第84.84項にガスケットを分類する項がありますが、この項に分類されるガスケットは2以上の材質からなるものに限られます。
 ガスケットの材質は多様であり、また、その形状は様々です。ガスケットのHSコードは、材質及び形状により大きく異なります。ガスケットとその他のシーリング材のHSコードを解説していきます。

目次

第84.84項のガスケット

 第84.84項の規定は次のようになっています。

 ガスケットその他のこれに類するジョイント(他の材質と結合した金属板製のもの及び二層以上の金属から成るものに限る。)、材質の異なるガスケットその他これに類するジョイントをセットにし又は取りそろえて小袋入りその他これに類する包装にしたもの及びメカニカルシール

 この文章だけを読むと分かりずらいですが、 第84.84項には次の3つのカテゴリーの物品が分類されます。

  1. ガスケットその他のこれに類するジョイント(他の材質と結合した金属板製のもの及び二層以上の金属から成るものに限る。)
  2. 材質の異なるガスケットその他これに類するジョイントをセットにし又は取りそろえて小袋入りその他これに類する包装にしたもの
  3. メカニカルシール

1.他の材質と結合した金属板製及び二層以上の金属から成るガスケット

 このカテゴリーに分類されるガスケットには例えば次のようなものがあります。

  • 石綿又はフェルト、板紙その他の非金属性材料の芯を二枚の金属板の間にはさんだもの
  • 石綿その他の非金属性材料を所定の形に切り、その外縁部及びガスケット又はジョイントの穴の周辺部を金属板で包んだもの
  • 同種又は異種の金属はくを重ねて圧縮したもの
    例えば、銅箔とアルミ箔を重ねて圧縮したガスケット

2.ガスケットその他これに類するジョイントをセットにし又は取りそろえたもの

 複数の材料、例えば凝集コルク、革、ゴム、紡織用繊維、板紙、石綿等のガスケットを取り揃えてセットにし、包装したものが本カテゴリーの物品となります。単一の材料のみからなるセットは本項には分類されず、通常は材料の材質に基づいて分類されます。
 例えば、全部が板紙製である5つのガスケットを小袋入りの包装にしたものは、この項には含まれず48.23 項に分類されます。しかし、当該セットにしたものが、ゴム製のガスケットも含んでいる場合には、第84.84項に分類されます。

3.メカニカルシール

 機械の可動部分から液体等が漏出することを防ぐためのシールで、固定部分と可動部分からなるものです。メカニカルシールの構成材には様々のものが使用されており、使用部分の形状に合わせて多様な形状のものがあります。

オイルシーリング(第84.87項)

 オイルシーリングは第84.87項に分類されます。オイルシーリングは例えば未加硫ゴムを金属に加硫接着(未加硫ゴムと他の物質をゴムの加硫を行うことによって接着すること)することにより製作されます。メカニカルシールと異なり可動部分を有しません。

ゴム製のガスケット

 加硫ゴムのガスケットは、第4016.93号に分類されます。
 加硫ゴム製品は、第16部(機械機器)、第17部(輸送機器)及び第18部(光学機器、医療用機器、精密機器等)から除外されていますので、どのような形状のガスケットであってもこれら機械機器の部分品として分類されることはありません。
 なお、シリコンゴム等、通称「・・・ゴム」と称されている物品のうち、第40類注2の規定を満たさない高分子化合物は第39類のプラスチックとして取扱われますので注意が必要です。

卑金属製及びプラスチック製のガスケット

 卑金属製品及びプラスチック製品は、汎用性の部分品については、第16部(機械機器)、第17部(輸送機器)及び第18部(光学機器、医療用機器、精密機器等)から除外されている一方、卑金属製及びプラスチック製の第16部(機械機器)、第17部(輸送機器)及び第18部(光学機器、医療用機器、精密機器等)の物品については、第39類(プラスチック製品)及び第15部(卑金属製品)から除外されています。
 従って、卑金属製及びプラスチック製のガスケットはその形状によりHSコードが異なることとなります。

汎用性の部分品として分類されるガスケット

 第73.18号に分類されるワッシャー(座金)と同一形状の鉄鋼製のガスケットは、ワッシャーとして第73.18項に分類されます。第15部注2に規定されている汎用性の部分品は第16部(機械機器)、第17部(輸送機器)及び第18部(光学機器、医療用機器、精密機器等)から除外されていますので、ワッシャーとして分類されるこれらのガスケットは、鉄鋼製のものは第73.18項に、銅製のものは第74.15項に、アルミ製のものは第76.16項に、プラスチック製のものは第39.26項に分類されることとなります。
 また、その他、機械の部分品と特定できないガスケットは、素材の属する項に分類されることとなります。

特定の機械に供するために製造された特殊な形状のガスケット

 汎用性の部分品の形状をしていない、専ら特定の機械に供するために製造された特殊な形状のガスケットは、機械類の部分品分類5原則の原則4等に従い、当該機械の部分品として分類されることとなります。
 分類事例(国際分類例規

8418.99 1.Gaskets
本品は、バリウムフェライトの磁気棒を内蔵したプラスチック製の形材(戸に適合する形状にしたもの)で、冷蔵庫の戸に取り付けるためのガスケットである。

技術的用途に供する革製、紡織用繊維製のガスケット

 第16部注1(b)、(e)及び第18部注1(a)により、機械類その他の技術的用途に用いるための次の物品は第16部及び第18部から除外されています。

  • 革製品及びコンポジションレザー製品(第 42.05 項参照)
  • 毛皮製品(第 43.03 項参照)
  • 紡織用繊維製のその他の製品(第 59.11 項参照)

 これらの物品はその形状いかんにかかわらず、上記の素材の属する項に分類されます。

その他の材質のガスケット

 第45類(コルク製品)、第48類(紙製品)、第68部(石、セメント、石綿製品)、第69類(陶磁器製品)、第70類(ガラス製品)で製造されたガスケットについては、機械の部分品として分類されるか、その材質により分類されるかについてはHSに特段の規定はありません。
 第45.03項(天然コルクの製品)、第68.12項(石綿製品)の関税率表解説又は項の規定で、ガスケットがこれらの項に分類されることが明記されています。従って、特定の機械に専ら供するとみなすことが出来ない一般的なガスケットは、これら素材の属する項に分類されると考えられます。
 しかしながら、特定の機械に専ら供するために製造された特殊な形状のガスケットについては、素材の属する項に分類するか、又は、機械の部分品として分類するかは通則3(a)により判断されることとなります。例えば、天然コルクのガスケットの場合は、「・・・機械の部分品」の方が「天然コルクの製品」より限定されていると考えられるので、機械の部分品として分類されることとなります。

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