HS品目表は、貿易する物品の変化や技術進歩に合わせるために約5年毎に改正が行われています。2022年1月1日から新しいバージョンのHS品目表の使用が開始される予定となっています。2022年版HS品目表改正の概要を説明していきます。
 なお、これまでのHS品目表の改正については、「HS品目表(HSコード)の改正とEPA(FTA)の基準年」のページをご覧下さい。
 また、税関ホームページの「HS2022改正について」に一連の関係資料が掲示されています。

目次

2022年版の関税率表解説及び分類例規

 2022年版HS移行に伴う関税率表解説及び分類例規の新旧対照表が税関ホームページに掲載されています。税関ホームページの「関税率表解説及び分類例規の改正等について」をご参照ください。

2022年版HS品目表の調べ方

WCOのサイトで調べる

 HS品目表を所管するWCO(世界税関機構)のサイトでは、2022年版のHS品目表に対する新旧対照表及び2022年版と2017年版の相関表が掲載されています。相関表では2017年版のHSコードが、2022年版のどのHSコードに対応するのかを調べることが出来ます。
 また、これまでの各バージョンのHS品目表も掲載されています。

税関ホームページで調べる

 我が国の2022年版HS品目表に基づく関税率を定める関税定率法別表の改正に関する法律は既に国会で成立していて、税関ホームページに掲載されています(関税定率法等の一部を改正する法律(令和3年法律第12号))。日本語の2022年版HS品目表は、この法律改正の新旧対照表3ページ~192ページの上段に掲載されています。
 税関ホームページには、輸入申告に使用する輸入実行関税率表(関税率表と輸入統計品目表とを合体させたもの。)と輸出申告に使用する輸出統計品目表は、2017年版HS品目表に基づく最新のものが掲載されています。22年1月1日から使用される2022年版HS品目表に基づく輸出入統計品目表は、10月15日に告示されています。告示については、こちらをご参照ください。

食料品・タバコ(第1類~第24類)

第3類 「魚類の粉、ミール、ペレット」 の項を新設

 第03.09項を新設し、「魚並びに甲殻類、軟体動物及びその他の水棲無脊椎動物の粉、ミール並びにペレット(食用に適するものに限る。)」を分類します。これらの物品は、従来、第03.05項から第03.08項に分類されていました。
 6桁の細分として、「0309.10 魚のもの」及び「0309.90 その他のもの」が新設されています。

第4類 ヨーグルトの範囲の拡大と食用昆虫の特掲

ヨーグルト(0403.20)の範囲の拡大

 第4類に注2を新設し、第04.03項においてヨーグルトは、これまで認められていた砂糖その他の甘味料、果実、ナット、ココア以外に、香辛料、コーヒー若しくはそのエキス、植物若しくはその部分、穀物又はベーカリー製品を加えていてもヨーグルトとして分類することを明確にしました。このため、これまでは、第1901.90号に分類されていた一部の物品は第0430.20号に分類されることとなります。
 ただし、ミルクの組成分の一部又は全部を置き換えるために穀物等を加えたものや、ヨーグルトの重要な特性を保持していないものはこれまで通り、第1910.90号に分類されることとなります。

食用昆虫の特掲(0410.10)

 食用昆虫は、国により第2類又は第4類に分類されており、各国で分類の不一致がありました。FAO(国連食糧農業機関)の提案により、第0410.10号に食用の昆虫類を特掲することとなりました。また、分類の統一を図るために、第4類に注6として食用の昆虫として分類される「昆虫類」の定義を新設しています。
 第16類にも食用昆虫の調製品が分類されることを明確にするため、項の規定が改正されています。その他の類の調製品については、食用昆虫が重量で20%以上含まれる調製品が第16類に移行する可能性があります。

第7類 シイタケ、マッタケ等の特掲(07.09)

 FAOの提案により、第07.09項に「きのこ(やまどりたけ属のもの)」、「きのこ(あんずたけ属のもの)」、「しいたけ(レンティヌス・エドデス)」、「まつたけ(トリコロマ・マツタケ、トリコロマ・マグニヴェラレ、トリコロマ・・ドゥルキオレンス及びトリコロマ・カリガトゥム)」、「トリフ(セイヨウショウロ属のもの)」の号が新設されました。

第15類 バージンオリーブオイルの細分化 (15.09) と微生物由来の油脂の特掲(1515.60)

オリーブオイルの細分化 (15.09)

