EPA(FTA)を締結している国の産品に適用されるEPA税率(FTA税率)の調査方法について解説します。
 HSコードが判明している場合は、以下のサイトからMFN税率及びEPA税率を調査することができます。

目次

 

輸入の場合

 税関ホームページの実行関税率表のページから調べることができます。
 EPA税率が設定されているか否かを確認し、EPA税率が設定されていて、かつ、MFN税率よりもEPA税率の方が低い場合のみ、EPA税率の適用を検討しま す。
 同サイトには実行関税率表の見方、「税率決定までの流れ」が掲載されていますので参考にしてください。
 念のため「旧品⽬表に基づく EPA 税率が適⽤される品⽬の NACCS ⽤品⽬コード⼀覧表」に該当する品目ではないか確認されることをお勧めします。 この一覧表に該当する場合は現在のHS番号(2022年版)ではなく、古いバージョンのHS番号に基づいてEPA税率が設定されていることを示しています。
 また、EPA税率が無税でない場合は、年々税率が下がっていくことがありますので、EPA協定のステージング表を調査して、どのように低下していくか確認しておくとよいと思います。

EPA税率と一般特恵関税との関係

 インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、モンゴル、ペルーの原産品については、EPAと一般特恵関税の両方の制度が利用可能です。しかしながら一般特恵関税については、一般特恵関税の関税率の方がEPA税率よりも低い場合のみ適用が可能です。両方の税率が同一の場合、一般特恵関税は利用できません。従って、これらの国からの輸入では、EPAの利用が一般的です。
 一方、特別特恵関税の適用国であるカンボジア、ミャンマー、ラオスの原産品については両方の関税率が同じ場合でもどちらか選択可能です。日・アセアン協定と特別特恵関税の衣類の関税率は共に無税ですが、日・アセアン協定の原産地規則では、衣類を製造する場合にアセアン産の生地を使用する必要があり、中国産の生地を使用するとEPA税率の適用は認められません。特別特恵関税では生地の調達先に制限はなく、中国産の生地を使用して生産しても特別特恵関税の適用が認められます。アパレルメーカーではカンボジアやミャンマーにおいて中国製の生地を使用して衣類を製造し、特別特恵関税を利用して輸入している会社も多いと思います。

輸出の場合

 日本国内からはJETROのワールドタリフを無料で使用することができます。利用者登録を行う必要がありますが、国とHS番号を入力すると税率が出てきます。
 EUへ輸出する場合は欧州員会の関税率検索サイトであるTARIC consultationを利用すると良いでしょう。欧州員会の公式サイトですので安心できます。HS番号と原産国を入力する と適用される税率が出てきます。
 何れのサイトもMFN税率と特恵税率(EPA税率を含む。)が出てきますので、ここでも、EPA税率が設定されているか否かを確認し、EPA税率が設定さ れていて、かつ、MFN税率よりもEPA税率の方が低い場合のみ、EPA税率の適用を検討します。
 EPA税率が無税でない場合は、年々税率が下がっていくことがありますので、EPA協定のステージング表を調査して、どのように低下していくか確 認しておくとよいと思いますが、日本語訳はなく、外務省のEPAのサイトから、各協定の付属書を確認する必要があります。

EPAで規定されたバージョンのHS番号を調査する

 各EPA協定では、使用するHSのバージョンが指定されています。各EPAのHSのバージョンについては「日本が締結しているEPA(FTA)」のページをご参照下さい。
 現在日本が締結しているEPAは現在のHS番号と異なっている可能性があります。EPA税率及び原産地規則の適用はあくまでも各EPAで規定されたバージョンのHSに基づき行われるので、産品のEPA税率を調べる場合、各EPAで規定されたバージョンのHS番号を調査する必要があります。現在の2022年版HSから各EPAで規定されたバージョンのHS番号を調査する方法については、「HS品目表の改正とEPA」のページをご参照ください。
 なお、税関の原産地ポータル品目別原産地規則の検索べージでは、協定に規定されたHSコードのバージョンで品目別原産地規則を検索することが出来ます。

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