鉄鋼及び鉄鋼製品は、HS品目表の第72類及び第73類に分類されます。
第72類には、鉄鋼の塊等の一次製品、板、棒鋼、形鋼及び線が分類されます。そしてこれらは、フェロアロイ、銑鉄の他、鉄鋼に含まれる成分により、鉄及び非合金鋼、ステンレス鋼及びその他の合金鋼に大きくグルーピングされています。
第73類には、さらに加工が進んだ鉄道用レール、パイプ、管用接手、ボルト・ナット等各種の鉄鋼製品が分類されます。
目次
鉄鋼の性質・成分による分類(第72類)
第72類は、鉄鋼の性質・成分により、第1節「一次材料及び粒状又は粉状の物品」、第2節「鉄及び非合金鋼」、第3節「ステンレス鋼」及び第4節「その他の合金鋼及び合金鋼又は非合金鋼の中空のドリル棒」の4節からなっています。
一次材料及び粒状又は粉状の物品
第1節には、銑鉄及びスピーゲル(72.01)、フェロアロイ(72.02)、鉄鉱石を直接還元して得た鉄鋼その他の海綿状の鉄鋼及び重量比による純度が 99.94%以上の鉄(ランプ、ペレットその他これらに類する形状のものに限る。)(72.03)、鉄鋼のくず及び鉄鋼の再溶解用のインゴット(72.04)、銑鉄、スピーゲル又は鉄鋼の粒及び粉(72.05)が分類されます。これらは、主として実用上圧延又は鍛造に適しないもので、製鋼原料や第2節から第4節の鉄鋼の原料として使用されます。
「鉄及び非合金鋼」、「ステンレス鋼」、「その他の合金鋼」の定義
第2節から第4節にはどのような鉄鋼が分類されるか、その定義を下記の表にまとめました。
節 | HSコード | 鉄鋼の種類 | 定 義 |
第2節 | 72.06~72.17 | 鉄及び非合金鋼 | 実用上圧延又は鍛造に適する鉄材で、炭素の含有量が全重量の2%以下のもので、72.18項から72.29項に該当しないもの |
第3節 | 72.18~72.23 | ステンレス鋼 | 炭素の含有量が全重量の1.2%以下で、クロムの含有量が全重量の10.5%以上の合金鋼 |
第4節 | 72.24~72.29 | その他の合金鋼 | 次に掲げる元素の一以上の含有量が重量に対してそれぞれ次に掲げる割合以上の鋼で、ステンレス鋼の定義に該当しないもの。クロム鋼には、炭素の含有量が全重量の2%を超えるものを含む。 アルミニウム 0.3%、ほう素 0.0008%、クロム 0.3%、コバルト 0.3%、銅 0.4%、鉛 0.4%、マンガン 1.65%、モリブデン 0.08%、ニッケル 0.3%、ニオブ 0.06%、けい素 0.6%、チタン 0.05%、タングステン 0.3%、バナジウム 0.1%、ジルコニウム 0.05%、その他の元素(硫黄、りん、炭素及び窒素を除く。) 0.1% |
鉄鋼の形状による分類(第72類)
第2節から4節の鉄鋼はその形状により細かく細分されています。
特に注意が必要なのが、鉄鋼製の板のHSコードです。鉄鋼製の板の多くはロール状に巻いて流通しています。その関係もあってか、第72類では「鉄鋼製の板」という分類項目はありません。しかしながら、鉄鋼製の板はフラットロール製品に分類されることが、第72類注1(k)に明記されています。他の卑金属製品では例えば「銅の板」という項がありますので、鉄鋼の流通に詳しくない方はどこに分類してよいか分からずに、第73.01項の鋼矢板のHSコードを付けていた方もいました。
下に、鉄鋼の形状によるHSコードをまとめましたので参考にして頂ければと考えます。
第72類の物品の定義
上記の鉄鋼の形状については、第72類注1に以下のように詳細に定義されています。HSコードを付けていく際には、商習慣上の呼び名に関わらず、この定義に従うこととなります。
半製品(注1(ij))
中空でない連続鋳造製品(第一次の熱間圧延をしてあるかないかを問わない。)及び第一次の熱間圧延をし又は粗鍛造した中空でないその他の物品(形鋼のブランクを含むものとし、更に加工したものを除く。)をいうものとし、巻いたものを除く。
フラットロール製品(注1((k))
「フラットロール製品」とは、横断面が長方形(正方形を除く。)であり、かつ、中空でない圧延製品で、(ij)の規定に該当しないもののうち次のものをいう。
