EPA税率の適用を受けるためは、協定及び輸入国の法令で定められた手続きを行う必要があります。これを手続規定といいます。必要な手続きを行わないと、通常の税率(MFN税率)が適用されます。
 EPA税率の適用を受けるためには、適用を受ける条件(原産地基準及び積送基準)を満たしていることを輸入国税関に対して証明する必要があります。
 第三者証明の場合の場合は輸出国の指定の発給機関で発行された特定原産地証明書が必要となりますし、自己証明の場合は、輸出者、製造者又は輸入者による、協定で定められた証明書の作成や商業上の書類への申告文の記載が必要となります。
 例外として、少額の貨物(我が国への輸入の場合は20万円)のEPAを利用した申告については、特定原産地証明書や原産申告書の提出は免除されています。

ONTENTS

  1. 輸出の場合
  2. 輸入の場合

輸出の場合

 輸出者としての必要な手続きは「EPA税率の適用を受けるために(輸出者)」のページをご覧ください。

海外のEPA締約国での輸入手続き

 通常、EPA申請の詳細な手続きはEPAの協定では記載されておらず、輸入国の法令に委ねられています。従って、原産地証明書等の提出方法等、EPAを利用して輸入する際の手続は国により異なりますので、必要な手続きについては、輸入者に照会するかJETROの記事等を参照していただければと思います。 

EU諸国における輸入手続き

 日EU・EPAにおいて、EU加盟国の税関では一般にEPA税率を利用するために輸入時に原産品申告書の提出等の特別な手続きは要求されていません。
 その代わり、協定では「危険性を評価する方法(無作為抽出を含む。)」で事後確認を行うことが出来るとされており、輸入時の審査がない代わりに日本の税関より頻度の高い事後確認が行われることが考えられます。この「危険性を評価する方法(無作為抽出を含む。)」により検証を行うのは、日本の税関で輸入申告時に審査を行うのか、即許可を行うのかを決定するのと同じ考え方と思われます。

輸入の場合(日本でのEPA利用時の手続き)

 日本への輸入手続きは原則、原産地基準及び積送基準を満たしていることの証明書を輸入申告時に提出します。通常、以下の通りとなります。
(関税法施行令第61条)

  1. 第三者証明、認定輸出者証明の場合
    輸入申告の際にEPAを利用する旨申告し、特定原産地証明書、B/L(通しB/L)を税関に提出
  2. 日EU・EPA、CPTPP、日EU・EPA、日・豪EPA(自己証明の場合)
    輸入申告の際にEPAを利用する旨申告し、原産品申告書、原産品申告明細書、原材料表等の証拠書類、B/L(通しB/L)を税関に提出

 特定原産地証明書、原産品申告書等は、20万円以下の貨物については提出が免除されています。
 原産地証明書、原産品申告書が輸入申告時に提出できない場合は、許可前引取り(BP:関税法第73条)の手続きを行い、貨物を引き取ることができます。
 日EU・EPAにおいては、輸出者による証明で、輸出者から必要な情報提供がない場合は、原産品申告明細書、原材料表等の証拠書類の提出を省略することが出来ます。(詳しくはこちら。輸入者としてはリスクが高くなるので適切なリスク回避を。)
 EPA税率の申請は、輸入申告時にのみ行うことができ、遡及して申請することができないので注意が必要です。
 なお、CPTPPにおいては、1年間以内であればEPA税率を適用するように税関長に対して更正請求(支払った関税の還付を請求すること。)を行うことができます(関税暫定措置法第12条の2)。

輸入時の手続きについては「EPA税率の適用を受けるために(輸入者)」のページもご覧ください。

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① 原産地基準へ 
② 積送基準へ  

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