HSコードの第90類には、光学機器、写真用機器、映画用機器、測定機器、検査機器、精密機器及び医療用機器並びにこれらの部分品及び附属品が分類されます。第90類に分類される物品の部分品のHSコードの分類も、第16部の機械類と同様に5原則にまとめることが出来ます。
 これらの物品の部分品の分類については、第16部(機械類、電気機器)の機械機器の部分品の分類と大きく異なるところはありません。ただ、若干異なるところもありますので、その点についても触れたいと考えています。
 なお、実際の分類に当たっては、該当する部注・類注・項の規定及び関税率表解説の規定に従って下さい。

目次

原則1 はん用性の部分品は材質により分類

 第90類の測定機器等の部分品についても、第15部注2に規定するはん用性の部分品及びびプラスチック製のこれに類する物品は第90部注1(f)の規定により除外されています。除外される汎用性の部分品についてはこちらをご覧ください。

原則2 第90類注1に規定する物品

 測定用機器等、第90類に分類される物品の部分品・付属品の内、第90類注1に規定する物品は第90類には分類されません。
 第90類注1に掲げられているのは次の物品です。

  • 機器用その他の技術的用途に供する種類のゴム製品(加硫したゴム(硬質ゴムを除く。)製のものに限る。第40.16項参照)、革製品(第42.05項参照)、コンポジションレザー製品(第42.05項参照)及び紡織用繊維製品(第59.11項参照)
  • 紡織用繊維製の支持ベルトその他の支持用の製品(その弾性のみにより身体の一部を支え又は保持する効果を意図したものに限る。例えば、妊婦用ベルト、胸部支持用包帯、腹部支持用包帯及び関節用又は筋肉用のサポート)(第11部参照)
  • 第69.03項の耐火製品及び第69.09項の理化学用その他の技術的用途に供する陶磁製品
  • 卑金属製又は貴金属製の鏡で光学用品でないもの(第83.06項及び第71類参照)及び第70.09項のガラス鏡で光学的に研磨してないもの
  • 第70.07項、第70.08項、第70.11項、第70.14項、第70.15項又は第70.17項の物品(ガラス製の物品)
  • 第84.13項の計器付きポンプ並びに重量測定式の計数機、重量測定式の検査機及び単独で提示する分銅(第84.23項参照)、持上げ用又は荷扱い用の機械(第84.25項から第84.28項まで参照)、紙又は板紙の切断機(第84.41項参照)、第84.66項の物品で加工機械又はウォータージェット切断機械に取り付けた工作物又は工具の調整用のもの(目盛りを読むための光学的機構を有するもの(例えば、光学式割出台)を含むものとし、それ自体が光学機器の特性を有するもの(例えば、芯出し望遠鏡)を除く。)、計算機(第84.70項参照)、第84.81項の弁その他の物品並びに第84.86項の機器(感光面を有する半導体材料に回路図を投影又は描画するための機器を含む。)
  • 自転車又は自動車に使用する種類のサーチライト及びスポットライト(第85.12項参照)、第85.13項の携帯用電気ランプ、映画用の録音機、音声再生機及び再録音機(第85.19項参照)、サウンドヘッド(第85.22項参照)、テレビジョンカメラ、デジタルカメラ及びビデオカメラレコーダー(第85.25項参照)、レーダー、航行用無線機器及び無線遠隔制御機器(第85.26項参照)、光ファイバー(束にしたものを含む。)用又は光ファイバーケーブル用の接続子(第85.36項参照)、第85.37項の数値制御用の機器、第85.39項のシールドビームランプ並びに第85.44項の光ファイバーケーブル
  • 第94.05項のサーチライト及びスポットライト
  • 第95類の物品(玩具・スポーツ用品等)
  • 第96.20項の一脚、二脚、三脚その他これらに類する物品
  • 容積測定具(構成する材料により該当する項に属する。)
  • スプール、リールその他これらに類する巻取用品(構成する材料により該当する項に属する。例えば、第39.23項及び第15部)

原則3 84類、85類、90類及び91類に特掲されている部分品は当該項に分類

 第90類注2(a)の規定により、第90類の物品の部分品のうち、第84類、第85類、第90類及び第91類の各項(第 84.87項、第 85.48 項及び第 90.33 項を除く。)に特掲されている部分品は、それぞれ特掲されている項に分類されます。
 この原則が適用される部分品には次のようなものがあります。

