我が国の実行関税率表と輸出統計品目表では、人造繊維、合成繊維、再生繊維及び半合成繊維という言葉が出てきます。
 人造繊維は、HS品目表では、「man-made fibres」となっており、次の合成繊維、再生繊維及び半合成繊維を全て含めて、人工的に製造した繊維を言います。
 2以上の紡織用繊維からなる物品のHS分類におては、第54類(長繊維)と第55類(短繊維)の繊維は同じ類の繊維として取扱うことがあります。
(注:HS品目表は、英国式の英語のため、米語の「fibers」ではなく、「fibres」となっています。)

目次

  1. 合成繊維
  2. 再生繊維及び半合成繊維
  3. 人造繊維の長繊維と短繊維のHS分類
    1. 第55類に分類される長繊維のトウ
    2. 短くても第54類に分類される人造繊維のストリップ
  4. 第54類人造繊維のモノフィラメントと第39類プラスチックの線との違い
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合成繊維

 合繊繊維は、HS品目表では、「synthetic fibres」となっており、第54類注1(a)で次のように規定されています。

 有機単量体の重合により製造した短繊維及び長繊維(例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン又はポリウレタンのもの)、又は、この工程により得た重合体を化学的に変性させることにより製造した短繊維及び長繊維(例えば、ポリ(酢酸ビニル)を加水分解することにより得たポリ(ビニルアルコール))

 要は、化学合成によりポリマーを形成して得られた繊維ということになります。合成繊維には、アクリル繊維、モダクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維等があります。

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再生繊維及び半合成繊維

 再生繊維及び半合成繊維は、HS品目表では、「artificial fibres」となっています。天然繊維に似せて製造した繊維といった意味になるでしょうか。第54類注1(b)で次のように規定されています。

 繊維素その他の天然有機重合体を溶解し若しくは化学的に処理することにより製造した短繊維及び長繊維(例えば、銅アンモニアレーヨン(キュプラ)及びビスコースレーヨン)、又は、繊維素、カゼイン及びその他のプロテイン、アルギン酸その他の天然有機重合体を化学的に変性させることにより製造した短繊維及び長繊維(例えば、アセテート及びアルギネート)

 英語では、「artificial fibres」と一語です。再生繊維及び半合成繊維は共に母体となる高分子は天然由来ですが、再生繊維は母体となる高分子が変性していないもの、半合成繊維は母体となる高分子を化学的に変性させたものをいいます。
 再生繊維の代表例は、木材パルプ等からセルロース分だけを溶解して、繊維として再生させたレーヨンです。例えば、ビスコースレーヨンは、亜硫酸木材パルプのセルロースを水酸化ナトリウム、硫化炭素で処理し、最終的に紡糸口金を通じ酸性凝固浴中へ紡出し、再生セルロースの繊維を形成させたものです。出発物質もセルロースで、最終的な繊維も同じセルロースですので、再生繊維と呼ばれます。
 半合成繊維の代表例は、、セルロース中の水酸基をアセチル化させたアセテート繊維です。
 これらのカテゴリーには、セルロースの繊維だけではなく、動植物性たんぱく質の繊維、アルギン酸の繊維も含まれます。

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人造繊維の長繊維と短繊維のHS分類

 第54類は「人造繊維の長繊維並びに人造繊維の織物及びストリップその他これに類する人造繊維製品」、第55類は「人造繊維の短繊維及びその織物」となっています。
 しかしながら、長繊維は絹のように一本の長い繊維、短繊維は綿のように短い繊維という概念にとらわれすぎると、第54類及び第55類の分類を誤ることになります。長い繊維だけれども第55類、短い繊維だけれども第54類に分類される物品があるからです。

第55類に分類される長繊維のトウ

 第54類注2に次の規定があります。

 第54.02 項及び第54.03 項には、第55 類の合成繊維の長繊維のトウ及び再生繊維又は半合成繊維の長繊維のトウを含まない。

 第55類の長繊維のトウに分類されと、長繊維であっても第54類には分類されないことになります。
 第55類注1には、第55類に分類される長繊維のトウを次のように定めています。

 第55.01 項及び第55.02 項には、人造繊維の長繊維のトウで、同一の長さの平行した繊維(トウの長さに等しい長さのものに限る。)から成るもののうち、次のすべての要件を満たすもののみを含む。
(a)長さが2メートルを超えること。
(b)より数が1メートルにつき5未満であること。
(c)構成する1本の長繊維が67 デシテックス未満であること。
(d)合成繊維の長繊維のトウについては、延伸処理をしたもので、その長さの2倍を超えて伸びないこと。
(e)1束につき20,000 デシテックスを超えること。
長さが2メートル以下のトウは、第55.03 項又は第55.04 項に属する。

 長さについては、「2メートルを超える。」ことという規定しかないことにご注意ください。後は、より数、構成する1本の長繊維の太さ、トウの1束の太さ(及び合成繊維については、伸び率)の全ての規定を満足する物品は第55.01項又は第55.02項に分類されることとなります。
 上記の定義に該当する長繊維のトウは通常、短繊維の製造に使用されるため、長繊維であっても第54類ではなく、第55類に分類されというわけです。
 第55類のに分類される繊維は全て短いわけではありません。

第55.03項及び第55.04項に分類される短繊維

 上記の55類注1で、「長さが2メートル以下のトウは、第55.03 項又は第55.04 項に属する。」とされています。私のイメージるる短繊維は、もっと短いですが、2メートルの短繊維は思ったより長いイメージです。
 あるメーカーの方は、2メートル弱の合成繊維のトウは第55.01項に分類されると譲らなかったと営業担当の方から聞いたことがあります。業界の慣習はともかく、HS品目表ではっきりと2メートル以下の合成繊維のトウは第55.03項に分類されると書いてあります。

短くても第54類に分類される人造繊維のストリップ

 第54.04項に合成繊維のストリップ、第54.05項に人造繊維のストリップが分類されます。
 これらの人造繊維のストリップは幅が5ミリ以下の平たいものですが、紡出するか又は幅広ストリップ若しくはシートを切断することによって作られます。第54.04項の関税率表解説には、「一般には長尺のものであるが、短く切断されているもの及び小売用にしたものであるかないかを問わずこの項に属する。」とあり、短繊維のように短い繊維でも第54類に分類されますので注意が必要です。

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第54類人造繊維のモノフィラメントと第39類プラスチックの線との違い

 第11部の人造繊維は第39類に分類されませんが、第39類に分類されるプラスチックの製品との違いは何でしょうか?
 第11部注1には、「この部には、次の物品を含まない。」として、(g)には次の物品が記載されています。

 プラスチックの単繊維で横断面の最大寸法が1ミリメートルを超えるもの及びプラスチックのストリップその他これらに類する物品(例えば、人造ストロー)で見掛け幅が5ミリメートルを超えるもの(第 39 類参照)並びにこれらの組物、織物類、かご細工物及び枝条細工物(第 46 類参照)

 この規定により、人造繊維のモノフィラメントで横断面の最大寸法が1㎜を超えるもの及び人造繊維のストリップで見かけ幅が5㎜を超えるものは第39類に分類されることになります。
 ここで、言葉の問題ですが、HS品目表上は、第11部に分類される繊維が紡織用繊維、第39類に分類されるものがプラスチックとなります。従って、直径0.9㎜のポリエステルのモノフィラメントは紡織用繊維、1.1㎜のポリエステルの線はプラスチックとなります。
 また、紡織用繊維を縦横に織ったものは第11部の紡織用繊維の織物、同じくプラスチックの線を縦横に織ったものは組物として第46類に分類されることとなります。

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