輸出者がEPA税率の適用を受けようとする際の手順を、船積前(契約時を含む。)、船積時、輸入時及び輸入後の4段階に分けてみていきます。第三者証明を利用する際と自己証明(自己申告)を利用する際では手続きについて違いはありますが、EPA税率の適用ができるかどうか、原産地基準を満たしていることの確認等、基本的な事項については、大きく異なるところはありません。

CONTENTS

船積前の手続き

 ・日本が締結しているEPAと各協定が採用している原産地証明の種類についてはこちら
 ・EPAの原産地証明制度についてはこちら

輸出者・製造者による自己証明を行う場合

 CPTPP(TPP11)及び日EU・EPAでは、輸出者、製造者及び輸入者の何れかがEPAの原産地基準を満たしていることを証明する自己証明のみが利用可能となっています。また、日豪EPAでは、自己証明と第三者証明の選択制となっています。
 輸出者・製造者による自己証明を行う場合については、「EPA原産品申告書の作成方法」のページにて解説していますので、ご参照ください。

輸入者が証明を行う場合

 輸入者が証明を行う場合でも、輸入者に全ての情報を開示しておらず、生産が原産地基準を満たしていること等の誓約書等を輸入者に提出している場合は、産品が原産地基準を満たしていないことが判明した場合は損害賠償を提起される恐れがあるので、事前にしっかりと原産地基準を満たしていることを確認するとともに、その証明に必要な書類は輸入者が指定する期間保存しておきましょう。
 なお、日EU・EPAの場合は、産品が原産地基準を満たすことの情報を輸入者が有しない場合は輸入者自己証明を行うことはできません。
 日米貿易協定は、輸入者による自己証明のみが採用されています。

第三者証明の場合

 公的な機関がEPAの原産地証明を行うことを第三者証明と言います。日本では日本商工会議所がEPAを利用する際に必要となる特定原産地証明書を発給しています。

特定原産地証明書発給申請前の準備

 特定原産地証明書の発給申請前の準備は、基本的に原産品申告書作成の際と作業は同じですので、「EPA原産品申告書の作成方法」のページの「Step1 原産品申告書基礎資料の作成」及び「Step2 使用する原産地基準を決定する」をご参照ください。

日本商工会議所に特定原産地証明書の発給申請をする

 産品が使用するEPAの原産地規則を満たしていることを確認し、使用する原産地基準に合わせた基礎資料が完成したら、日本商工会議所に特定原産地証明書の発給を申請します。
 具体的な手続きについては、日本商工会議所の「特定原産地証明書発給事業」のページをご参照ください。

船積時の手続き

 第三者証明の場合場合は日本商工会議所から特定原産地証明書の発給を受けます。自己証明の場合で、輸出者(又は生産者)が証明を行う場合は原産品申告書を作成(又は製造者から入手)します。印影の欠落、産品のHS番号の誤り等、これらの書類に不備がないか再度チェックした上、輸入者に送付します。
 運送は積送基準を満たす方法で輸送します。通常はわが国から輸入国迄の直送B/L又は通しのB/Lとなります。

輸入時

 輸入者が通関手続きを行います。

輸入後

証拠書類・帳簿の保管

 証拠書類の保管に関しては「EPAに関する帳簿・書類の保存」のページをご参照ください。

輸入国税関による事後確認(検認)への対応

 輸入国税関による事後確認(検認)については、「事後確認(検認)と事後調査」のページをご参照ください。
 税関の事後確認は一義的には輸入者に対して行われます。輸出者への事後確認は輸入者に対する事後確認で原産地基準を満たしていることが確認できなかった場合又は輸入者がそれらの情報を有していない場合に行われます。 
 なお、日EU・EPAの輸入者証明の場合及び日米貿易協定の場合は、輸出者に対する事後確認は行われません。

EPA/FTA原産地証明のコンサルティング

コンサルティング
*原産地証明書の根拠資料の作成方法が分からない。
*JETROや商工会議所に相談したが、原材料のHSコードが分からない。
*輸入国税関から問い合わせが来たが、どのように対応したらよいかわからない。

初歩の初歩から対応いたします。
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