RCEPの原産地証明手続きの注意事項について

 12月9日に開催された関税協会主催の「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に係る業務説明会」において、原産地手続きについて下記の情報がありましたので皆様と情報を共有いたします。

目次

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原産地証明の方法

 発効時に輸出者・生産者による自己申告制度が可能なのは、日本、オーストラリア、ニュージーランドとの相互の輸出輸入のみである。

RCEPの原産地証明方法

証明制度対象となる輸出締約国証明書類の発行方法備考
第三者証明制度全ての締約国輸出締約国の権限のある発給機関が発行。日本は日本商工会議所が発行
認定輸出者制度全ての締約国輸出締約国の権限のある当局により認定された輸出者が発行
輸入者自己申告全ての締約国締約国の輸入者が発行。協定発効時は日本の輸入者のみ可能締約国は協定発効時から導入の検討を開始(5年以内に結論)
輸出者・生産者自己申告協定発効時は日本、豪州、ニュージーランド相互の輸出のみ輸出締約国の輸出者又は生産者が発行締約国は協定発効後10年以内に実施を検討(猶予国あり)
協定では、第三者証明による証明書を「原産地証明書」、認定輸出者制度及び自己申告制度により作成した証明書を「原産地申告書」と呼んでいる。

原産地証明書・自己申告書

原産地証明書の様式・記載事項

様式

 協定上、原産地証明書の様式は定められておらず、協定で定められた事項を網羅していれば任意の書式で作成することができる。
 第三者証明書の様式は各国で統一した書式を作成することを協議中。
 自己申告書の様式見本については、近日中に税関ホームページに掲載する予定

記載事項

 原産国欄は、第2・6条(関税率の差異)に規定するRCEP原産国を記載することに注意する。
 RCEPの原産地証明で記載する必要のある下記の項目は、TPP11では記載する必要のない項目である。

  • 第2・6条(関税率の差異)に規定するRCEP原産国
  • FOB価格(付加価値基準を使用した場合)
  • 産品の数量
  • 連続する原産地申告における規定

連続する原産地証明書

 任意規定であるため、中間締約国で連続する原産地証明書の発給が可能か否かは当該締約国の運用を確認する必要がある。
 日本の輸入通関時に中間締約国の輸出者(認定輸出者を除く)が作成した連続する原産地証明の場合、「原産品であることを明らかにする書類」として、非加工証明等の書類が必要となる。(他の自己証明の協定でも、第三国で一時蔵置等を行う際には必要。)

原産地証明書の発給形式

RCEPでは、原産地証明書をPDF等の電子ファイルで発給する国がある。
日本商工会議所はPDFで発給する。
輸出国の発給機関が電子ファイルで発給している場合は、日本の税関にも電子ファイルで提出することができる。

認定輸出者の認定について

RCEPに関する認定輸出者の認定基準は、従来の基準と変更はない。
原産地証明書の受給実績としては、認定を行うEPA以外のものも含めて、概ね半年で8件以上の実績が必要である。

検認(事後確認)について

 輸入国税関からの問い合わせに対する日本政府のコンタクトポイントは証明の方法に応じて下記の通りとなる。

  • 第三者証明制度・認定輸出者を利用の場合
    日本商工会議所・経済産業省
  • 輸出者・生産者による自己証明制度を利用の場合
    財務省

輸入締約国が日本の輸出者・生産者に対して情報提供を要請する場合には、上記のコンタクトポイントへ要請が行われることとなっており、要請があった場合には、利用された証明制度に応じて上記の政府機関から連絡されることとなっている。
 相手国から上記の機関を介さずに直接情報提供の連絡があった場合は、利用した証明制度に応じて、上記機関に相談のこと。

筆者注

上記の日本のコンタクトポイントは、原産地証明制度により異なる法律によって外国政府からの照会に対する対応が規定されていることに由来すると考えられる。

EPA/FTA原産地証明のコンサルティング

コンサルティング
*原産地証明書の根拠資料の作成方法が分からない。
*JETROや商工会議所に相談したが、原材料のHSコードが分からない。
*輸入国税関から問い合わせが来たが、どのように対応したらよいかわからない。

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