EPA(FTA) において「原産地基準」とは、輸入する際にEPA税率を適用できる産品であるか否かを決定する基準です。
EPA(FTA)の原産地基準は、あくまでもEPA(FTA)の優遇税率を享受するために締約国においてどのような原材料から、どのような生産工程を経て製造する必要があるかを定めたものです。締約国の事情や交渉の過程で協定ごとに異なったものとなっています。通常の「××産」という概念や、非特恵原産地規則とは異なることがあるので注意しましょ う。
EPA(FTA)の優遇税率を享受するために必要な原産地基準を満たす産品には、下記の3種類があります。
- 完全生産品 (WO)
- 原産材料のみから生産される産品(PE)
- 実質的変更基準を満たした産品
「原産地基準」と「原産地規則」は異なる
「原産地基準」という言葉の他に、「原産地規則」という言葉があます。
原産地規則は、原産地基準の他、EPA税率を申請するための手続きを定めた手続き規定、輸出国から輸入国までの運送・保管に関する条件を定めた積送基準を含めた規則のことをいいますので、混同しない様にしましょう。つまり、
原産地規則=原産地基準+手続き規定+積送基準
となります。
一般ルールと品目別原産地規則
原産地基準には「一般ルール」と「品目別原産地規則」があります。
協定本文に上記の実質的変更基準の包括的な規定がある場合、その規定を「一般ルール」と言います。日・アセアン協定、日・スイス協定、日・ベトナム協定、日・インド協定に一般ルールがあります。
一方、HSコード(類、項、号)の品目毎に実質的変更基準を定めた規定は「品目別原産地規則(Product Specific rules:PSR)」と言います。上記の4協定では、品目別原産地規則に規定がない場合は「一般ルール」が適用されます。
他の協定では、一般規則は無く、全ての品目に品目別原産地規則が定められています。

日・インド協定の一般規則は、関税分類変更基準(CTH)と付加価値基準の両方を満足していることを証明する必要があり、証明者の負担が非常に重いので、評判の良く ない基準です。
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① 原産地基準へ
② 積送基準へ
③ 手続的規定へ
原産品と原産材料・非原産品と非原産材料
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続きを読むEPA/FTAにおける附属品、予備部品及び工具の取扱い
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