 これまで、第1509.10号にオリーブオイルのバージン油が特掲されていましたが、今回の改正でさらに次のように細分化されました。

  • 1509.20 エクストラバージンオリーブ油
  • 1509.30 バージンオリーブ油
  • 1509.40 その他のバージンオリーブ油

 これらのオリーブオイルの定義は、IOC(国際オリーブ協会)の規格に沿ったものとなっています。

微生物由来の油脂の特掲

 第15.16項に「1515.60 微生物性油脂及びその分別物」の細分を新設しました。
 他の類においても、油脂には微生物性油脂が含まれることを明確にするために、項の規定等の改正が行われています。

第24類 非燃焼吸引用の物品及びニコチン含有物品の特掲

 第24.04項を新設し、「非燃焼吸引用の物品(ニコチンを含有するかしないかを問わない。)及びニコチンを含有するその他の物品(ニコチンを人体に摂取するためのものに限る。)」をまとめて分類することとなりました。
  この結果、電子タバコ等の非燃焼吸引用の物品は第24.03項又は第38.24項から、ニコチンを人体に摂取するための物品は第21.06項又は第38.24項から第24.04項に移行することとなります。
 なお、電子タバコ用の器具は、今回のHS品目表の改正で第8543.40号に特掲されることになりました。

規制化学物質の貿易モニタリングの強化

 HSコードと世界的な化学物質の貿易管理のページで、化学兵器禁止条約麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書ロッテルダム条約及びストックホルム条約等で規制されている物質の多くが、国際貿易のモニタリングの目的でHS品目表に特掲されていることを説明しました。
 今回のHS改正においても、これら規制物質のモニタリングの強化のための改正が行われています。

第28類 放射性物質のモニタリングの強化

 放射性物質及び同位元素のモニタリングを強化するため、第28.44項及び第28.45項にトリチウム、ホウ素10、リチウム6、ヘリウム3等が特掲された。

オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書のキガリ改正の反映

第29.03項(炭化水素のハロゲン化誘導体)に各種HFC等の特掲

 第29.03項に新たに「非環式炭化水素のふつ素化導体(飽和のものに限る。)」、「非環式炭化水素のふつ素化誘導体(不飽和のものに限る。)」及び「非環式炭化水素の臭素化誘導体及びよう素化誘導体」の3つの細分が設定され、6桁の細分として、次のフロンガス(HFC)等の化合物が特掲されました。これらは、2019年1月1日に発効したモントリオール議定書キガリ改正を反映したものです。

Saturated fluorinated derivatives of acyclic hydrocarbons :

2903.41 — Trifluoromethane (HFC-23)
2903.42 — Difluoromethane (HFC-32)
2903.43 — Fluoromethane (HFC-41), 1,2-difluoroethane (HFC-152) and 1,1-difluoroethane (HFC-152a)
2903.44 — Pentafluoroethane (HFC-125), 1,1,1-trifluoroethane (HFC-143a)and 1,1,2-trifluoroethane (HFC-143)
2903.45 — 1,1,1,2-Tetrafluoroethane (HFC-134a) and 1,1,2,2-tetrafluoroethane (HFC-134)
2903.46 — 1,1,1,2,3,3,3-Heptafluoropropane (HFC-227ea), 1,1,1,2,2,3-hexafluoropropane (HFC-236cb), 1,1,1,2,3,3-hexafluoropropane(HFC-236ea) and 1,1,1,3,3,3-hexafluoropropane (HFC-236fa)
2903.47 — 1,1,1,3,3-Pentafluoropropane (HFC-245fa) and 1,1,2,2,3-pentafluoropropane (HFC-245ca)
2903.48 — 1,1,1,3,3-Pentafluorobutane (HFC-365mfc) and 1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-decafluoropentane (HFC-43-10mee)
2903.49 — Other

Unsaturated fluorinated derivatives of acyclic hydrocarbons :

2903.51 — 2,3,3,3-Tetrafluoropropene (HFO-1234yf), 1,3,3,3-tetrafluoropropene (HFO-1234ze) and Z)-1,1,1,4,4,4-hexafluoro2-butene (HFO-1336mzz)
2903.59 — Other

Brominated or iodinated derivatives of acyclic hydrocarbons :

2903.61 — Methyl bromide (bromomethane)
2903.62 — Ethylene dibromide (ISO) (1,2-dibromoethane)
2903.69 — Other”

