HS品目表の第34類には、せっけん、有機界面活性剤、洗剤、調製潤滑剤、人造ろう、調製ろう、磨き剤、ろうそくその他これに類する物品、モデリングペースト、歯科用ワックス及びプラスターをもととした歯科用の調製品が分類されます。

目次

第34.01項 石鹸及び皮膚の洗浄に使用する調製品

 第34.01項には次の4カテゴリーに属する物品が分類されます。

  • 石鹸
  • 固形石鹸(有機界面活性剤をもととした調製品)
  • 皮膚の洗浄に使用する有機界面活性剤及びその調製品(液状又はクリーム状で小売用にしたものに限る。)
  • せっけん又は洗浄剤を染み込ませ、塗布し又は被覆した紙、ウォッディング、フェルト及び不織布

 なお、頭髪用のシャンプー、リンスは第33.05項に分類されます。

第34.01項に分類される「石鹸」とは

 上記❶の石鹸は、分子中に8個以上の炭素原子を有する脂肪酸又は脂肪酸の混合物からつくられる無機又は有機のアルカリ塩です。脂肪酸の一部は、樹脂酸で置き換えられることがあります。
 カルシウム石鹸等、化学的には石鹸であっても、水に不溶のものは本項には含まれません。(28類、38類等) 

第34.02項 有機界面活性剤、調製洗剤、清浄用調製品

 第34.02項には、次の物品が分類されます。

  • 有機界面活性剤(せっけんを除く。)
  • 調製界面活性剤
  • 調製洗剤
  • 補助的調製洗剤
  • 清浄用調製品(せっけんを含有するかしないかを問わないものとし、第34.01項のものを除く。)

第34.02項に分類される「有機界面活性剤」

 第34類注3に第34.02項に分類される「有機界面活性剤」が定義されています。

 第34.02項において有機界面活性剤は、温度20度において0.5%の濃度で水と混合し、同温度で1時間放置した場合において、次のいずれの要件も満たす物品をいう。

  1. 不溶物を析出することなく透明若しくは半透明の液体又は安定したエマルジョンを生成すること。
  2. 水の表面張力を1メートルにつき0.045ニュートン(1センチメートルにつき45ダイン)以下に低下させること。

 アルキルポリエチレングリコール、シリコーン等でこの定義を満足するポリマーは、第39類ではなく第34.02項に分類されます。品名から判断して第39類に分類している事例がありますが、水溶性のポリマーの分類に際しては、表面張力の試験数値が必要となる場合があります。
 この項には、化学的に単一な有機化合物は含まれません。(第29類)
 有機界面活性剤には、次のような種類があります。

  • 陰イオン界面活性剤
    水溶液中で電離して負に帯電した有機イオンが界面活性を示す物質。カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩等があります。
    工業的品質のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩は、よく使用される陰イオン界面活性剤です。化学的に単一なドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムは第29類に分類されます。
  • 陽イオン界面活性剤
    水溶液中で電離して陽に帯電した有機イオンが界面活性を示す物質。脂肪族アミンの塩又は第四アンモニウム塩基の塩等があります。
  • 非イオン界面活性剤
    水溶液中においてイオンを生じない界面活性剤。脂肪族アルコール、脂肪酸又はアルキルフェノールとエチレンオキシドとの縮合物、脂肪酸アミドのエトキシレート等があります。
  • 両性界面活性剤
    媒体の条件によっては、水溶液中でイオン化することができ、陰イオン活性剤又は陽イオン活性剤の性質を示す界面活性剤。アルキルベタイン(alkylbetaine)又はスルホベタイン(sulphobetaine)を含有するたんぱく質、アミノカルボン酸系、アミノスルホン酸系、アミノ硫酸系又はアミノりん酸系の置換化合物があります。

調製洗剤・補助的調製洗剤

 衣類や食器用・台所用の洗剤がこのグループに該当します。調製洗剤には、有機界面活性剤や石鹸の他、ビルダー(ポリりん酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム)、ブースター(界面活性剤を効率よく汚れに向かわせる成分、脂肪族アミド等)、増量剤(硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム等)、補助剤(漂白剤、蛍光白色染料、香料、殺菌剤及び酵素等)が含まれています。
 補助的調製洗剤は、衣類、家庭用リネン等の浸せき(前洗い)、すすぎ又は漂白に使用するものです。

有機界面活性剤や石鹸が含まれていない清浄用調製品

 このグループには、次亜塩素酸ナトリウムとオルトりん酸三ナトリウムとの混合物からなる洗浄剤、炭酸ナトリウム等のアルカリ性物質をもととする洗浄剤、溶剤及び乳化剤をもととした洗浄剤等があります。 

