原産地証明の単位と関税分類(HSコード)の単位は同一です。証明を行う産品が単一の個別の物品の場合は特に問題はありません。
 しかしながら、産品の容器・包装に関するHS品目表の解釈に関する通則5の適用が問題となる場合があります。また、附属品、工具、予備部品等を機械の本体と一緒に輸入する場合に、本体と一緒に分類するか、又は、別に分類するかにより原産地証明を行う物品の範囲が異なることがあります。さらに、大型機械やプラントを組立てないで輸出する場合や、複数の機械から構成される機能ユニットについても、関税分類の方法により原産地証明を行う物品の範囲が異なることがあります。 
 原産地証明を行う際には、まず、証明を行う産品の範囲、即ち原産品としての資格の単位を明確にする必要があります。日EU・EPAでは、第3・7条に「原地品としての資格の単位」が規定されていますので、この規定を基に原産地証明を行う際の証明の単位について考察していきたいと考えます。原産地証明を行う産品の単位を協定上で明確に規定していないその他の協定においても、暗黙の前提として日EU・EPAの規定と概ね同様な取扱いが前提となっていると考えられます。

目次

日EU・EPAの「原産品としての資格の単位」に関する規定

 日EU・EPAでは、原産地証明を行う単位を「原産品としての資格の単位」として第3・7条で次のように規定しています。

  1. この章の規定の適用上、原産品としての資格の単位は、統一システムに基づいて産品を分類する場合の基本的な単位とされる特定の産品とする。
  2. 貨物が統一システムの同一の項に分類される複数の同一の産品から成る場合には、この章の規定を適用するに当たり、個別の産品ごとに考慮する。

日本語の文章が分かりづらいので、以下に英文も引用します。

  1. The unit of qualification for the application of the provisions of this Chapter shall be the particular product which is considered as the basic unit when classifying the product under the Harmonized System.
  2. When a consignment consists of a number of identical products classified under the same heading of the Harmonized System, each individual product shall be taken into account when applying the provisions of this Chapter.

 同様の規定は、昨年11月に署名されたRCEP(地域的な包括的経済連携協定:the Regional Comprehensive Economic Partnership Agreement)においても採用されています。(第3・13条)
 「原産品としての資格の単位」を規定すると協定上でHS品目表の解釈に関する通則2(a)通則5の規定を引用する必要がなくなるので、協定文としては簡便になります。

原産地証明の単位(unit)は関税分類を行う単位(unit)と同一

 この第1段の規定は、「原産品としての資格の単位」、即ち、原産地証明を行う単位(unit)は、関税分類を行う際の単位(unit)と同一であるということを規定しています。
 産品の関税分類は、異なる産品毎に一つ一つ行います。例え、類似の産品であっても、異なる産品の場合はその種類ごとに分類を行っていくこととなります。類似の産品の場合は結果として同一のHSコードに分類されることが多いと思いますが、あくまでも個々の産品毎に分類を行うこととなります。
 また、例えば組立てていない機械など通則2(a)を利用して複数の物品を一つの産品として一つのHSコードに一括して分類する場合があります。さらに、附属品、工具、予備部品についても本体の機械と一緒に分類することがあります。これらひとまとめに関税分類を行う単位が、関税分類を行う際の基本的な単位(the basic unit)となります。この「分類する場合の基本的な単位(the basic unit)」を基に、原産地証明を行う必要があります。
 分類する場合の基本的な単位(the basic unit)をどのように取り扱うかは難しい場合がありますので、後程詳しく見ていくことにします。
 (ここでいう「単位(unit)」は輸出入統計品目表の単位(unit)とは関係ありませんのでご留意ください。)

同じHSコードに分類される同一の産品も個々の産品毎に証明を行う必要がある

 第2段の規定は、例え同じHSコードに分類される同一の産品であっても、個々の産品毎に証明を行う必要がある旨規定しています。
 調達先・価額を含めて全く同一の原材料からなる産品であれば、一括して証明を行うことは可能です。しかしながら、原産地証明を行おうとする貨物が異なる生産ロットからなる同一の産品から構成される場合には、生産ロット毎に証明を行う必要が生じる可能性があります。生産ロットが異なっても、原材料のHSコードが同一であれば、関税分類変更基準を用いる場合は原則として同一の証明で問題ありません。しかしながら、付加価値基準を採用する場合においては、原材料の価額や製造歩留り等が異なればそれぞれの製造単位で個別に証明を行う必要があります。

