一般に、第2類から第14類までには生の又は調製していない食料品が、第16類から第21類までには加熱調理した物品や調製食料品が分類されています。
 加熱の程度や調理方法によってHSコードが異なることがあります。ここでは肉及び魚介類のHSコードを見ていくこととします。

目次

加熱調理とHSコード

 加熱調理された食料品は、原則として調製食料品として第16類から第21類までに分類されます。しかし、加熱の程度や物品の種類によっては第2類から第5類までに分類される物品があります。また、調製されていると見做される物品は加熱処理されていなくても第16類に分類されます。例えば、フライパンで焼けば良いように予め味付けされた肉等です。 

第2類に分類される食肉と第16類に分類される調製食料品

第2類に分類される物品

  • 生鮮、冷蔵、冷凍、塩蔵、塩水漬け、乾燥又はくん製の肉及びくず肉
  • あらかじめ、さっと熱処理された肉及びくず肉
  • 砂糖又は砂糖の水溶液を軽くふりかけた肉及びくず肉
  • たんぱく質分解酵素(例えば、パパイン)を作用させて柔らかくした肉及びくず肉
  • この類の異なる項に属する物品を混合したもの又は組合せたもの(例えば、02.09 項の豚の脂肪で被覆した 02.07 項の家きんの肉)
  • 加熱調理した食用に適する肉及びくず肉の粉又はミール

第16類に分類される物品

  • ソーセージ(加熱調理をしていないものを含む。)
  • 加熱調理した肉及びくず肉
  • 調味した肉及びくず肉
  • ころもで覆った肉及びくず肉
  • レバーペースト
  • パテ

第2類の物品と第16類の物品の分類基準

第2類の肉及びくず肉と第16類の肉の調製品の分類の取扱いについては、国内分類例規で次のように規定されています。

肉類の調製品の分類基準について

  1. 食塩のみにより味付したものは第2類に分類する。
  2. 
こしょう等の香辛料又は調味料を添加したものにあっては、添加物が分析の結果から明らかに確認でき(塩及びこしょうのみにあっては、こしょうそのものの含有量 0.3%をもって目安とする。)、かつ、適度の味覚を有するものを第 16 類に分類する。

  3. 肉塊に大豆たんぱく、でん粉等を単に結着剤として使用したものは第2類に分類する。
ミンチ肉に大豆たんぱく、でん粉等を添加して均質化したものは第 16 類に分類する。この場合、大豆たんぱく、でん粉等の含有量は 10%を目安とする。

  4. 肉の小塊を動物のえさとして食品に適さないように肉塊の表面の大部分を着色したものは第5類に分類する。

  5. 豚肉に牛肉を添加したか否かの判断は、分析及び味覚試験の結果明らかに牛肉を使用したものと認められる場合とする。


(注)こしょうの含有量の分析は、こしょう中に含有されるピペリンの平均含有量5%を基準に判定する。なお、市販の「こしょう」粉末には増量剤が含まれているものがあるので注意を要する。

 味付け肉については、しっかりと味が付いていることが重要です。
 塩コショウのみで味付けされた肉は、調製されているかどうかを官能試験(実際に食べてみること。)のみでは判断が困難な場合があります。その場合には、コショウの含有量を科学的な分析により測定します。コショウの含有量の測定には、コショウの辛みの基となっている「ピペリン」という成分の含有量を測定します。
 ピペリンの測定は肉の内部の部分を使用して行います。肉の表面のみコショウがきいていても内部まで浸透していない場合には調製しているとは認められませんのでご注意ください。

燻製にした食品の取扱い

 燻製は、木材を加熱した際に生じる煙により香味を付けているものも多いので、一般に程度の差はあれ加熱されています。一方、現在では燻煙臭をつけるために、燻液浸すという方法で燻製の食料品をつくることも多いようです。これらは、項の規定で「燻製のもの」となっていますので、加熱の有無によらずに、「燻製のもの」という規定のある項に分類されます。
 例えば、第2類に分類されるハムと第16に分類されるハムの区分については次のように規定されています。

02.10 項 1.製造工程中において加熱処理が施されたハムの取扱い


 第 02.10 項に属するハムには、豚肉を原料とし、これに整形、塩漬け、くん煙及び湯煮又は蒸煮の処理(これらの加熱処理における温度は通常、約 70 度である。)を施して得られ、通常、我が国における商慣行上ハムとして取引される物品(例えば、ボンレスハム、ロースハム又はラックスハムと称されるもの)を含む。ただし、気密容器入りのものは本項には含まれず、第 1602.41号、第 1602.42 号又は第 1602.49 号のハムに分類する。
 なお、滅菌したハム(約 120 度の温度で加熱処理する方法又はこれと同等以上の効力を有する
方法により菌を完全に死滅させたもので常温で長期間保存可能のもの)及び通常プレスハムと称される物品は、第 1602.41 号、第 1602.42 号又は第 1602.49 号の豚の肉又はくず肉のその他の調製品に含まれる。

第3類に分類される魚介類と第16部に分類される調製食料品

 魚類、甲殻類、軟体動物及びその他の水棲無脊椎動物の場合も、原則として加熱処理したものは第16部に分類されます。しかし、次の物品は加熱処理してあっても第3類に分類されます。

  • 燻製にしたもの:燻製の際に又は燻製の前に加熱による調理をした燻製の魚、甲殻類、軟体動物、その他の水棲無脊椎動(03.05~03.08)
  • 単に蒸し又は水煮した殻付きの甲殻類(03.06)
  • 軟体動物で、開殻のためや輸送又は凍結に先立つ安定化のために必要な熱湯処理その他の熱衝撃(heat shock)のみを施したもの(03.07)
  • 加熱による調理をした魚、甲殻類、軟体動物及びその他の水棲無脊椎動物から得られる粉、ミール及びペレット(03.09)

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