HSコードの第33類には、精油、香料、化粧品、口腔用の衛生用品が分類されます。

目次

第33.01項 精油・レジノイド等

第33.01項には次の物品が分類されます。

  • 精油(コンクリート及びアブソリュートを含む。)、レジノイド及びオレオレジン抽出物
  • 精油のコンセントレート(油脂、ろうその他これらに類する物品を媒質としているものに限る。)
  • テルペン系副産物
  • 精油のアキュアスディスチレート及びアキュアスソリューション

精油(コンクリート及びアブソリュートを含む。)、レジノイド及びオレオレジン抽出物

精油(essential oils)

 精油(essential oils)とは、植物から得られる香気成分で、例えば、次のような方法で得られます。

  • 圧搾法(例えば、レモンの皮から得られるレモンオイル)
  • 水蒸気蒸留法(ラベンダーオイル等)
  • 石油エーテル、ベンゼン、アセトン、トルエンのような有機溶剤又は超臨界液体(加圧下での二酸化炭素ガスなど)による生鮮植物材料からの抽出
  • 冷浸法又は温浸法より得た濃縮物からの抽出(アンフルラージュ:油脂を利用して花から香料を抽出する方法:ジャスミンオイル等)  

コンクリート(Concrete)

 溶剤で抽出した後、抽出溶媒を減圧して取り除いたものをコンクリートと言います。コンクリートには香気成分だけではなく、植物ロウも含まれていますので、固形状又は半固形状です。樹脂分は含まれていません。

アブソリュート(Absolute)

 アブソリュートはコンクリートから植物ロウを取り除いたものです。

レジノイド

 レジノイドは、乾燥した天然の非多孔性の植物性の樹脂状物質又は乾燥した天然の動物性の樹脂物質から有機溶剤抽出又は超臨界抽出により得られるものです。樹脂分を含み保留性が高いので化粧品等に使用されます。

オレオレジン抽出物

 オレオレジンは天然の多孔性の植物原材料(通常は、香料又は芳香性植物)からの溶剤抽出又は超臨界液体抽出のいずれかによって得られます。オレオレジンは揮発性の香気成分と不揮発性の香味成分を含んでいるので、食品工業で香味付けに使用されます。

精油のコンセントレート

 精油のコンセントレートは、植物又は花から油脂、ペトロラタム、パラフィンワックス等を媒質として温浸法又は冷浸法を使用して精油を抽出する際に得られるものです。この項のコンセントレートは、油脂、ろうその他これらに類する物品を媒質としているものです。

テルペン系副産物

 テルペンとは、植物や菌類等によって作り出される生体物質です。炭素10個を単位として体系化されており、れぞれモノテルペン (C10)、セスキテルペン (C15)、ジテルペン (C20)、セスタテルペン (C25)、トリテルペン (C30)等があります。ラテン語で、セスキは1.5倍、セスタは2.5倍を表します。
 この項に分類されるテルペン系副産物は、分別蒸留等の方法により精油から分離されるものです。
 この項の精油から分離された化学的に単一なテルペン(例えば、樟脳(camhor)、ℓ-メントール(l-menthol))は本項に含まれず、第29類に分類されます。
 また、第38.05項に分類される針葉樹から得たテルペン油等は、本項には含まれません。

精油のアキュアスディスチレート及びアキュアスソリューション

 香気性植物を水蒸気蒸留すると、精油は一般的に水に不溶であるため、精油層と水層に分離します。この水層がアキュアスディスチレートです。アキュアスディスチレートにも芳香成分が少量残っており、香気性を有しています。
 アキュアスソリューションは、精油の水溶液です。

第33.01項に分類されない物品

 第33.01項には次の物品は含まれません。

  • 天然のオレオレジン、バニラオレオレジン(13.01)
  • 香気成分以外の植物性物質を相当量含む植物抽出物(13.02)
  • 精油及びレジノイドから単離した化学的に単一な化合物又は合成により得られた化学的に単一な化合物(29類)
  • 植物又は動物性の着色料(32.03
  • 第33.02項に分類される精油の混合物等
  • ガムテレビン油、ウッドテレビン油及び硫酸テレビン油その他のテルペン油(蒸留その他の方法により針葉樹から得たものに限る。)(38.05

第33.02項 香気性物質の混合物及び香気性物質を基とした調製品

 本項には、次の2つのカテゴリーの物品が分類されます。

  • 香気性物質の混合物及び一以上の香気性物質をもととした混合物(工業において原材料として使用する種類のもの。アルコール溶液であっても良い。)
  • 香気性物質をもととした調製品(飲料製造に使用する種類のものに限る。)

