12月15日にCPTPPが日本・英国間で発効します

 本年12月15日に環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)が英国と日本、シンガポール、チリ、ニュージーランド、ベトナム、ペルーの間で発効します。批准手続きが完了していないその他の締約国(オーストラリア、ブルネイ、カナダ、マレーシア、メキシコ)では、手続きが完了次第順次利用可能となります。
 詳しくはJETROホームページをご覧ください。
 CTPPは、これまで日本ではTPP11という略称が使用されてきました。これは、TPPの署名国12か国から米国を除いた11ヵ国が参加したためです。TPP11は元々日本のローカルな公式ではない略称であり、締約国も12か国になります。今後はCPTPPという正式な略称が日本でも定着するものと思われます。

CPTPPでの英国の対日譲許

 英国との間では既に日英EPAが発行しています。日英EPAもCPTPPも同様にハイスタンダードなEPAで殆どの品目が関税無税となります。
 経済産業省の資料によれば、建機用等タイヤ(約22億円、発効時即時撤廃)、モニターの一部(約66億円、27年1月撤廃)等95品目について日英EPAによる関税無税化の前倒しが行われることとなっています。

 また、農水省の資料では日英EPAでは関税が撤廃されなかった精米(約20円/kg)やパックご飯(8%+約60円/kg)等で英国の関税が撤廃されることとなっています。

 英国のCPTPPの譲許税率は、内閣官房TPP等政府対策本部「TPPの動き(2023年)」の「英国のCPTPPへの加入に関する議定書等への署名」の記事中で、「03附属書2-D」の文書(①から③)をご覧ください。

CPTPPと日英EPAのどちらを利用するか

関税率の低い協定を利用する

 上記のように、日英EPAでよりもより低い関税を利用できる場合にはCPTPPを利用することになると思います。ただ、どちらもハイレベルのEPAで殆どの品目が関税無税となりますので、関税率により使用する協定を選択することになる品目はそれほど多くないと思われます。

証明が容易な原産地基準の協定を利用する

 関税率が同一の場合には、証明のハードルが一番低い協定を選択することとなります。具体的なHSコードが判明している場合には、税関ホームページの「品目別原産地規則」の検索ページで調査することが出来ます。(英国とのCPTPPが発効前は、便宜上他のCPTPP締約国で検索)
 日英EPA(ほぼ日EU・EPAと同じ)とCPTPPの原産地基準はかなり異なっており、どの協定の証明が容易かは品目によります。

作成が容易な原産品申告書を利用する

 日英EPAでは、日EU・EPAと同様に商業上の文書に協定上の申告分を記載することで原産品申告書(原産地証明書)を作成します。輸出者が原産品申告書を作成する場合にはインボイスに定型文を記載するだけですので作成が容易です。しかし、生産者が作成する場合にはインボイスに記載された品目の紐付け等、少し厄介です。
 これに対し、CPTPPの原産品申告書は書式は定められていませんが、税関ホームページにひな形が掲載されています。このひな形に沿って記載していくと原産品申告書が作成できるので、生産者に作成を依頼する場合には便利です。

対応しやすい検認方法の協定を利用する

 EPAの検認(事後確認)は、どの協定においてもまず、輸入者への問合せから開始されることが殆どではないかと思います。輸入者が原産地基準を満たしていることを十分に説明できない場合の対応は協定により異なります。
 日英EPAでは、輸入者は原産品申告書を作成した輸出者又は生産者に情報提供を求めます。輸出者又は生産者が輸入者に情報を提供したくない場合には、直接輸入国税関に情報を提供することが出来ます。それでも輸入国税関が疑義を解明できない場合には、日本国税関に調査を依頼することが出来ます。
 CPTPPでは、輸入国税関が直接原産品申告書を作成した輸出者又は生産者に情報提供を求めることが出来ます。協定上、輸入国税関が輸入者を訪問して検認を行う訪問検証も可能となっています。

EPA/FTA原産地証明のコンサルティング

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