HS品目表では、金属は、貴金属(71類)、卑金属(72類~81類)及びその他の金属(第28類)に分類されます。これらの金属及びその合金の取扱い、さらに第81類に分類されるサーメットの定義についても解説していきます。
 機械類のEPA(FTA)の原産地証明を行う際には、卑金属及び卑金属製品のHSコードをよく理解しておかないと正確な証明を行うことが出来ません。

目次

HS品目表における金属の分類

 HS品目表においては、金属は以下のカテゴリーに分類されています。

  • 貴金属(第71類に分類)
  • 卑金属(第15部に分類)
  • その他の金属(化学的に単一なものは第28部に分類)

 以下、それぞれのカテゴリーにどのような金属が分類されているか見ていきたいと思います。

貴金属(第71類注4)

 第71類注4で、HS品目表は貴金属は次のように定義されています

  1. 「貴金属」とは、銀、金及び白金をいう。
  2. 「白金」とは、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム及びルテニウムをいう。

 HS品目表では「白金」には、白金族の6元素が含まれていることにご注意ください。

卑金属(第15部注3)

 第15部注3で次のように卑金属を規定している。

 この表において「卑金属」とは、鉄鋼、銅、ニッケル、アルミニウム 、鉛 、亜鉛 、すず、タングステン、モリブデン、タンタル、マグネシウム、コバルト、ビスマス、カドミウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン、マンガン、ベリリウム、クロム、ゲルマニウム、バナジウム、ガリウム、ハフニウム、インジウム、ニオブ、レニウム及びタリウムをいう。

 日本語では、「卑金属」も「非金属」も同じ読みですので紛らわしいですが、英語では卑金属は「base metals」、非金属は「non-metals」となりますので違いは明確です。

その他の金属

 貴金属及び卑金属以外の金属は第28類に分類される。
 これらの金属には、金属ケイ素、カルシウム、ナトリウム、水銀、イットリウム、希土類金属等がある。

サーメットの取扱い(第15部注4)

 金属の炭化物や窒化物などの粉末を金属の結合材と混合して焼結した複合材料であるサーメットも第81類に分類されています。サーメットはHS品目表上は卑金属とは異なる取扱いとなりますが、しかし第15部に分類される材料として、卑金属材料と関連して取扱われることがあります。例えば、2以上の卑金属を結合した物品の分類について規定する第15部注7では、「第81.13 項のサーメットは、一の卑金属とみなす。」とされています。
 第15部注4において、サーメットは次のように規定されています。

 この表において「サーメット」とは、金属成分とセラミック成分から成る微細で不均質な複合体を含有する物品をいう。サーメットには、焼結した金属炭化物(一の金属を焼結した金属炭化物をいう。)を含む。

 ここで注意が必要なのは後段の部分です。商習慣上一般的にサーメットは前段の物品を指すようです。HS品目表のサーメットは炭化タングステン等の金属炭化物も含まれることとなっています。

合金の分類

貴金属の合金の分類(第71部注5)

 貴金属の合金の分類については、第71部注5で次の様に規定されている。

 この類において貴金属を含有する合金(焼結したもの及び金属間化合物を含む。)のうち、貴金属のいずれか一の含有量が全重量の2%以上であるものは、貴金属の合金として取り扱う。この場合において、貴金属の合金については、次に定めるところによる。

  1. 白金の含有量が全重量の2%以上のものは、白金の合金として取り扱う。
  2. 金の含有量が全重量の2%以上で、白金の含有量が全重量の2%未満のものは、金の合金として取り扱う。
  3. その他の合金で、銀の含有量が全重量の2%以上のものは、銀の合金として取り扱う。

 貴金属の合金の場合は、何れかの貴金属が2%以上含まれている場合には、貴金属の合金となります。
 白金族の金属が合わせて2%以上含まれている合金は、全て白金の合金となります。金や銀の含有量は関係ありません。白金3%、金97%の合金があったとすれば、白金の合金となります。
 白金族の金属の含有量が2%未満で金の含有量が2%以上の合金は、金の合金となります。
 白金族の金属及び金の含有量がそれぞれ2%未満の合金で銀の含有量が2%以上の合金は銀合金として取扱われます。 

