前記の原則によりその所属を決定することができない物品は、当該物品に最も類似する物品が属する項に属する。

 この通則は、通則1から3までの原則によりその所属を決定することができない物品について定めたものです。このような物品は、当該物品に最も類似している物品が属する項に分類します。
 通則4の規定に基づいて所属を決定する場合、提示された物品に最も類似している物品を決定するために、提示された物品と同種の物品とを比較することが必要です。提示された物品は、それに最も類似する同種物品と同一の項に属します。
 類似性は、品名、性質、用途等の多くの要素によって決定することになります。

通則4の適用事例

ナイロンの糸の破片:5601.30
 本品は、それぞれが933 デシテックスのマルチフィラメントを撚った2本の単糸から成る黒く染色したマルチプルヤーンから製造したもので、貨物自動車のタイヤ製造の際に補強材として使用するために、約2~6ミリメートルの長さに切断したものである。

【参考】第56.01項:紡織繊維のウォッディング及びその製品並びに長さが5ミリメートル以下の紡織用繊維(フロック)、紡織用繊維のダスト及びミルネップ
 本品は、紡織用繊維のフロックに類似していますが、関税率表解説には、「紡織用繊維のフロックは、長さが5ミリメートル以下の紡織用繊維から成る(絹、羊毛、綿、人造繊維等)。フロックは、各種の仕上工程中、とりわけベルベットのパイルを切断したときに、くずとして得られるものである。またトウや繊維を切断することによっても作られる。」とあり、56.01項に規定するフロックの規定には該当せず、通則1を適用した場合は第56.01項には分類されません。
 繊維製品のバスケット項(下記参照)として、第63.07項がありますが、同項は、「そのたのもの(ドレスパターンを含むものとし、製品にしたものに限る。)(Other made up articles, including dress patterns)」とあり、繊維素材である本品は製品にしたもの(made up articles)には該当せず、第63.07項には分類されません。
 従って、通則1~3の規定に従って所属を決定できないので、通則4を適用して、最も類似している物品(紡織用繊維のフロック)を分類している第56.01項に分類されたのではないかと考えています。

雑談コーナー

☆ 通則4の適用はHS品目表の欠陥?

 HSは、部、類の最後の項等に「その他の~(その他の調製食料品、その他の化学調製品、その他のプラスチック製品等)」という項を設け(他の項に分類されない商品をまとめて分類するので「バスケット項」といいます。)、新規商品ができた際にも商品がどの項の規定にも該当しないという事態を回避しています。しかし、これらの枠に当てはまらない新規商品が出現しますし、上記の例のように、折角設けられたバスケット項の条件に当てはまらない場合も出てきます。
 HS品目表は、世界中のありとあらゆる商品が一つの項に分類されるように作成していなければなりません。2つ以上の項に分類される可能性があるという事態(通則3の適用)は許容範囲でも、品目表のどこの項にも属さないという事態は本来的にはあってはならないことでしょう。そういう事態も想定して通則4がありますが、私の税関の先輩は、通則4の適用は品目表の欠陥だ、と言っていました。
 多くの場合、通則4を適用しなければならない商品が出現した場合は、次のHS改正の際に通則4を適用せずに分類できるように品目表が改正されていると考えています。

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