HSコードの第30類には、医薬品、医療用の動物性生産品、血液、ガーゼ、包帯その他の医療用物品が含まれます。この類に含まれない注射器や各種医療用機器は第90類に分類されます。

目次

第30.01項 臓器療法用の腺(せん)その他の器官及び腺その他の器官又はその分泌物の抽出物

 本項には次の物品が含まれます。

  • 臓器療法用の腺(せん)その他の器官(乾燥したものに限るものとし、粉状にしてあるかないかを問わない。)
  • 腺その他の器官又はその分泌物の抽出物で臓器療法用のもの並びにヘパリン及びその塩
  • 治療用又は予防用に調製したその他の人又は動物性の物質(他の項に該当するものを除く。)

 なお、腺(せん)その他の動物性の器官で生鮮、冷蔵又は冷凍のもの及びその他の方法により一時的に貯蔵したもの(第2類又は第5類)、胆汁(乾燥してあるかないかを問わない。)(05.10)、第29 類の物品(例えば、アミノ酸(29.22)、ビタミン(29.36)、ホルモン(29.37))、グロブリン及びグロブリン分画物で、治療用又は予防用に調製してないもの(35.04)は本項には含まれません。

第30.02項 治療用の血液、免疫血清、血液分画物、ワクチン、毒素、培養微生物

HS第30.02項に含まれる物品

 本項には次の物品が分類されます。

  • 人血
  • 治療用、予防用又は診断用に調製した動物の血
  • 免疫血清その他の血液分画物及び免疫産品(変性したものであるかないか又は生物工学的方法によって得たものであるかないかを問わない。)
  • ワクチン
  • 毒素
  • 培養微生物(酵母を除く。)その他これらに類する物品並びに細胞培養物(変性したものであるかないかを問わない。)

HS第30.02項から除外される物品

 本項には、次の物品は含まれません。

  • 治療用、予防用又は診断用に調製していない動物の血(05.11)
  • 酵母及び生きていない単細胞微生物(ワクチンを除く。)(21.02)
  • アルカロイド(29.39)
  • 治療用又は予防用に調製してない血液アルブミン(35.02)又はグロブリン(血液グロブリン及び血清グロブリンを除く。)(35.04)
  • 酵素(レンネット、アミラーゼ等)及び微生物を起源とする酵素(streptokinase、streptodornase等)(35.07)
  • 「血清」又は「人造血清」と呼ばれるもので血液から分離したものでない医薬品

第30.03項及び第30.04項 医薬品

pill

 これらの項には、医薬品が分類されます。
 第30.03項には、人又は動物の疾病の治療又は予防に内用又は外用として使用するための医薬調製品(2以上の物質を混合したもの)が分類されます。第29類の化学的に単一な化合物は含まれません。
 第30.04項には、投与量にし又は小売用の形状若しくは包装にした医薬品が分類されます。「投与量にしたもの」とは、治療用又は予防用に、あらかじめそのまま投薬し得る分量に小分けしてあるものです。これらは、タブレット剤、アンプル剤、カプセル剤、カシェ剤、ドロップ剤若しくは香剤、経皮投与剤又は少量の粉剤の形にしてあるものです。

第30.05項 脱脂綿、ガーゼ、包帯その他これらに類する製品

 本項には、次の脱脂綿、ガーゼ、包帯等が分類されます。

  • 紡織用繊維製、紙製、プラスチック製等の物品で医療用又は獣医用として医薬(表面刺激剤・防腐剤等を含む。)を染み込ませ若しくは塗布したもの
  • 医療用若しくは獣医用として小売用の形状若しくは包装にした物品(医薬を染み込ませ又は塗布してないものを含む。)

 従って、小売用の形状若しくは包装にしておらず、かつ、医薬を塗布したり、又は、染み込ませていない物品は第30.05項には分類されず、通常、第11部の繊維製品に分類されます。
 なお、本項には、次のような被覆材も含まれます。