調製界面活性剤

 調製界面活性剤は、上記に該当しないもので次のような物品です。

  • 有機界面活性剤の混合物
  • 有機界面活性剤を有機溶剤に溶かしたもの又は分散させたもの
  • 有機界面活性剤と石鹸の混合物
  • 石鹸を有機溶剤に溶かしたもの又は分散させたもの

第34.03項 調製潤滑剤、切削油、繊維・皮革等のオイリング剤

 第34.03項には次のような物品が分類されます。

  • 調製潤滑剤
  • ダイスのあなに線材を容易に通すための伸線用調製潤滑剤
  • 調製切削油
  • ボルト又はナットの離脱剤
  • 調製防錆剤又は調製防食剤
  • 潤滑剤をもととした各種調製離型剤
  • 紡織用繊維、皮革、毛皮等の潤滑、オイリング又は加脂処理に使用する調製品

 この項には、石油又は歴青油の含有量が全重量の70%以上で、かつ、石油又は歴青油が基礎的な成分を成すものは含まれません。(27.10)
 また、液圧ブレーキ液その他の液圧伝動用の調製液(38.19)や伝動ベルト滑り止め調製剤(38.24)、38.24項の防錆剤は含まれません。

第34.04項 人造ろう及び調製ろう

 第34類注5に本項に分類される「人造ろう及び調製ろう」が規定されています。

第34.04項において「人造ろう及び調製ろう」とは、次の物品をいう。

  1. 化学的に得た有機物でろうの特性を有するもの(水溶性であるかないかを問わない。)
  2. 異種のろうを混合することにより得た物品
  3. 一以上のろうをもととし、脂、樹脂、鉱物性物質その他の材料を含有する物品で、ろうの特性を有するもの

ただし、第34.04項には、次の物品を含まない。

  1. 第15.16項、第34.02項又は第38.23項の物品(ろうの特性を有するものを含む。)
  2. 第15.21項の動物性又は植物性のろう(混合していないものに限るものとし、精製してあるかないか又は着色してあるかないかを問わない。)
  3. 第27.12項の鉱物性ろうその他これに類する物品(これらを相互に混合してあるかないか又は単に着色してあるかないかを問わない。)
  4. 液状の媒体と混合し又はこれに分散させ若しくは溶解させたろう(第34.05項、第38.09項等参照)

 したがって、第15類の植物性ロウ、ミツロウ等、第27.12項のパラフィンロウ、第29類の化学的に単一な化合物、工業用の脂肪性モノカルボン酸及び工業用の脂肪性アルコールは第34.02項には分類されません。

人造ロウの定義

 第32類注5の上記a.及びc.で規定されている合成ロウ及び調製ロウは関税率表解説において、次の特性を有する必要がある旨規定されています。

(1)滴点が40度を超えること、かつ、
(2)その滴点より10度高い温度で、回転粘度計で測定した粘度が10Pa・s(又は10,000cP)以下であること

 ポリエチレンワックス等を輸入する際に、滴点及び粘度の数値を税関から求められることがあるかも知れませんが、それはこの規定を満足するか否かを調査するためのものです。

第34.05項 履物用、床用、車体用等の磨き料及びクリーム

 本項には、次の物品が分類されます。

  • 履物用、家具用、床用、車体用、ガラス用又は金属用の磨き料及びクリーム
  • 調理用品、流し用、タイル用、ストーブ用等の調製した擦り磨き用のペースト及び粉
  • 革用の磨き料、クリームその他これらに類する調製品
  • 保護性能を有するつや出し用調製品

 本項には「ワックス」と称されている物品も含まれますが、これらは下記の何れかの点で、第34.05項に分類される「人造ろう及び調製ろう(artificial waxes and prepared waxes)」とは異なります。

  • 人造ロウ又は調製ロウに研磨剤やその他の物質を添加している。
  • 第32.04項の合成ロウ及び調製ロウの条件を満たさない。
  • 液状の媒体と混合し又はこれに分散させ若しくは溶解させたロウである。

第34.06項 ろうそく及びこれに類する物品

 本項に含まれるろうそくは、着色、付香、装飾等をしてあるかないかを問いません。

第34.07項 モデリングペースト、歯科用のワックス、印象材等

 本項には、次の物品が含まれます。

  • モデリングペースト
  • 歯科用ワックス及び歯科用の印象剤
    歯科医が歯の型取りに使用する種々の組成の調製品
  • 焼いた石膏又は硫酸カルシウムから成るプラスターをもととしたその他の歯科用調製品
    プラスターをもととした歯科用の調製品で、歯の形取り用、模型用その他の歯科用に使用される。

 本項には、第25.20項に分類される少量の促進剤又は遅延剤のみを加えたプラスター及び第30.06項に分類される歯科用セメント及び歯科用充てん材料は分類されません。

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