どのような場合に輸入国税関からEPA税率の適用を否認されるのでしょうか。また、輸出の際に商工会議所に特定原産地証明書を発給する際に注意すべき事項はどのようなことでしょうか。税関及び経済産業省のホームページに輸入及び輸出に関するEPAの非違事例が掲載されていますので紹介します。
輸入においてEPA税率適用を否認された事例
税関ホームページの原産地ポータルにEPA税率又は一般特恵関税の適用を否認された事例が掲載されています。
この中で私がよく聞いた事例は、アセアン諸国からEPAを利用して衣類を輸入することに関するものです。第61類、第62類の衣類については、日本とアセアン、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア等の協定のEPA税率を適用するためには、アセアンで製織された生地を使用する必要がありますが、税関の事後調査で中国製の生地等、アセアン諸国以外で製織された生地を使用していることが判明し、EPA税率の適用を否認されたというものです。
上記の事例では、関税率が10%程度と非常に高いので、税関にEPA税率の適用を否認されると大きな損害です。安易に特定原産地証明書が発行されたのでEPAが利用できると考えてはいけません。原産地証明書の発給機関の原産性の確認は十分でないことはよくあることですし、ひょっとすると、輸出者が発給機関に虚偽の説明をしているかもしれません。
このような事態を招かないためには、輸入者もEPAを利用する産品が原産地基準を満たしているかどうか確認しておくことが重要です。
上記の事例では、契約の際、衣類の製造に使用する生地をアセアン原産のものに限るとしておけば、EPA税率が否認される事態にはならなかったでしょうし、もし、否認されたとしても輸出者に損害賠償を求めることができるでしょう。
EPAを利用する際は、原産地証明書を取得し、それを税関に提出して終わりではありません。
輸入後の税関の検認や輸入事後調査に備えて、必要となる資料をできる限り輸出者から入手しておきましょう。
輸出の際に誤った特定原産地証明書の発給を申請した事例
経済産業省のホームぺ時に「EPA原産地証明書の利用における留意事項について」が掲載されています。
サプライヤーの工場が海外に移転したにもかかわらず、移転後もその部品が原産品であるとして、特定原産地証明書の発給を申請していたものですが、原産地証明書の発給の決定が取り消されることとなった事例です。
サプライヤーとの関係を密に保ち、使用する原材料の製造地や原材料が異なることとなった場合は、速やかに連絡してもらえるようにしておきましょう。
貴社の原産地証明書に間違いはありませんか?
間違ったHSコードに基づき日本商工会議所から特定原産地証明の発給を受けている場合、輸入国税関の事後確認(検認)によりEPA(FTA)税率の適用が取り消され、貴社の信用が失墜することは勿論、輸出先から損害賠償を提起される恐れがあります。
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