  • 動物皮膚組織(通常、豚)の切片を凍結又は凍結乾燥して調製したもので、皮膚の損失した部分、傷口の開いたけが、外科感染等の患部に対して直接あてがう一時的な生物被覆材
  • 小売用のスプレー缶に入っており、透明の保護用フィルムで傷面を覆って使用する液状の被覆材

第30.06項 種々の医療用物品

 本項には、第30類注4に規定された次の物品のみが分類されます。

  1. 外科用のカットガットその他これに類する縫合材(外科用又は歯科用の吸収性糸を含むものとし、殺菌したものに限る。)及び切開創縫合の接着剤(殺菌したものに限る。)
  2. ラミナリア及びラミナリア栓(殺菌したものに限る。)
  3. 外科用又は歯科用の吸収性止血材(殺菌したものに限る。)並びに外科用又は歯科用の癒着防止材(殺菌したものに限るものとし、吸収性であるかないかを問わない。)
  4. エックス線検査用造影剤及び患者に投与する診断用試薬(混合してないもので投与量にしたもの及び二以上の成分から成るもので検査用又は診断用に混合したものに限る。)
  5. プラセボ及び盲検又は二重盲検臨床試験キットで、認可された臨床試験で使用されるもの(投与量にしたもので、活性薬剤を含有しているかいないかを問わない。)
  6. 歯科セメントその他の歯科用充てん材料及び接骨用セメント
  7. 救急箱及び救急袋
  8. 避妊用化学調製品(第29.37項のホルモンその他の物質又は殺精子剤をもととしたものに限る。)
  9. 医学又は獣医学において外科手術若しくは診療の際に人若しくは動物の身体の潤滑剤として又は人若しくは動物の身体と診療用機器とを密着させる薬品としての使用に供するよう調製したゲル
  10. 薬剤廃棄物(当初に意図した使用に適しない薬剤。例えば、使用期限を過ぎたもの)
  11. 瘻(ろう)造設術用と認められるもの(例えば、結腸造瘻(ろう)用、回腸造瘻(ろう)用又は人工尿路開設術用の特定の形状に裁断したパウチ並びにこれらの接着性のウエハー及び面板)

 本項には、第38.22項の診断用試薬、第25.20項又は第34.07項のプラスター及びプラスターをもととした歯科用調製品、第90類の医療器具及び医療用機器は含まれません。

第30類に分類されない医療用品

のど飴(第17.04項)

 砂糖とメントール、1,8-シネオール、ペパーミント油等の芳香剤からなるのど飴・咳止めシロップは砂糖菓子として第17.04項に分類されます。(国際分類例規参照)
 一方、芳香剤以外の医薬成分を含有しているのど飴は第34.04項に分類されます。

強壮剤・サプリメント・ビタミンを基とした栄養補助食品

 第30.04項には、次のような物品は含まれません。

  • 食餌療法用の食料、強壮飲料(第21.06項、第22類等)
  • 植物又はその部分の混合物から成る物品で、病気の症状を緩和し、又は一般的な健康に寄与すると称されているもの(第21.06項等)
  • ビタミンを含有するカプセル、錠剤で、栄養素の摂取を目的としたもの(第21.06項)

 治療又は予防を目的としたビタミン剤は、第3404.50号に分類されます。

スキンケア―用品等

 治療および予防用の調製品であっても、下記の物品は第30類には分類されません。

  • 第33.01項の精油のアキュアスディスチレート又はアキュアスソリューション
  • 第33.03項(香水類及びオーデコロン類)、第33.04項(皮膚の手入れ用の調製品等)、第33.05項(頭髪用の調製品)、第33.06項(口腔衛生用の調製品)、第33.07項(その他の化粧品)に属する物品
  • 薬用せっけん(第34.01項)

第90類に属する医療用器具及び医療用機器

 第90類には各種の医療用機器、診断装置、整形外科用の機器・治療具が分類されます。
 特に、第90.18項には、注射器、注射針、カテーテル、外科用のナイフ及びメス、ピンセット、聴診器、血圧計等が含まれます。

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