ハロゲン化誘導体の混合物を分類する第38.27項の新設

 現在、3824.7に分類されているメタン、エタン及びプロパンのハロゲン化誘導体の混合物は、新設した第38.27項に移行します。
 第6部(化学工業(類似の工業を含む。)の生産品)の他の項に分類される物品と区分するために、新たに第6部注4を設けて「名称又は機能によりこの部の一以上の項に該当し、かつ、第38.27項にも該当する物品は、当該名称又は機能により該当する項に属するものとし、第38.27項には属しない。」旨、明確にしています。

化学兵器禁止条約で規制されている物品

第29類

 現行の第29.31項(その他のオルガノインオルガニック化合物)中の第2931.31号から第2931.90号の細分を削除し、第2931.41号から第2931.59項に新たな細分を設けています。
 第29.30項(有機硫黄化合物)に「2930.10 2-(N・N―ジメチルアミノ)エタンチオール」、第38.33項(複素環式化合物(ヘテロ原子として窒素のみを有するものに限る。))に「2933.35 3―キヌクリジノール」を分類する細分を新設しています。

第38類

  第38.24項には、「3824.92  ポリグリコールのメチルホスホン酸エステル」の号が新設されています。

第39類

 第39.07項(ポリアセタールその他のポリエーテル、エポキシ樹脂及びポリカーボネート、アルキド樹脂、ポリアリルエステルその他のポリエステル(一次製品に限る。))に「3907.21 ビス(ポリオキシエチレン)メチルホスホネート」、第39.11項(石油樹脂、クマロン―インデン樹脂、ポリテルペン、ポリ硫化物、ポリスルホン及びこの類の注3のその他の物品(一次製品に限るものとし、他の項に該当するものを除く。))に「3911.20 ポリ(一・三―フェニレンメチルホスホン酸)」を分類する号が新設されました。

ロッテルダム条約で規制されている物品

 国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質の事前の同意手続き等を定めたロッテルダム条約で規制されている物品について、国際貿易をモニターするために次の改正が行われました。

第29類

 第29.31項(その他のオルガノインオルガニック化合物)に、「2931.54 トリクロロフォン(ISO)」を、第29.32項(複素環式化合物(ヘテロ原子として酸素のみを有するものに限る。)) に、「2932.96 カルボフラン(ISO)」の号を新設した。

第38類

 第3808.59号にトリクロロフォン(ISO)及びカルボフラン(ISO)を含む物品が分類されるように、第38類号注1が改正されています。
 第38.24項には、「3824.89 短鎖塩素化パラフィンを含有するもの」の号が新設されています。

麻薬単一条約で規制されている物品  

 麻薬等の貿易をモニターするために、第29.33項(複素環式化合物(ヘテロ原子として窒素のみを有するものに限る。)) に「2933.34 その他のフェンタニル及びその誘導体」、「2933.35 3-キヌクリジノール」、「2933.36 4―アニリノ―N―フェネチルピペリジン(ANPP)」、「2933.37 N―フェネチル―4―ピペリドン(NPP)」の号が新設されました。
 第29.34項(核酸及びその塩(化学的に単一であるかないかを問わない。)並びにその他の複素環式化合物)に「2934.92 その他のフェンタニル及びその誘導体」の号が新設されました。

爆発物

 爆発物に関する貿易をモニターするために第36.03項(導火線、導爆線、火管、雷管(電気雷管を含む。)及びイグナイター)に次の号が新設されました。

3603.10 導火線
3603.20 導爆線
3603.30 火管
3603.40 雷管(電気雷管を除く。)
3603.50 イグナイター
3603.60 電気雷管

診断用試薬及び医療用の物品(第30類・第38類)

第38.22項(診断用試薬等)の範囲の拡張

 第30類注1の除外規定に「(ij)  第38.22項の診断用の試薬 」が追加されたため、これまで第30.02項に分類されていた診断用試薬が第38.22項に移行することとなりました。また、「3822.11 マラリヤ用のもの」及び「3822.12 ヤブカ属の蚊により媒介されるジカ熱その他の感染症用のもの」の診断用試薬が特掲されました。
 また、血液型判定試薬はこれまでの第3006.20号から第3822.13号に移行することとなりました。

プラセボ及び盲検又は二重盲検臨床試験キットの特掲

 第3006.93項に「プラセボ及び盲検又は二重盲検臨床試験キットで、認可された臨床試験で使用されるもの(投与量にしたものに限る。)」の号が新設されました。

木材(第44類)