白金族の合金(第71.10項)中の号の決定(第71類号注)

 第71.10項には白金族の金属及びその合金が分類されますが、その項中に、白金、パラジウム、ロジウム、及びイリジウム、オスミウム及びルテニウムを分類する号があります。

71.10 白金(加工してないもの、一次製品及び粉状のものに限る。)
    -白金
7110.11--加工してないもの及び粉状のもの
7110.19--その他のもの
    -パラジウム
7110.21--加工してないもの及び粉状のもの
7110.29--その他のもの
    -ロジウム
7110.31--加工してないもの及び粉状のもの
7110.39--その他のもの
    -イリジウム、オスミウム及びルテニウム
7110.41--加工してないもの及び粉状のもの
7110.49--その他のもの


 この際、これらの号を決定する規則が第71類号注に次のように規定されています。

2.第7110.11 号及び第7110.19 号において白金には、注4(B)の規定にかかわらず、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム及びルテニウムを含まない。

3.第71.10 項の合金は、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム又はルテニウムのうち含有する重量が最大の金属が属する号に属する。

 号注の2.で71類注4(B)の規定は、上記の貴金属の定義で、「『白金』とは、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム及びルテニウムをいう。」という規定の事です。項を決定する場合には、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム及びルテニウムを一つの「白金」という金属として取扱いますが、第71.10項中の号を決定する場合には、これらは別々の金属として取扱うことを規定しています。
 次の号注3.は、第71.10項中の白金族の合金の号を決定する場合には、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム又はルテニウムのうち含有する重量を比較して、重量が最大である金属の号に分類することを規定しています。

卑金属合金の分類(第15部注5)

 卑金属には、当該金属の合金が含まれます。
 卑金属の合金が、どの金属の合金として取扱われるかについては、第15部注5に次のように規定されています。

 合金(第72 類注1(ⅽ)又は第74 類注1(ⅽ)のフェロアロイ及びマスターアロイを除く。)については、次に定めるところによりその所属を決定する。

  1. 卑金属合金は、含有する金属のうち重量が最大の金属の合金とする。
  2. この部の卑金属とこの部に属しない元素とから成る合金であって、当該卑金属の含有量の合計重量が当該元素の含有量の合計重量以上であるものは、この部の卑金属の合金として取り扱う。
  3. この部において合金には、金属粉の混合物を焼結したもの、溶融により製造した金属の不均質な混合物(サーメットを除く。)及び、金属間化合物を含む。

 第72類のフェロアロイは鉄の含有量が4%以上、第74類のマスターアロイは銅の含有量が10%以上のものとされていますので、上記の規定の例外となります。 

卑金属相互の合金の分類

 上記のa.では、卑金属相互の合金は、含有する金属のうち重量が最大の金属の合金として取扱うこととなっています。
 (例)

  • 黄銅(真鍮)
    七三黄銅(銅が約70%、亜鉛が約30%): 銅合金として第74類に分類
  • ニッケル黄銅
    銅72 %、亜鉛20 %、ニッケル8 % : 銅合金として第74類に分類
  • ジュラルミン
    アルミニウム93.5%、銅4.5%、マグネシウム1.5%、マンガン0.5%:アルミニウム合金として第76類に分類
  • チタン合金
    チタン 90%、アルミニウム 6%、バナジウム 4%:チタン合金として第81類に分類

卑金属とその他の元素(貴金属を除く)との合金

 上記b.の規定は、卑金属とその他の元素(貴金属を除く。)との合金の分類に関するものです。この規定では、卑金属の合計の含有量が他の元素の含有量の合計を上回れば、卑金属元素として分類することを規定しています。
 もし、卑金属以外の元素の重量の合計が卑金属の合計の重量を上回る場合には、第15部には分類されず、例えば、第38.24項等に分類されることとなります。