容器・包装に関する「HS品目表の解釈に関する通則5」の取扱い

 「HS品目表の解釈に関する通則5」はケース・容器・包装のHS品目表における取扱いを規定したものです。この通則5は次の2つの規定からなります。

  1. 容器で特定の物品又は物品のセットを収納するために特に製作し又は適合させたものであって、長期間の使用に適し、当該容器に収納される物品とともに提示され、かつ、通常当該物品とともに販売されるものは、収納されている物品の属する項に一体として分類する
  2. 物品とともに提示し、かつ、物品を包装するために通常使用される包装材料及び包装容器は、収納されている物品の属する項に一体として分類する

 EPAの原産地規則においては、通常、「小売用の包装材料及び包装容器」及び「船積用(輸送用)の梱包材料及び梱包容器」についての規定があります。

小売用の包装材料及び包装容器の取扱い

 通則5の規定を満たす小売用の包装材料及び包装容器については、日EU・EPAでは次のように規定されています。

  1. 産品を小売用に包装するための包装材料及び包装容器については、当該産品に含まれるものとして分類される場合には、当該産品の生産において使用された全ての非原産材料が附属書三Bに定める該当する関税分類の変更若しくは生産工程を行ったかどうか又は当該産品が完全に得られたものであるかどうかを決定するに当たって考慮しない。
  2. 産品が附属書三Bに定める価額の要件の対象となる場合において、当該産品を小売用に包装するための包装材料及び包装容器が当該産品に含まれるものとして分類されるときは、当該産品に価額の要件を適用するための算定に当たり、当該包装材料及び包装容器の価額を場合に応じて原産材料又は非原産材料として考慮する。

 上記の既定で、「当該産品に含まれるものとして分類される場合には」とされているのは、通則5の規定により、包装材料及び包装容器が収納される或いは包装される産品と共に分類されることを示しています。
 上記1.の規定は、産品の原産地証明において関税分類変更基準及び加工工程基準を用いた場合には、包装材料及び包装容器については考慮する必要が無いことを規定しています。
 規定の内容は同一ですが、日・タイEPA等の協定では、「小売用に包装するための包装材料及び包装容器であって、通則5の規定に従って当該産品に含まれるものとして分類されるもの」ついては、関税分類変更基準及び加工工程基準を用いた場合には、当該包装材料及び包装容器については考慮する必要が無いとしています。
 2.の規定は、付加価値基準を用いた場合には、産品の付加価値基準の計算において、包装材料及び包装容器が原産品である場合には原産材料として、非原産品である場合には非原産材料として本体の付加価値基準の計算に加算することをを規定しています。

輸送用のこん包材料及びこん包容器

 輸送用のこん包材料及びこん包容器の取扱いについて、日EU・EPAでは次のように規定されています。 

 輸送中の産品を保護するために使用される輸送用のこん包材料及びこん包容器については、当該産品の原産品としての資格を決定するに当たって考慮しない。

 輸送中の産品を保護するために使用する輸送用の梱包材料及び包装容器については、付加価値基準を用いる場合であっても原産地証明を行う上で考慮する必要が無いことを明確にしています。
 他の協定では、用語の定義として「船積用の梱包材料及び梱包容器」は「産品を輸送中に保護するために使用される産品であって、小売用の包装材料及び包装容器以外のものをいう。」と規定しているものがあります。

HS品目表の解釈に関する通則5が適用されない容器の取扱い

 関税率表の解釈に関する通則5が適用されない容器・包装材料には次のようなものがあります。

  1. 中に入れる商品に比べ容器にも重要な特性があるもの
    • 茶を入れた銀製の茶筒
    • ウイスキーを入れた装飾的な陶磁製入れ物
  2. 反復使用に適するような包装材料及び包装容器
    • 圧縮ガス用又は液化ガス用の金属製のボンベ
    • リターナブル容器

中に入れる商品に比べ容器にも重要な特性がある産品の原産地証明

 上記のa.のカテゴリーの属する産品については、中身と容器は別々のHSコードに属することとなり、それぞれ別個に課税されることとなります。容器についてEPAを利用する場合には、容器が原産品であることを証明する必要があります。

反復使用に適するような包装材料及び包装容器のEPAの利用

 製造国からの初回の直接輸入を除き、反復使用に適するような包装材料及び包装容器については積送基準を満たすことが出来ないのでEPAを利用することは出来ません。
 しかし、我が国では関税定率法第14条(容器の再輸入免税)又は第17条(容器の再輸出免税)の免税対象となります。海外においても、同様の免税措置を受けることが出来る可能性が高いと思われます。