 木材を分類する第44類は多くの変更がありますが、その中で特徴的な下記の2点をご紹介いたします。

木質燃料として使用できる材料の特掲

 第44.01項(のこくず及び木くず、薪材並びにチップ状又は小片状の木材)に「4401.32 木質ブリケット」、第44.02項(木炭(植物性の殻又はナットの炭を含むものとし、凝結させてあるかないかを問わない。))に、「4402.20 殻又はナットのもの」の細分が新設されました。

熱帯木材に関する細分の追加

 これまでも多くの項に熱帯木材に関する細分が設けられてきましたが、今回の改正でも、44.07項、44.12項、44.14項、44.18項、4419項、44.20項に熱帯木材等に関する細分が新たに設けられました。

北米材のSPF及びヘムファーを一括分類する号を新設

 SPFはSpruce(トウヒ)、Pine(松)、Fir(モミ)のことをいいます。これらは、北米の針葉樹から切り出される木材で、一体として生育しており、各樹種の性質に大きな違いが無いことから、区別することなく流通しているものです。
 また、ヘムファーはHem(ヘムロック)、Fir(モミ)のことを言います。 これらの木材も、北米の針葉樹から切り出される木材で、一体として生育しており、各樹種の性質に大きな違いが無いことから、区別することなく流通しています。
 SPFを分類する第4407.13号、ヘムファーを分類する第4407.14号を新設し、各樹種を分離して分類することなく一括して分類することが可能となりました。

繊維製品(第11部)

人工芝の特掲(第57.03項)

 人工芝が第57.03項に特掲されました。第5703.21号はナイロンその他のポリアミド製の人工芝、第5703.31号はその他の人造繊維材料製の人工芝となります。

第62.01項及び第62.02項の細分を第61.01項及び61.02項の細分と一致させる

 第61.01項及び61.02項には、メリヤス編み又はクロセ編みの、 第62.01項及び第62.02項には織物製の男性用又は女性用の外衣が分類されます。これまで、それらの項の細分は一致していませんでしたが、 第62.01項及び第62.02項の細分を第61.01項及び61.02項の細分と一致させることとなりました。

炭素繊維及びガラス繊維(第68類・第70類)

炭素繊維の特掲 (第68.15項)

 第68.15項(石その他の鉱物性材料の製品(炭素繊維及びその製品並びに泥炭製品を含むものとし、他の項に該当するものを除く。)に次の炭素繊維を分類する号が新設されます。

6815.11 炭素繊維
6815.12 炭素繊維の織物類
6815.13 炭素繊維のその他の製品

第70.19項(ガラス繊維等)の細分の再構成

 70.19項(ガラス繊維(グラスウールを含む。)及びその製品(例えば、ガラス繊維の糸、ロービング及ガラス繊維の糸及び織物)の細分が大幅に変更になっています。
 「機械的に結合したガラス繊維」と「化学的に結合した化学繊維」を区分するようになりました。

卑金属(第15部)

非鉄金属の棒、形材、線、板、管等の定義の統一

 これまで、非鉄金属(第74類から第81類)の 棒、形材、線、板、シート、ストリップ、はく及び管の定義は各部の部注又は号注で定められていましたが、第15部注7として各部共通の定義となりました。

非鉄金属のくずの細分の新設

 バーゼル条約事務局の提案により、第81類の物品の一部に「くず」を含む細分が新設されています。

機械機器及び電気機器(第16部)

軍事目的に使用される恐れのある機器の特掲

 軍事目的に使用される恐れがある物品の貿易をモニターすることを目的として、次の号が新設されています。

  • 密閉形の生物学的安全キャビネット(8414.70) 
  • 凍結乾燥器、凍結乾燥ユニット及び噴霧乾燥器(8419.33) 
  • 産業用ロボット(8428.70) 
  • 冷間静水圧プレス(8479.73) 
  • 熱間静水圧プレス(8514.11)
  • 電子ビーム炉(8514.31)
  • プラズマアーク炉及び真空アーク炉(8514.32)
  • テレビジョンカメラ、デジタルカメラ及びビデオカメラレコーダー(85.25)
    • 高速度カメラ(8525.81)
    • 対放射線カメラ(85.25.82)
    • 暗視用カメラ(8525.83)

