本年2月6日に日・バングラデシュ経済連携協定が署名されました。
詳しくは外務省ホームページの「日・バングラデシュ経済連携協定の署名」をご覧ください。
このページでは、日バングラデシュ協定の関税譲許や原産地規則について解説します。
目次
今後の批准手続きと発効
今後、国会での承認等、両国での国内手続き(批准)を行い、この手続が完了した旨を相互に通告する外交上の公文を両国が交換します。この交換の日の属する月の後二番目の月の初日に効力を生ずることとなっています。
日本が7月17日まで開催される予定の今国会で承認されると、バングラデシュの国会の承認の時期にもよりますが、早ければ今年夏から秋にかけて発効する可能性があります。
関税譲許
バングラデシュは現在特別特恵関税の受益国ですが、2029年3月31日で特別特恵関税を利用できなくなります。バングラデシュからの主要輸入品である衣類は一般特恵関税が設定されていません。このままですとバングラデシュからの衣類の輸入に際し、関税が課せられるところでしたが、日バングラデシュEPAを利用することにより引続き関税無税で輸入できることとなります。
衣料品のMFN税率は10%程度ですので、特別特恵関税の適用終了後はEPAを利用利用できることは大きなメリットと言えます。
日本の関税譲許
日バングラデシュ協定は、外務省のホームページに掲載されていますが、協定全体が一つのPDF文書となっています。日本の譲許表は和文の場合387ページから979ページに掲載されています。日本の譲許税率(協定を利用して日本へ輸入する場合の関税率)は次の記号で記載されています。
- A:発効と同時に関税撤廃
バングラデシュは現在特別特恵関税の適用対象国なので、それも踏まえ、繊維製品も含め多くの品目がAとなっている。
第11部(繊維製品)でAではないのは繭及び生糸(非譲許)のみ。 - B3:基準税率から無税までの4回の毎年均等な引下げにより撤廃
- B5:基準税率から無税までの6回の毎年均等な引下げにより撤廃(以下、B7、B10、B15があるが、同様の規定)
- TQR:関税割り当ての対象品目
- X:関税譲許の対象外
- ―:関税譲許の対象外(WTO協定又は日本の法律で国家貿易の対象となるもの、又は関税割り当ての対象となるもの)
- R:発効の日から90日以内に開始する両締約国による見直しの対象(靴等、譲許税率は設定されていない。)
バングラデシュの関税譲許
バングラデシュの譲許表は英文にのみ掲載されています。
譲許税率(協定を利用してバングラデシュへ輸入する場合の関税率)は次の記号で記載されています。
- A:発効と同時に関税撤廃
- B5:基準税率から無税までの6回の毎年均等な引下げにより撤廃
- B8:基準税率から無税までの9回の毎年均等な引下げにより撤廃(以下、B10、B12、B15、B18があるが、同様の規定)
- E-MFN: 将来に亘り他国に劣後しない特恵待遇を約束した品目(乗用車)。譲許税率は設定されていない。
例えば将来、EU・バングラデシュEPAでバングラデシュが自動車で関税譲許を行った場合、日本製の同一の自動車に対してもEU・バングラデシュEPAと同じ税率が適用されることとなると考えられる。 - X:関税譲許の対象外
関税引き下げの時期(2年目以降)
協定の発効日から1年目の譲許税率が適用されます。二年目以降は下記の日から次の年の譲許税率が適用されます。
- バングラデシュについては、毎年7月1日
- 日本については、毎年4月1日
原産地証明制度
日バングラデシュ協定の原産地証明制度は第三者証明制度及び認定輸出者制度が利用できます。
協定上は自己申告制度も規定されていますが、発効当初は利用できません。日本への輸入の場合にのみ、輸入者自己申告制度が利用可能です。
原産地基準
日バングラデシュ協定の原産地基準は他の協定と同様に、「完全生産品」、「原産材料のみからなる産品」、「実質的変更基準を満たした産品」等の規定からなります。
「完全生産品」と「原産材料」のみからなる産品については他の協定とほぼ同様ですので、ここでは、「実質的変更基準を満たした産品」、「累積」、「僅少の非原産材料」の規定について見て行きたいと思います。
実質的変更基準を満たした産品
「実質的変更基準を満たした産品」につては、附属書二(第三章関係) 品目別規則に規定されています。
関税分類変更基準
日バングラデシュ協定に規定されている関税分類変更基準は下記の通りとなっています。
