アセアン包括協定及びベトナム協定では「同一の又は交換可能な材料」、スイス協定及び日EU協定は「会計の分離」、その他の協定では「代替性のある産品及び材料」と規定されています。
 この規定は、生産に使用される原材料の他、EPAを利用しようとする産品そのものにも利用することが出来ます。

ケース1 生産に原産材料と非原産材料を使用する場合

 EPAを利用する場合、様々な調達先から、同一の原材料或いは同種の規格で代替(交換)可能な原材料を用いて生産を行う場合も多いと思います。このような場合でも、原則、原産材料と非原産材料を物理的に分離して管理し、原産材料と非原産材料を分離して生産を行う必要があります。
 しかしながら、現実問題として、タンクに原材料を蔵置している場合など、原産材料と非原産材料を物理的に完全に分離して在庫管理や生産を行うことは困難な場合も多いと思います。この場合は、生産に使用した原産材料と非原産材料を一般的に認められている会計原則に基づく在庫管理方式に従って生産したとみなし、EPAを適用することができます。

ケース2 原産品と非原産品が混在して蔵置されている場合

 ケース1と同様に、同一の又は等価で交換可能な原産品と非原産品を蔵置している場合は、原産品のみを物理的に分離して管理を行う必要があります。しかし、原産品と非原産品を物理的に分離して管理することが困難な場合、一般的に認められている会計原則に基づく在庫管理方式に従ってEPAを適用することができます。

「一般的に認められている会計原則」とは

 「一般的に認められている会計原則」とは、下記の税関ホームページの例にもあるように、先入先出方式による管理方法、在庫を案分する方法などが考えられます。
 しかし、TPPでは、「選択された在庫管理方式が当該在庫管理方式を選択した者の会計年度を通じて使用される場合に限る。」とされており、都合の良い在庫管理方法をその都度選択するといった対応はできません。
 また、日EU・EPAでは、「会計の分離の方法の使用を当該締約国の税関当局による事前の許可の対象とすることを要求することができる。」とされていますので注意が必要です。

出所:税関ホームページ「EPA原産地規則マニュアル」

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