.15項(プラスチックのくず)の再構成

 HS2028では、第39.15項(プラスチックのくず)をバーゼル条約(有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約)のプラスチック廃棄物の規制に合わせて細分を再構成しています。
 2021年1月から改正バーゼル附属書が発効し、プラスチック廃棄物の輸出入が規制対象となりました。HS2028の第39.15項の細分はこの附属書に沿ったものとなっており、規制対象となるプラスチック廃棄物と規制対象とならないプラスチック廃棄物が細分化されます。これにより、プラスチック廃棄物の貿易のモニタリングが可能となる他、税関のプラスチック廃棄物の不正輸出入の取締りを支援し、実効性を高めることが可能となります。

プラスチックに係るバーゼル条約の規制

 バーゼル条約では、プラスチック廃棄物を次の3類型に分類して規制しています。

  1. 附属書Ⅷ(A3210):有害なプラスチックの廃棄物
    • 塩化ビニル、塩化ビニリデン等、ハロゲン化されたプラスチック
    • 有害成分(鉛、カドミウム、PCB、水銀など)を含有するプラスチック、等
  2. 附属書Ⅸ(B3011):非有害かつ特別の考慮が必要ないプラスチックの廃棄物
    • プラスチックの廃棄物であって、環境上適正な方法で再生利用することを目的とし、かつ、ほとんど汚染されておらず、及び他の種類の廃棄物をほとんど含まないもの
    • ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)から成るプラスチックの廃棄物の混合物であって、環境上適正な方法で各物質に分別し、再生利用することを目的とし、かつ、ほとんど汚染されておらず、及び他の種類の廃棄物をほとんど含まないもの
  3. 附属書Ⅱ(Y48):特別の考慮が必要なプラスチックの廃棄物
    • 上記1.及2..に該当しない全てのプラスチック廃棄物
    • 有害ではないプラスチックを含む。

有害なプラスチック廃棄物を分類する細分

 第3915.40号及び第3915.61号~第3915.69号までには、附属書Ⅷ(A3210)に該当する有害物質を含むプラスチック廃棄物が含まれます。
 第3915.40号には、第39類号注2に規定する六価クロムやアンチモン化合物等の有害物質を含有するプラスチック廃棄物が含まれます。
 第3915.61号~第3915.69号には、塩化ビニル等のハロゲン化されたプラスチックの廃棄物が含まれます。

第39類号注2

 第39類号注2には、第3915.40号に分類される廃棄物を次のように定義しています。

第3915.40号は、第39.15項の物品のうち、添加物として又は汚染物質として含有するかを問わず、次の物質のいずれか一以上を含有するもので、かつ、当該物品が有害な特性を示す程度のもののみを含む。

金属カルボニル、ベリリウム及びその化合物、六価クロム化合物、銅化合物、亜鉛化合物、砒素(ひそ)及びその化合物、セレン及びその化合物、カドミウム及びその化合物、アンチモン及びその化合物、テルル及びその化合物、水銀及びその化合物、タリウム及びその化合物、鉛及びその化合物、無機弗素(ふっそ)化合物(弗化カルシウムを除く。)、無機シアン化物、酸性溶液又は固体の酸、塩基性溶液又は固体の塩基、石綿(じんあい及び繊維状のもの)、有機燐(りん)化合物、有機シアン化物、フェノール及びその化合物(クロロフェノールを含む。)、エーテル、有機溶剤、ポリ塩化ジベンゾフランの同族体、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシンの同族体、又は有機ハロゲン化合物。

また、この号に分類されるためには、当該物品が次の有害な特性のいずれか一以上を示さなければならない。

爆発性のもの、引火性のもの(液体又は固体)、自然発火しやすいもの、水と接触して引火性ガスを発生するもの、酸化性のもの、有機過酸化物を含有するもの、急性毒性を有するもの、伝染性のもの、腐食性のもの、空気又は水と接触して有毒ガスを放出するもの、毒性(遅延性又は慢性)、環境毒性、又は処分後に上記の特性のいずれかを有する他の物質を生成するおそれがあるもの。

バーゼル条約で規制されないプラスチック廃棄物を分類する細分

 第3915.51号から第3915.59号まで、及び第3915.91号には、バーゼル条約の規制の対象外となっている附属書Ⅸ(B3011)に該当するプラスチック廃棄物が分類されます。これらのプラスチックはほとんど汚染されておらず、及び他の種類の廃棄物をほとんど含まないものに限られています。

