輸出国での生産だけで原産地基準を満たさない場合、締約国間で行われた生産をひとまとまりのものと見做して、原産地基準を満たしているかどうかを確認する、とうのが累積の規定の概念です。

目次

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物の累積

 全ての協定についての共通点は、「相手国で作ったものを自国で作ったものとみなす」ということです。即ち、EPAの原産地基準を満たすか否かを確認する場合に、輸出国以外の締約国の原産品を使用して製造した場合は、輸出国の原産品を使用したと見なすということです。
 A国で生産されたM1という原材料とB1という非原産材料を用いてB国でPという産品を製造し、A国に輸出するとします。A国及びB国が締約国であるEPAにおいてM1が原産品と認定された場合、当該EPAでPという産品の原産地証明を行う際にM1はB国の原産品として扱うということができます。

物の累積

 ここで注意しなければならないことは、ただ単にEPA協定の締約国から輸入しただけでは累積の規定を利用することは出来ないということです。輸出締約国でEPAの原産地基準を満たして製造された原産品であることが証明されている必要があります。原材料をEPAを利用して輸入した場合は、通常、それらの原産地証明書(原産品申告書)等の関係書類を保存しておくと、証明資料として利用できると考えられます。
 物の累積の規定は、原産材料のみから生産される産品(PE)関税分類変更基準(CTC)及び付加価値基準(VA)で証明を行う際に利用することが出来ます。

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生産行為の累積

 CPTPP(TPP11)、日EU・EPA及びシンガポール、メキシコ、ペルー、モンゴル、豪州との協定においては、相手国の原産品を使用した場合に加え、非原産品を使用した場合において、締約国で行った生産行為も原産性認定の際に考慮することができるとされています。
 下の例では、物の累積の規定のみですと、締約国Aから輸入したA国の非原産品であるN2は、非原産材料として取扱われ、産品P(200円)の付加価値の計算に当たっては、N2(100円)及びN3(40円)を非原産材料として計算します。
  PのRVC=200円ー(100円+40円)/200×100=30%
 生産行為の累積の規定があると、N2のA締約国における非原産材料であるN1(40円)とP生産における非原産材料の価格(40円)を用いて付加価値を計算することが出来ます。
  PのRVC=200円ー(40円+40円)/200×100=60%

生産行為の累積

 生産行為の累積は、付加価値基準で証明を行う際に利用することが出来ます。

TPP(CTPP)の完全累積と他の協定の生産行為の累積との相違

 生産行為の累積の規定のある日EU・EPA及びペルー、豪州等との協定においては、協定相手国でのEPAの原産資格を与えることとはならない作業(十分な変更とみなさない作業)に相当する生産行為については、累積の対象とはしないとされています。
 一方、TPP(CTPP)においては、このような規定はありません。これは、TPPでは締約国原産品という取扱いとなっており、締約国のどこかで原産品とされた場合は、TPP原産品となることによると考えられます。

TPP(CTPP)の完全累積

出所:税関ホームページ
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多国間EPAにおける累積の取扱いの相違

 日本が締結している多国間EPAは、日アセアンEPA、CTPP(TPP11)、日EU・EPA、RCEP協定です。これらの4協定の累積の規定は異なりますので注意する必要があります。
 日EU・EPAは、多国間協定ですが、EUは全体で1国とみなすと、2国間協定と同じ取扱いとなります。
 CPTPPでは、締約国相互間の全ての累積を認めているので、サプライヤーチェーンを考えると非常にメリットの大きい協定となります。
 

協定原産国の取扱い物の累積生産行為の累積
日アセアンEPA国原産ありなし
RCEP国原産ありなし
CTPP(TPP11)締約国原産ありあり(締約国全ての生産行為について適用)
日EU・EPA国原産(日本原産・EU原産)ありあり

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