- 連続的に層状に重ねて巻いたもの
- 巻いてないもので、厚さが 4.75 ミリメートル未満、幅が厚さの 10 倍以上であるもの又は厚さが 4.75 ミリメートル以上で、幅が 150 ミリメートルを超え、かつ、幅が厚さの2倍以上であるもの
フラットロール製品には、圧延工程中に直接付けた浮出し模様(例えば、溝、リブ、市松、滴、ボタン及びひし形)を有し、穴をあけ、波形にし又は研磨したもので、他の項の物品の特性を有しないものを含む。
フラットロール製品で、長方形(正方形を含む。)以外の形状のもの(大きさを問わない。)のうち、他の項の物品の特性を有しないものは、幅が 600 ミリメートル以上の物品とみなしてその所属を決定する。
フラットロール製品の分類に関しては、「板のHSコードは長方形と円形では大違い」のページもご参照ください。
棒(熱間圧延をしたもので、不規則に巻いたものに限る。)(注1((l))
中空でない不規則に巻いた熱間圧延製品で、横断面が円形、弓形、だ円形、長方形(正方形を含む。)、三角形その他凸多角形(横断面の一の相対する辺が凸の円弧で、他の相対する辺が長さの等しい平行な直線から成るへん平状の円形及び変形した長方形を含む。)のものをいうものとし、圧延工程で節、リブ、溝その他の異形を付けたもの(鉄筋用の棒)を含む。
その他の棒
横断面が全長を通じて一様な形状(円形、弓形、だ円形、長方形(正方形を含む。)、三角形その他凸多角形(横断面の一の相対する辺が凸の円弧で、他の相対する辺が長さの等しい平行な直線から成るへん平状の円形及び変形した長方形を含む。)に限る。)を有し、かつ、中空でない物品で(ij)から(l)までの規定及び線の定義のいずれにも該当しないものをいうものとし、圧延工程で節、リブ、溝その他の異形を付けたもの(鉄筋用の棒)及び圧延後ねじったものを含む。
形鋼
横断面が全長を通じて一様な形状を有し、かつ、中空でない物品で、(ij)から(m)までの規定及び線の定義のいずれにも該当しないものをいう。
ただし、第72類には、第73.01項又は第73.02項の物品を含まない。
線
横断面が全長を通じて一様な形状を有し、かつ、中空でない冷間成形をした物品(巻いたものに限るものとし、横断面の形状を問わない。)で、フラットロール製品の定義に該当しないものをいう。
中空ドリル棒
ドリル用の中空棒であって、横断面の外側の最大寸法が15ミリメートルを超え52ミリメートル以下であり、かつ、横断面の内側の最大寸法が外側の最大寸法の2分の1以下であるもの(横断面の形状を問わない。)をいうものとし、鉄鋼のその他の中空棒は、第73.04項に属する。
第72.28項の中空のドリル棒には、合金鋼ではない通常の鉄鋼も含まれることにご留意ください。
鉄鋼製品(第73類)のHSコード
鉄鋼製品は第73類に分類されます。第73類の構成はおおむね次の様になっています。
- 73.01~73.02:土木・鉄道用の鉄鋼製品(鋼矢板、レール、枕木等)
- 73.03~73.06:管、中空の型材等
- 73.07:管用接手
- 73.08~73.11:構造物、建材、タンク、ドラム、缶等
- 73.12~73.15:ロープ、ケーブル、有刺線、ワイヤクロス、鎖等
- 73.16:いかり
- 73.17~73.20:釘、鋲、ボルト、ナット、座金、安全ピン、手針、ばね等
- 73.21~73.22:ストーブ、炉、調理加熱器、ラジエター等
- 73.23~73.24:食卓用品、台所用品、衛生用品等
- 73.25~73.26:その他の鉄鋼製品
第73類には、第82類(包丁、のこぎり、刃物、手持工具、互換性工具等)及び第83類(鍵、取付具、金庫、事務用具、小像その他の装飾品、フレキシブルチューブ、ネームプレート等)に分類される物品は含まれませんのでご注意ください。
鉄鋼製の機械・輸送機器の部分品の分類
汎用性の部分品、ボビン、スプール、コップ、コーン、コア、リールその他これらに類する巻取用品、金属の線又はストリップから製造したエンドレスベルト等を除き、第73類には機械、輸送用機器の部分品は分類されません。
詳しくは、下記をご参照ください。