特別の考慮が必要なプラスチックの廃棄物

 第3915.99号には、上記のカテゴリーに該当しない全てのプラスチック廃棄物が分類されます。

参考 第39.15項の新細分

 HS2028の新細分は下記の通りとなっています。

3915.40 — この類の号注2に規定する物品
- その他のもので、単一の非ハロゲン化重合体のみから成り、かつ、汚染物質及び他の種類の廃棄物をほとんど含有しないもの:
3915.51 — エチレンの重合体
3915.52 — プロピレンの重合体のもの
3915.53 — スチレンの重合体のもの
3915.54 — アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)共重合体のもの
3915.55 — ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)のもの
3915.56 — ポリカーボネートのもの
3915.57 — ポリエーテルのもの
3915.58 — 尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂のもの
3915.59 — その他のもの

ーその他のものでハロゲン化重合体を含有するもの(ハロゲン化重合体と非ハロゲン化重合体との混合物を含む。)
3915.61 — 塩化ビニルの重合体のみから成るもの
3915.62 — 製造工程で生じた廃棄物で、次に掲げるふっ素重合体のうちいずれか一のみから成り、かつ、汚染物質及び他の種類の廃棄物をほとんど含有しないもの:
パーフルオロエチレン・プロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・(パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・(パーフルオロメチルビニルエーテル)共重合体(MFA)、ポリ(ビニルフルオライド)(PVF)及びポリ(ビニリデンフルオライド)(PVDF)
3915.69 — その他のもの

ーその他のもの
3915.91 — 次に掲げる重合体のうち二以上のみから成る混合物で、かつ、汚染物質及び他の種類の廃棄物をほとんど含有しないもの:
ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリ(エチレンテレフタレート)
3915.99 — その他のもの

使い捨てのプラスチック製品に関する細分の新設

HS2028では、使い捨てプラスチック製品に関する細分が新たに設けられています。

  • 39.17 プラスチック製の管及びホース並びにこれらの継手
    • 3817.24、3917.34 使い捨てストロー
  • 39.23 プラスチック製の運搬用又は包装用の製品及びプラスチック製の栓、ふた、キャップその他これらに類する物品
    • 3923.1 箱、ケース、クレートその他これらに類する物品
      ー3923.11 使い捨ての発泡ポリスチレンのもの
      ー3923.12 その他の使い捨てのプラスチック製のもの 
    • 3923.2 袋(円すい状のものに限る。)
      ー3923.22 使い捨てのエチレンの重合体のもの
      ー3923.23 その他の使い捨てのプラスチック製のもの
    • 3923.3 瓶、フラスコその他これらに類する物品
      ー3923.31 使い捨てのもの
    • 3923.5 栓、ふた、キャップその他これらに類する物品
      ー3923.31 使い捨てのもの
    • 3923.9 その他のもの
      ー3923.31 使い捨てのもの
  • 39.24 プラスチック製の食卓用品、台所用品、その他の家庭用品及び化粧用品
    • 3924.2 使い捨ての食卓用品及び台所用品
      ースチレンの重合体のもの
      ー塩化ビニルの重合体のもの
      ーその他のプラスチック製のもの
  • 3926 その他のプラスチック製品
    • 3926.2 衣類及び衣類附属品(手袋、ミトン及びミットを含む。)
      ー3926.21 使い捨ての手袋、ミトン及びミット

「使い捨てのもの」の定義

 「使い捨てのもの」は、新類注3で規定されています。HS品目表の英語では、「single-use」となっています。

第39類において、「使い捨て」とは、通常、1回使用した後に処分され若しくはリサイクルされる種類のものであって、反復して使用し若しくは長期間にわたり使用することを目的としない物品をいう。

ゴム廃棄物の分類の明確化(第40類)

 第40類では、回収ゴム分類変更と廃棄タイヤの分類の明確化が行われています。

回収ゴムの分類変更

 バーゼル条約の規制対象外である回収ゴムの粉及び粒を第40.04項から第40.03項に変更されます。
 この変更により、原則として、40.03項の物品はバーゼル条約の規制対象外、第40.04項の物品は全て規制対象となります。
 回収ゴムの定義は第40類注6で規定されています。

第40.03項において『回収ゴムの粉及び粒』とは、第40.04項の物品から回収された粉及び粒であって、ゴム材料としてそのまま直接使用するのに適したものをいう。これらは、洗浄、粒状化、粉砕などの機械的処理によって、繊維、金属その他の不純物が大部分除去された、流動性があり、均質かつ均一なゴムの粉又は粒である。

再利用できない廃タイヤの分類の明確化

 再利用できない廃タイヤは、現状でも関税率表解説の規定により第40.04項に分類されることとなっていますが、新注7及び注11で条約の規定で明確にしています。

広告

EPA/FTA原産地証明のコンサルティング

コンサルティング
*原産地証明書の根拠資料の作成方法が分からない。
*日本商工会議所に提出する対比表を作成したいが、原材料のHSコードが分からない。
*輸入国税関から問い合わせが来たが、どのように対応したらよいかわからない。

初歩の初歩から対応いたします。
是非、HSコードのプロにお任せください。
作業に着手するまでのご相談は無料です。お気軽にお問合せください。