  • 電子顕微鏡用の真空ポンプ(84.14 項)
  • トランスフォーマー、電磁石、コンデンサー、抵抗器、継電器、ランプ( 85 類)
  • 90.01 項又は 90.02 項の光学用品(90.01 項又は90.02 項)
  • 時計用ムーブメント(91 類)
  • 顕微鏡、ストロボスコープとともに使用するように特に設計したカメラ(90.06 項)

 (この類の物品の)部分品及び附属品は、この類、第 84 類、第 85 類又は第 91 類のいずれかの項(第 84.87項、第 85.48 項及び第 90.33 項を除く。)に該当する場合は、当該いずれかの項に属する。

第90類注2(a)

原則4 特定の機器に専ら又は主として使用する部分品は機器と同じ項に分類

 第90類の特定の機器又は同一の項の複数の機器に専ら又は主として使用する部分品及び付属品は当該物品が分類される項に分類します。
 どのような部分品がこの原則に従い分類されるかは、物品が分類される項の解説に詳しく書かれています。
 例えば、第90.06項のカメラの部分品には次のようなものがあり、カメラと同じ第90.06項に分類されます。

  • 写真機のボディー
  • ベローズ
  • ボール式又はソケット式の雲台
  • シャッター
  • 絞り
  • シャッターレリーズ
  • 乾板用又はフィルム用のマガジン
  • レンズフード

(a)に定めるものを除くほか、特定の機器又は同一の項の複数の機器(第 90.10 項、第90.13 項又は第 90.31 項の機器を含む。)に専ら又は主として使用する部分品及び附属品は、これらの機器の項に属する。

第90類注2(b)

第90類の物品を除外している物品の部分品のHSコード

 下記の物品については、部注又は類注によりそれぞれの部又は類から第90類に使用する機器及び分部品は除外されています。従って、原則1の「汎用性の部分品」及び原則2の「機器用その他の技術的用途に供する種類のゴム製品(加硫したゴム(硬質ゴムを除く。)製のもの」等を除き、第90類の物品の下記の部分品は第90類に分類されます。

  • 第39類:プラスチック製品
  • 第40類:ゴム製品
  • 第44類:木材製品
  • 第68類:歯科用バー
  • 第69類:義歯
  • 第70類:光ファイバー、光学的に研磨した光学用品、皮下注射器、義眼、温度計、気圧計、浮きばかりその他の物品
  • 第71類:天然又は養殖の真珠、貴石、半貴石、貴金属及び貴金属を張った金属の製品。
  • 第15部:卑金属製品

原則5 第90類の複数の項の機器に使用される部分品及び附属品は第90.33項に分類

 部分品及び附属品が、この類の異なる項に該当する複数の機器に使用することに適したものである場合は、当該部分品及び附属品それ自体が原則3で分類される場合を除き、第90.33 項に分類されます。

その他の部分品及び附属品は、第 90.33 項に属する。

第90類注2(ⅽ)

例外 より特殊な限定をしている項への分類(通則3(a)の適用)

 第90類の物品を除外していない物品の部分品については、それらの物品の材質により分類される項又は第90類の該当する項の両方に分類される可能性があります。この場合は、S品目表の解釈に関する通則3(a)の適用により、より特殊な限定をして記載をしている項に分類します。

第90類の物品を除外していない物品

 第45類(コルク製品)、第48類(紙製品)、第11部(紡織用繊維製品)、第68部(石、セメント、石綿製品)、第69類(陶磁器製品)、第70類(ガラス製品)については、第90類の物品を除外する規定がありません。上記の1~5の原則が適用出来ない場合、これらの材質で製作された第90類の機器の部分品は、これらの材質に属する項又は第90類の機器の部分品の属する項のどちらにも分類される可能性があります。この場合、他に特別な規定がない限り、通則3(a)により分類が決定されることとなります。

番外 第84類~第91類の機器の部分品と特定できない物品の分類

機械類の部分品のHSコード分類5原則の当該部分をご参照ください。

HSコード研修

当コンサルティングのHSコード研修はご好評を頂いております。
正しいHSコードの附番はEPA(FTA)の利用には不可欠です。
是非、お問合せ下さい。