環境問題に資する物品の特掲

 地球環境の改善に資する次の物品が特掲されることとなりました。

  • 太陽熱温水器(8419.12) 
  • 内燃機関から排出された気体の清浄若しくはろ過用の触媒コンバーター又は微粒子捕集フィルター(8421.32)
  • 太陽光発電装置に関する細分の特掲(85.01)
    • 直流光発電機(8501.71及び8501.72)
    • 交流光発電機(8501.80)
  • 光電池等に関する細分の特掲(85.41)
    • 発光ダイオード(LED)(8541.41)
    • 光電池(モジュール又はパネルにしてないもの)(8541.42)
    • 光電池(モジュール又はパネルにしてあるもの)(8541.43)

第84.62項(工作機械)の再構成

 最新の技術の進歩と貿易の増大を反映して、 第84.62項は号の新設を含めて細分が再構成されています。

第84.62項(2022年版テキスト)
 鍛造機、ハンマー及び型鍛造機(圧延機を除く。)(プレスを含むものとし、金属加工用ののに限る。)並びにベンディングマシン、フォールディングマシン、ストレートニングマシン、フラットニングマシン、剪断機、パンチングマシン、ノッチングマシン及びニブリングマシン(引抜き機を除く。)(プレス、スリッター工程及び切断工程を含むものとし、金属加工用のものに限る。)並びにその他のプレス(金属又は金属炭化物の加工用のものに限る。)

3-Dプリンターに関する項の新設

  3-Dプリンターを分類する項として、第84.85項(積層造形用の機械)が新設されました。

スマートフォン及び通信アンテナの特掲

 第85.17項(電話機及び有線・無線通信用機器等)に、「スマートフォン(8517.13)」及び「アンテナ及びアンテナ反射器並びにこれらに使用する部分品(8517.79)」を分類する号が新設されました。
 85類注5が新設されて「スマートフォン」の定義が定められています。

「フラットパネルディスプレイモジュール」を分類する第85.24項を新設

 これまで液晶パネルや有機LEDパネル等のパネルディスプレイモジュールは、第84類、第85類、第90類等の機器の部分品を分類する多数の項に分類される可能性がありました。
 これまでは、モジュールの大きさ、機能、用途等に基づき分類を行ってきましたが、2022年版HSにおいては、一括して第28.24項に分類します。
 第85.24項に分類されるフラットパネルディスプレイモジュールについては、項の規定により、「タッチスクリーンが組み込まれているかいないかを問わない。」とされており、その他の詳細な定義は第85類注7に規定されています。注7では、「ただし、第85.24項には、映像信号を変換する要素(例えば、スケーラーIC、デコーダーIC又はアプリケーションプロセッサー)や他の項の物品の特性を備えたディスプレイモジュールを含まない。」とされており、フラットパネルの最終製品は分類されません。また、「この注7のフラットパネルディスプレイモジュールの所属の決定に当たつては、第85.24項は、この表の他のいずれの項にも優先する。」とされており、特定の物品の特性を備えていないことを条件として、これまでと異なり「~の部分品」として分類する必要がなくなります。

発光ダイオード製品の特掲(第85.39項)

 第85.39項の範囲が拡張され、「発光ダイオード(LED)モジュール(8539.51)」及び「発光ダイオード(LED)ランプ(8539.52)」の細分が新設されました。 この結果、第94.05項に分類されていた一部の物品が第85.39項に分類されることとなります。

半導体デバイスの分類の再構成

 現行の第85類注9を改正し、第85類注12として「半導体デバイス」、「半導体ベース」、「発光ダイオード」等に関する定義を規定しています。
 第8541.51号の「半導体ベースの変換器」には、これまで他の項に分類されていた物品も含まれることになります。 

電子タバコ用器具の特掲

 第8543.40号として「電子たばこ及びこれに類する個人用の電気的な気化用器具」が特掲されます。

電気電子機器のくずに関する項の新設(85.49)

 第85.49項が新設され、「電気電子機器のくず」が一括して分類されます。
 その細分の第8549.11号~第8549.19号までは、現行の第8548.10号(一次電池又は蓄電池のくず並びに使用済みの一次電池及び蓄電池)から移行する物品です。
  第8549.21号~第8549.99号までに分類されるのは、 現在、第38.25項、第70.01項、第71.12項及び第84類、第85類、第90類等に含まれている物品です。

輸送用機器(第17部)