① 第1類~第24類(食品等)
CCが大部分。CCでも特定の材料からの変更は除かれている場合がある。
例えば第2類(食肉等)の産品は第1類(生きている動物)の産品からの変更は除かれている。
09.01項(コーヒー)、17.04項(砂糖菓子)、18類(ココア、ココア調製品)、1905.10号~1905.40号(スイートビスケット、ワッフル、ラスク等)、21.03項~21.04項(調味料、スープ)、2208.20号~2208.70号(ブランデー、ウイスキー、ジン、リキュール等)及び23類(飼料等)はCTH
25類~38類(化学品)
CTH又はCTSH、一部CCの産品あり
③ 39類~40類(プラスチック・ゴム)
CTH又はCTSH
41類~43類(皮革、毛皮、鞄等)
CC
⑤ 50類~63類
- 天然繊維原料(50.01~50.03、51.01~51.03、51.04、52.01~52.03、53.01~53.05、)、人造長繊維の糸(54.01~54.06)、人造繊維のトウ・短繊維(55.01~55.07)、フェルト、不織布及び特殊糸、ひも、ケーブル、人造繊維の漁網(56.01~5608.11)及び下記を除く繊維製品:CC
- 糸(長繊維の糸を除く。)、織物、網、ひも、綱又はケーブルの製品:CTH
64類(靴)
CC
65類(帽子)
- 帽体(65.01~65.02):CC
- 帽子(65.03~65.07):CTH
⑧ 66類~69類(傘、羽毛・人髪製品、石・セメント製品、陶磁器)
CC
70類(ガラス製品)
CTH。ただし、ガラス製ビーズ、模造真珠等(7018.10及び7018.90)はCC
71類以降
CTH又はCTSH(品目ごとに細かく規定)
付加価値基準
日バングラデシュ協定の付加価値基準は、控除方式と積上げ方式の2つの計算方法を規定しています。
付加価値基準を設定していいない品目を除き、殆どが付加価値40%以上が基準となっている。
加工工程基準
日バングラデシュ協定の加工工程基準は化学品の極一部の品目と繊維製品に規定されています。
① 化学品
3006.93号(プラセボ及び盲検又は二重盲検臨床試験キット)、3402.90号(なめし剤)、3824.84~3824.99号(有機ハロゲン化化合物の混合物)、39.10(シリコーン)のみに採用されている。
化学反応が行われると原産品となることが規定されている。
② 繊維製品
50.07項(絹織物)、51.09項(羊毛製又は繊獣毛製の糸(小売用にしたものに限る。))、51.11項~51.13項(毛織物)、52.08項~52.12項(綿織物)、53.09項~53.11項(綿以外の植物繊維の織物)、54.07項~54.08項(人造繊維の長繊維の織物)、55.11項~55.16項(人造繊維の紡績糸(小売用にしたものに限るものとし、縫糸を除く。)、人造繊維の短繊維の織物)及び第60類(メリヤス編物及びクロこのセ編物)の物品については、「産品が締約国又は両締約国において完全に浸染され、又は捺染されること」という加工工程基準が適用されます。(関税分類の変更は要求されない。)
「完全に浸染され、又は捺染する工程」については、附属書2(第3章関係) 品目別規則の末尾の注釈1に規定した二以上の作業を伴わなければならないと規定されています。
累積
日バングラデシュ協定では累積には、次の3つの方法があり、累積の規定が利用しやすくなっています。
- 他の締約国の原産品を輸出国の原産材料とみなすこと
- 他方の締約国において行われた非原産材料の生産の工程又はそれによって付加された価額を当該一方の締約国において行われ、又は付加されたものとみなすこと。
- 当該産品が非原産材料を使用して生産される産品であるときは、当該一方の締約国又は他方の締約国において一又は二以上の生産者により行われる異なる段階における生産の工程又はそれによって付加された価額を考慮すること。
僅少の非原産材料
関税分類変更基準を適用する際に関税分類変更基準を満たさない非原産材料については考慮しないことが出来るという、「僅少の非原産材料」の規定の数値は下記の通りとなっています。
- 第1類~第49類、第64類~第97類
価額の総額の10%以下 - 第50類~第63類まで
総重量の10%以下
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