HSコード第13類の物品は一般にはなじみのないものが多いと思います。これは第13類の物品が、食品工業や化粧品の添加物として使用されるものが多いためとも思われます。しかし、寒天や漆はこの類の物品です。
第13類に分類される物品やその派生物・調製品HSコードを見ていきます。
目次
HSコード第13類に分類される物品
第13類には、ラック並びにガム、樹脂その他の植物性の液汁及びエキス等が分類されます。
これらには、通常、他の物質の添加や変性が行われていても良いとされています。
第13類には第33.01項に分類される精油、レジノイド、オレオレジン抽出物、精油のコンセントレート、第40類に分類される天然ゴム等は含まれません。
これらの物質は次のようなものです。
第13.01項に分類される物品
- ラック:コチニール(cochineal)及びカーミズ(kermes)と同じ科に属する昆虫によって数種の熱帯樹木に作られた樹脂様物質
- 植物性分泌物:天然ガム、樹脂、ガムレジン及びオレオレジン
第13.02項に分類される物品
- 植物性の液汁及び植物性のエキス
- 甘草エキス
- アロエエキス
- 除虫菊エキス
- うるし
- コーラエキス
- ペクチン質、ぺクチニン酸塩、ペクチン酸塩
- 植物性原料から得た粘質物及びシックナー
- 寒天
甘草の調製品
甘草は漢方薬として広く使用されています。
また、甘草はその名の通り甘いので、しょ糖の含有量が全重量の 10%を超える甘草エキスは、砂糖菓子として第17.04項に分類されることとなっています。
甘草に含まれるグリチルリチンその他の甘草から得られる物質は消炎作用や美白効果を持つとされ、医薬品のみならず化粧品の原料としても使用されています。
甘草の調製品及び甘草由来の物品のHSコードは次のようになっています。
- ショ糖の含有量が全重量の 10%を超える甘草エキス:17.04
- 菓子として調製されている甘草エキス(ショ糖の含有量を問わない。):17.04
- 甘草根から水とアンモニア水で抽出したエキスを酸性化して得た沈殿物を乾燥し、粉末にしたもの:21.06
医薬品原料及び化粧品原料の粗原料となるものでも、21.06項に分類することとされている。 - 甘草根から抽出したグリチルリチン(化学的に単一あるか否かを問わない。):29.38
- 甘草を用いた漢方薬:30.03又は30.04
第13類の物品と第39類の天然高分子
第13類の粘質物等から精製した天然高分子は第39.13項に分類されます。
これらには次のようなものがあります。場合によってはその商品名だけからは第13類の物品なのか、第39.13項の天然高分子に分類される物品なのか判断できない場合があるので注意が必要です。
寒天・アガロース
寒天(agar)の主成分は、アガロース(agarose) という天然高分子です。アガロースはゲル化しやすい多糖類ですので、生体物質の化学分析や精製の際に使用する電気泳動用のゲルとして用いられるそうです。寒天は第1302.31号に分類されますが、寒天から精製したアガロースは第39.13項に分類されます。
キサンタンガム
キサンタンガムはトウモロコシなどの澱粉を細菌( Xanthomonas campestris) により発酵させて作られます。
発酵期間の後、イソプロピルアルコールと共に成長培地から沈殿し、乾燥され、粉砕されて微粉末になり、液状の媒体に加えられてガムを形成します。このガム状の多糖類は第39.13項に分類されます。