トラックター(87.01)にHV及びEVの細分の追加

 現行の第8701.20号(セミトレーラー用の道路走行用トラクター)を分割し、使用動力別に次の細分が追加されています。

  • ピストン式圧縮点火内燃機関(ディーゼルエンジン又はセミディーゼルエンジン)のみを搭載したもの(8701.21)
  • 駆動原動機としてピストン式圧縮点火内燃機関(ディーゼルエンジン又はセミディーゼルエンジン)及び電動機を搭載したもの(8701.22)
  • 駆動原動機としてピストン式火花点火内燃機関及び電動機を搭載したもの(8701.23)
  • 駆動原動機として電動機のみを搭載したもの(8701.24)
  • その他のもの(8701.29)

貨物自動車(87.04)にHV及びEVの細分を追加

 第8704.41項~第8704.52項には内燃機関と電動機を共に搭載した貨物自動車を、第8704.60項には電動機のみを搭載した貨物自動車を分類する細分が設けられた。
 なお、乗用自動車(第87.03項)には既にこれらの細分が設けられています。

ドローンを分類する項の新設

 第88.06項として「無人航空機」(ドローン)を分類する項を新設しました。
 これまでドローンは、ドローンの能別又は用途に基づき分類されていました。例えばデジタルカメラを搭載したドローンはデジタルカメラの機器として第85.25項に分類されていました。

医療用品・精密機器(第90類)

ロールフィルムを使用する一眼レフカメラ等の細分の削除

 貿易量が減少したことから、35ミリ以下のロールフィルムを使用する一眼レフカメラ(9006.51)、一眼レフ以外で幅が35ミリ未満のロールフィルムを利用するカメラ(9006.52)及び幅が35ミリのロールフィルムを使用するカメラ(9006.53)の細分が削除されました。
 なお、デジタルカメラは第85.25項に分類されます。

インプラント用物品の分類の一部変更(90.21)

 第15部注2(a)に、「(内科用、外科用、歯科用又は獣医のこれらに類する物品科用の物品で専らインプラントに使用するために特に設計されたもの(第90.21項参照)を除く。)及び第90類注1(f)に「内科用、外科用、歯科用又は獣医科用の類参照)物品で専らインプラントに使用するために特に設計されたものは、第90.21項に属する。」の規定を追加し、インプラント用の物品を全て第90.21項に分類することとなりました。
 このため、従来、第73.17項、第73.18項、第81.01項に分類されていたインプラント用の物品は第90.21項に分類されることとなります。

質量分析計の特掲(90.27)

 軍事用にも転用できる物品の貿易をモニターすることを目的として、第90.27項に「9027.81 質量分析計」の細分が新設されます。

家具・遊園地の乗り物・書画骨董(第94類~第97類)

木製家具の細分の新設

 現行の第9401.30号(回転腰掛け(高さを調節することができるものに限る。))、第9401.40号(腰掛け(寝台として兼用することができるもの))、第9401.90号(椅子の部分品)及び第9403.90号(その他の家具の部分品)が分割され、「木製のもの」の細分が新設されました。

LEDを利用した照明器具に関する細分の新設

 第94.05項(照明器具)にLED照明器具の細分が新設されました。

遊園地の乗り物及びウォーターパークの娯楽設備等に関する細分の新設

 第95.08項に次の遊園地の乗り物及びウォーターパークの娯楽設備等に関する細分が新設されました。

遊園地の乗り物及びウォーターパークの娯楽設備
9508.21 ジェットコースター
9508.22 回転木馬、スイング及びその他の回転式の乗り物
9508.23 ダッジム車(Dodgem car)
9508.24 運動シミュレーター及び体験型劇場の設備
9508.25 ウォーターライド
9508.26 ウォーターパークの娯楽設
9508.29 その他のもの

9508.30 興行用設備
9508.40 巡回劇場の設備

書画・標本・骨董等

 国際貿易のモニターや不正取引の防止のために、第97類の各項に次のような細分が新設されました。

  •  第97.01項(書画並びにコラージュ及びモザイクその他これらに類する装飾板)、第97.02項(銅版画、木版画、石版画その他の版画)及び第97.03項(彫刻、塑像、鋳像その他これらに類する物品)に「製作後100年を超えたもの」の細分
  •  第97.05項(収集品及び標本(考古学、民族学、史学、動物学、植物学、鉱物学、解剖学、古生物学又古銭に関するものに限る。))に標本のカテゴリーに基づく細分
  •  第97.06項(こつとう(製作後250年を超えたものに限る。)には、「製作後250年を超えたもの」の細分


 

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