 例えば、これらの物品は次のような物品です。

  • 精油の混合物
  • レジノイドの混合物
  • オレオレジン抽出物の混合物
  • 合成芳香剤の混合物
  • 二以上の香気性物質(精油、レジノイド、オレオレジン抽出物又は合成芳香剤)から成る混合物
  • 一以上の香気性物質(精油、レジノイド、オレオレジン抽出物又は合成芳香剤)を含む混合物で植物油、ぶどう糖又はでん粉のような希釈剤又は担体と結合させたもの。
  • 他の類に属する物品(例えば、香辛料)と一以上の香気性物質(精油、レジノイド、オレオレジン抽出物又は合成芳香剤)との混合物で、これらの香気性物質を主体とするもの

飲料製造用調製品の分類

 第33類注2に「第 33.02 項において「香気性物質」とは、第 33.01 項の物質、これらの物質から単離した香気性成分及び合成香料のみをいう。」と規定されています。香気性物質の特性を有している飲料製造用の調製品は第33.02項に、香気性物質以外の物質を基とした飲料製造用の調製品は第21.06項に分類されます。
 我が国に輸入される場合には、第33.02項に分類される場合と第21.06項に分類される場合では税率格差が大きいので、第21.06項と第32.02項の国内分類例規に具体的な分類基準が示されています。

第33.03項 香水類及びオーデコロン類

 本項には、香水、オーデコロン、オードトワレ等の人体に芳香を与えることを主目的とした製品が分類されます。
 皮膚の手入れ用の保湿ローション(33.04)、ひげそり後用のローション及び身体用防臭剤(33.07)は本項には含まれません。

第33.04項 化粧品・マニュキュア用の調製品 

 本項には次の物品が分類されます。

  • 美容用又はメーキャップ用の調製品及び皮膚の手入れ用の調製品
  • マニキュア用又はペディキュア用の調製品

 皮膚の手入れ用の調製品には、日焼止め用又は日焼け用の調製品も含まれます。

第33.04項に分類されない物品

 次の物品は本項には分類されません。

  • 皮膚病の治療に使用する医薬調製品(例えば、湿疹治療用のクリーム(30.03 又は 30.04))
  • 足の防臭剤及び動物のつめの手入れ用の調製品(33.07)
  • 人工爪(プラスチック製のものの場合は39.26)

第33.05項 頭髪用の調製品

 本項には次の物品が分類されます。

  • 頭髪用のシャンプー、リンス
  • パーマネント用の調製品
  • ヘアースプレー、ヘアーオイル、ヘアークリーム、ポマード
  • 染毛用の調製品、頭髪に使用する漂白剤

 本項には、ボディーシャンプー(34.01)、動物用のシャンプー(33.07)は含まれません。

第33.06項 口腔衛生用の調製品及びデンタルフロス

 本項には次の物品が分類されます。

  • 練歯磨きその他の歯磨き
  • 義歯用洗浄剤
  • 口すすぎ及び口中香水
  • 義歯定着用のペースト、粉及び錠剤
  • 個々に小売用に包装した歯間清掃用の糸(デンタルフロス)(柄が付いておらず、糸だけのもの。)

 本項には、歯ブラシ、歯間ブラシ、歯間クリーナー(プラスチック製の柄にデンタルフロス用の糸がついたもの)等、第96.03項に分類される物品は含まれません。

第33.07項 髭剃り用調製品、浴用調製品、防臭剤、その他の化粧品類

 本項には次の物品が分類されます。

  • ひげそり前用、ひげそり用又はひげそり後用の調製品(シェービングフォーム、アフターシェーブローション等)
  • 身体用の防臭剤及び汗止め
  • 浴用の調製品(入浴剤、フォームバス用の調製品)
  • 室内付香用又は室内防臭用の調製品
  • 脱毛剤
  • におい袋
  • 香紙及び化粧料を染み込ませ又は塗布した紙
  • コンタクトレンズ用又は義眼用の液
  • 動物用化粧品類

 本項には他の項に分類されない化粧品類(toilet preparations)が分類されます。日本語で化粧品というと、主として第33.04項の化粧品(beauty or make-up preparations)のことをいいますが、本項の化粧品は「toilet preparations」ですので、日本語で通常意味する「化粧品」よりは幅広い物品が含まれることに注意が必要です。

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