機械の附属品・工具・予備部品・解説資料等の取扱い

 機械の附属品・工具・予備部品・解説資料等の原産地規則上の取扱いについては日EU・EPA第3・12条では次のように規定されています。

  1. 附属品、予備部品、工具及び解説資料その他の資料は、次の場合には、この条の規定の適用の対象となる。
    1. 附属品、予備部品、工具及び解説資料その他の資料が、産品に含まれるものとして分類され、及び当該産品と共に納入されており、並びにその仕入書が当該産品の仕入書と別立てにされていない場合
    2. 附属品、予備部品、工具及び解説資料その他の資料の種類、数量及び価額が産品について慣習的なものである場合
  2. 産品が完全に得られたものであるかどうか又は産品が附属書三Bに定める生産工程の要件若しくは関税分類の変更の要件を満たすかどうかを決定するに当たり、附属品、予備部品、工具及び解説資料その他の資料については、考慮しない。
  3. 産品が附属書三Bに定める価額の要件を満たすかどうかを決定するに当たり、当該産品に価額の要件を適用するための算定において、附属品、予備部品、工具及び解説資料その他の資料の価額を場合に応じて原産材料又は非原産材料として考慮する。
  4. 産品の附属品、予備部品、工具及び解説資料その他の資料は、これらと共に納入される当該産品の原産品としての資格と同一の資格を有する。

 上記の既定の1.は、附属品、予備部品、工具及び解説資料その他の資料を本体の産品と一括して原産地証明を行うための条件を規定していると考えられます。
 2.では、本体の産品が完全生産品である場合又は関税分類変更基準及び加工工程基準を用いて原産地証明を行う際には、附属品、予備部品、工具及び解説資料その他の資料については考慮する必要が無いことを規定しています。
 3.では、付加価値基準を用いる場合は、附属品、予備部品、工具及び解説資料その他の資料が原産品であるか又は非原産品であるかに応じてその価額を付加価値基準を計算するときに用いることを規定しています。
 4.では、上記2.及び3.の規定も踏まえ、本体の産品が原産品であると証明できた場合は、産品の附属品、予備部品、工具及び解説資料その他の資料も原産品であることを規定しています。
 他の協定でも同様の取扱いが規定されています。

附属品、予備部品、工具等の我が国の関税分類上の取扱い

 通常、我々が家電製品を購入する場合の附属品、組立てを行うための工具、予備部品、取扱説明書等は本体の機械と同梱されており、通常、インボイスも特にこれらの附属品等を別建てに記載することはせず、本体と一体のものとして記載されているのが一般的であると思います。このような場合、これら附属品等は通常、上記の規定により本体と一体として原産地証明を行うこととなると考えられます。また、関税分類上も本体と一括して分類されることとなると考えられます。
 しかしながら、大型機械やプラントなどの場合においては、附属品、予備部品、工具及び解説資料を本体とは別梱包し、インボイス上も個別に記載されている場合があると思います。このような場合の関税分類はどのように行うのでしょうか。
 HS品目表のリーガルテキスト(品目表の部注、類注、項の規定)には明確な規定はなく、関税率表解説(Explanatory Notes)においてこれらは本体と一括して分類することが出来る旨記載されています。第16部の国内関税分類例規には、附属品、予備部品、工具等の関税分類について次のように取り扱うこととされています。