  • 高ケイ素アルミニウム合金
    アルミニウム 80%、ケイ素 20% : アルミニウムの合金として第76類に分類
  • ステライト™157
    コバルト 71.1%、クロム 22%、タングステン 4.5%、ホウ素 2.4% : コバルトの合金として第81類に分類
  • カルシウムアルミニウム合金 (冶金工業の還元剤等として使用)
    カルシウム 75%、アルミニウム 25% : その他の化学工業製品として第38.24項に分類  

     *青地は第15部(卑金属)に分類されない元素

金属粉の混合物、金属間化合物等の分類

 上記のⅽ.においては、合金には、①金属粉の混合物を焼結したもの、②溶融により製造した金属の不均質な混合物(サーメットを除く。)及び、③金属間化合物、が含まれることを明確にしています。
 金属粉の混合物を焼結した物品及び溶解により製造した金属の不均質な混合物(サーメットを除く。)は、合金として取扱います。後者の混合物には、金属のくずを溶解して製造した各種の成分割合のインゴットが含まれます。
 ただし、金属粉の混合物で焼結していないものの分類は、この部の注7の規定による(二以上の構成成分からなる製品、下記(B)参照)。
 また、金属間化合物と合金との基本的な相違は、金属間化合物の結晶格子中の異種原子の配列が規則正しくなっているのに対し、合金中では不規則となっていることです。

2以上の卑金属を結合した物品の分類(第15部注7)

 2以上の卑金属を結合した分類の物品の分類については、第15部注7で次のように規定されています。

 二以上の卑金属を含む卑金属の物品(卑金属以外の材料を混ぜた物品で、関税率表の解釈に関する通則の規定により卑金属の物品とされるものを含む。)は、項において別段の定めがある場合を除くほか、含有する金属のうち重量が最大の卑金属の物品として取り扱う。この場合においては、次に定めるところによる。

  1. 鉄及び鋼は、同一の金属とみなす。
  2. 合金は、5の規定によりその合金とされる金属ですべて構成されているものとみなす。
  3. 第81.13 項のサーメットは、一の卑金属とみなす。

 この注の意味するところは、2種類以上の卑金属を含む物品はその最大重量を占める金属(合金を含む。)として分類されることです。以下のアルミニウムと真鍮(銅合金)で構成される管の場合は、真鍮の重量が一番多いため、銅合金の管として第74.11項に分類されます。

第15部注7における「項において別段の定めがある場合を除くほか」の意義

 上記の規定は、「項において別段の定めがある場合を除くほか」という例外規定があります。どのような場合においても、2種類以上の卑金属を含む物品はその最大重量を占める金属として分類されるということではありません。
 例えば、下記の様に鉄鋼製ののこぎりの刃(100g)、アルミニウム合金のフレーム(750g)からなる手のこぎりは、第82.02項に手のこぎりを分類する項がありますので、その構成する金属の重量に関わらず、第820.02項に分類されます。

第15部注7適用の例外についての説明図

第15部の構成

 第15部は卑金属及び卑金属製品を分類する部です。第72類から第83類まで(第77類は欠番)と第11部(繊維及び繊維製品)に次ぐ大きな部となっています。
 第15部の構成は次のようになっています。

  • 第72類 鉄鋼
  • 第73類 鉄鋼製品
  • 第74類 銅及びその製品
  • 第75類 ニッケル及びその製品
  • 第76類 アルミニウム及びその製品
  • 第77類 (欠番)
  • 第78類 鉛及びその製品
  • 第79類 亜鉛及びその製品
  • 第80類 すず及びその製品
  • 第81類 その他の卑金属及びサーメット並びにこれらの製品
  • 第82類 卑金属性の工具、道具、刃物、スプーン及びナイフ並びにこれらの部分品
  • 第83類 各種の卑金属製品

第82類及び第83類に属する物品は第72類から第81類には分類されません。

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