  1. 次の各項に掲げる物品が、機械の輸入に際し、輸入者の特別の注文によることなく、当該機械の製造者又は販売者により通常提供されるものであることが明らかである場合においては、a.からd.までの各項に掲げる物品については、これらの種類、寸法等が異なるごとに1個又は1組(同一の物品が同時に多数使用されるものである場合には、その同時に使用される個数までとする。以下同じ。)を、またe.からi.までの各項に掲げる物品については、通常さし当たり必要であると認められる数量までのものを当該機械に一括分類することとする。
    1. 当該機械の予備部分品(伝動用ベルトその他のはん用性の部分品を含む。)
    2. 当該機械に使用される互換性工具類(関税率表の第 16 部の注1(o)に規定する物品のほか、同表の第 82.02 項、第 82.06 項、第 82.08 項又は第 96.03 項に属する物品を含む。)
    3. 当該機械に使用される成形用の型(例えば、関税率表の第 69.03 項、第 69.09 項、第 70.20項又は第 84.80 項に属するもの)
    4. 当該機械に使用されるボビン、スプールその他の巻取用品
    5. 当該機械の組立て用、保持用、保守用、整備用又は修理用等の手工具及び手道具
    6. 当該機械又は前各項に掲げる物品等に使用されるカバー、ケース、キャビネット、ラックその他これらに類する保管用品
    7. 当該機械に使用される消耗品(例えば、潤滑油、グリース、インキ、補修用塗料、タイプライターリボン及び自動記録用紙)
    8. 当該機械による製造又は加工に使用される材料及び当該機械による試作品
    9. 当該機械の説明書、カタログその他これらに類する物品
  2. 次の各項に掲げる物品は、輸入者の特別の注文によるものであるかないかを問わず、その種類、寸法等が異なるごとに1個又は1組を、当該機械に一括分類することとする。
    1. 当該機械の交換式部品(例えば、チェンジギヤ及びプーリー)
    2. 常時又は必要時に当該機械に取り付けて使用される附属品(例えば、関税率表の第 84.66項に属するアタッチメント、ダイ等のほか、圧力計、ダイヤルゲージその他これらに類する計測機器を含む。)
  3. (略)
  4. (略)
  5. (略)
  6. この取扱いは、同一契約により輸入を行う場合に限り適用するものとする。なお、この取扱いを、関税率表分類、統計品目表分類等のため分割すべき2種類以上の機械が申告された場合に、それぞれの機械ごとに適用し、また、分解された機械、未組立の機械又は2種類以上の機械等で分船で輸入され、申告されるものについて、許可前引取りを認め、後にこれらをセット扱いとする場合にも適用することはさしつかえないが、機械と予備部品等とが分船で輸入される場合においてこの取扱いのみを目的とする許可前引取りは認めないものとする
  7. この取扱いは、関税率表における別段の定め又は関税率表解説により、機械とともに輸入される場合でも分割して分類することと規定されている物品については、適用しないこととする。
  8. 前記1.及び前記2.のそれぞれ各項に掲げる物品に適用される関税率が、機械に適用される関税率よりも低いこと等の理由によって、申告者が分割申告を行った場合又は分割申告を希望する場合においては、前記1.から前記4.までの取扱いは行わない。(後略)

 上記の取扱いはあくまでも我が国の取扱いであり、他の国での取扱いは異なると想定されます。しかし、日EU・EPA第3・12条の規定とは整合的であると考えられます。
 附属品、予備部品、工具及び解説資料を本体の機械と一体として関税分類を行うと輸出入申告が簡単になり、EPAを利用する場合には、本体と一緒にEPA税率が適用されるので、一般的に個別に分類を行って申告するより有利となります。
 一括分類できる附属品、予備部品、工具及び解説資料の取扱いについて疑義がある場合は、輸入者を通じて輸入国税関に照会することをお勧めいたします。

組立てていない機械に関する「関税率表の解釈に関する通則2(a)」の取扱い

関税率表の解釈に関する通則2(a)」は完成した物品で輸入の際に組立てていないもの及び分解してあるものは完成品として分類することを規定したものです。この通則は、ホームセンターで販売しているような組み立て式の家具や大型機械等で輸送の都合上分解して運送するものに適用されます。
 日EU・EPAでは通則2(a)が適用される物品についての特別の規定はありませんが、第3・7条で原産品申告の単位は関税分類の単位と同一であると規定しているので、特に通則2(a)を適用する貨物に関する特別な規定は必要はないと考えられたのかもしれません。
 一方、他のEPAでは通則2(a)を適用する貨物について特別な規定を設けているものがあります。例えば日・タイEPAでは次のように規定されています。

第28条から第31条までの関連規定を満たし、かつ、統一システムの解釈に関する通則2(a)の規定により完成品として分類される産品については、分解してある状態で一方の締約国に他方の締約国から輸入される場合であっても、当該他方の締約国の原産品とみなす。

日・タイEPA 第33条

複数の機械から構成される機能ユニットの取扱いについて

 第16部注4(第90類注3により第90類の貨物にも適用)により、複数の機械から構成されるユニットが、ある特定の固有の機能を有する場合は機能ユニットとして一括して一つのHSコードに分類することが出来ます。
 各EPAにおいては、機能ユニットに関する規定は設けられていませんので、国毎に原産地証明の取扱いが異なる可能性があります。もし、原産品の資格の単位と関税分類を行う単位が同じであるとすれば、原産地証明を行う際にも、機能ユニット全体として原産地証明を行うことが出来ます。
 機能ユニットとして原産地証明を行うメリットとしては次のようなことが考えられます。

  • 複数の機械からなる物品を機能ユニットとして一つの機械として証明で行うことが出来、証明の簡素化を図ることが出来る
  • 各機械を接合する電線、通信ケーブル、パイプ等についても機械の一部として一括して証明を行うことが出来る
  • 一部の機械・接合部分品が非原産品であっても、全体としてEPA税率の適用を受けることが出来る

 但し、機能ユニットを構成する機器が異なる国で製造された機器であった場合、我が国から全てを船積みした場合においても機能ユニットとして一括分類が認められない可能性があり、その場合は、我が国で製造された機器のみがEPAの対象となります。

機器を分割して船積みする場合の取扱い

第三者証明のEPA

 第三者証明のEPAでは、原産地証明書は船積毎に発給されるので、輸送上の都合等の理由から分割して輸出する場合には、通則2(a)や機能ユニットの規定を使用できないと考えられます。この場合は、あくまでも船積毎に関税分類の単位決定し、原産地証明書を取得する必要があります。

発給された原産地証明書は、輸入締約国への輸出締約国の1回限りの輸入について適用され、かつ、当該原産地証明書が発給された日の後12箇月間有効なものとする。

日・タイEPA 第40条 原産地証明書 第6項

日EU・EPAの場合

 日EU・EPAにおいては、第15部から第21部までに該当する通則2(a)を利用して、組立てていないか又は分割して複数の船積みで輸入する機械類の原産品申告書について、特別の規定を設けています。

日EU・EPA 第3.17条第6項
 統一システムの解釈に関する通則2(a)に規定する組み立ててないか又は分解してある産品であって、統一システムの第15部から第21部までに該当するものが輸入者の要求により複数回に分けて輸入される場合には、当該産品についての単一の原産地に関する申告については、輸入締約国の税関当局が定める条件に従って使用することができる。

 EUへ輸出する際には、この規定の活用により、プラントの原産品申告書の作成が容易になるのではないかと思われます。その際には、複数の船積み貨物を一括して一つのHS番号に分類できるように、EUの規則(「EXPLANATORY NOTES TO THE COMBINED NOMENCLATURE OF THE EUROPEAN UNION」中のSECTION XVI Additional note 3)に沿って税関に前もって申し出る必要がありますので、活用するためには輸入者との連携が必須と思われます。
 また、この場合、各船積毎のインボイスに原産地証明の申告文を記載するのではなく、複数回有効な原産品申告書を作成します。

プラントのHS分類と日EU・EPAの利用

関税分類の単位が明確になるようにインボイスを作成する

 原産地証明を的確に行っても、輸入申告の際に誤った関税分類の単位で申告がなされると、一部の品目がEPAの対象から外れてしまうことが考えられ、場合によっては、原産地証明自体が否認されることになりかねません。
 このような事態を避けるためには、関税分類の単位が明確になるようにインボイスを作成することが必要です。特に複数の組立てていない、又は、分解して輸送する機械類を1つのインボイスで輸出する場合は、それぞれ一体のものとして一括分類する機械の範囲が明確になるように作成することが重要です。
 このためには、次のようなことが考えられます。

  • 一括分類を行う産品毎に見出しをつけ、その下に明細を記載する
  • 産品の見出しにHSコード6桁を記載する

 産品の見出しにHSコード6桁を記載すると、税関審査も含め、輸出入の通関がスムーズになることが想定されます。また、通関業者のミスにより意図しない誤ったHSコードで通関されるリスクも軽減することが出来ます。
 HS条約を所管しているWCO(世界税関機構)では、インボイスにHSコードを記載することを勧告しています。中々、種々の事情から普及していませんが、EPAを利用する際にはインボイスにHSコードを記載するようにしてはいかがでしょうか。

EPA/FTA原産地証明のコンサルティング

コンサルティング
*原産地証明書の根拠資料の作成方法が分からない。
*JETROや商工会議所に相談したが、原材料のHSコードが分からない。
*輸入国税関から問い合わせが来たが、どのように対応したらよいかわからない。

初歩の初歩から対応いたします。
是非、HSコードのプロにお任せください。
作業に着手するまでのご相談は無料です。お気軽にお問合せください。