穀物、穀粉及び野菜・芋・果実の粉の調製品は主として第19類に分類されます。
パスタ、ご飯、パンの他、乳児用のミルク、タピオカ、餃子、コーンフレーク、スナック菓子、ケーキ等が含まれます。
目次
- 穀粉及び乳製品の調製食料品(第19.01項)
- パスタ、ラビオリ、餃子(第19.02項)
- タピオカ及びでん粉から製造したタピオカ代用物(第19.03項)
- 穀物の調製品(第19.04項)
- ベーカリー製品(第19.05項)
穀粉及び乳製品の調製食料品(第19.01項)
第19.01項には、次の全く異なる2種類の調製食料品が分類されます。但し、他の項に該当するものは除外されています。
- 麦芽エキス並びに穀粉、ひき割り穀物、ミール、でん粉又は麦芽エキスの調製食料品(ココアを含有するものにあっては完全に脱脂したココアとして計算したココアの含有量が全重量の40%未満のもの)
- 第 04.01項から第 04.04 項までの物品の調製食料品(ココアを含有するものにあっては完全に脱脂したココアとして計算したココアの含有量が全重量の5%未満のもの)
上記1のカテゴリーには、ケーキミックス、パン生地、未加熱の調理ピザ等、各種の物品が含まれます。
上記2のカテゴリーには、乳児用のミルク、アイスクリーム製造用のミックス等が含まれます。
一見、上記の物品は全く異なるカテゴリーに属するように見えますが、穀粉調製品には脱脂粉乳等、各種のミルク成分が多く含まれていることがあります。一つのカテゴリーに纏めるのは、分類の不一致を避けるためには必要なことなのかもしれません。
ココア調製品のココア含有量について
ココアは無脂ココア及びカカオ脂からなっています。ココア調製品にはココアペースト、ココア粉、場合によってはチョコレートが使用されますが、これらの調製品中のココア分は、無脂ココアに換算した含有量により決定されます。ココアは天然物であり、また、様々な成分が含まれています。無脂ココア分を正確に測定することが困難なことから、我が国では、ココアに含まれている特徴的な成分であるテオブロミンという物質とカフェインの含有量を測定して決定します。(関税中央分析所 税関分析法)
パスタ、ラビオリ、餃子(第19.02項)
第19.02項には各種のパスタが分類されます。
この項のパスタは、セモリナ又は小麦、とうもろこし、米、ばれいしょ等の粉を原料として作った未発酵の物品です。
これらは、乾燥したもの(乾麺等)、未乾燥のもの(生パスタ等)、冷凍のものがあります。
この項に分類されるパスタには次のようなものがあります。

- スパゲティー(小麦)
- マカロニ(小麦)
- ヌードル(小麦)
- ラザニア(小麦)
- ニョッキ(馬鈴薯、小麦)
- ラビオリ(小麦)
- カネロニ(小麦)
- うどん(小麦)
- 蕎麦(そば、小麦)
- そうめん(小麦)
- ラーメン(小麦)
- インスタントラーメン(小麦)
- ビーフン(米粉)
- 春雨(馬鈴薯、サツマイモ、トウモロコシ等の澱粉)
- トッポギ(米、小麦)
- 餃子(小麦)
- 焼売(小麦)
- クスクス
この項のパスタには、調理済みのものや、具をセットにしたものがあります。例えば、
- スパゲティー(冷凍したもので、電子レンジで加熱後すぐに食べることが出来るようにしたもの)
- スパゲティーセット(乾麺のスパゲティーとソースをセットにしたもの)
肉・魚介類の調製品
パスタと肉・魚介類の調製品のHSコードは、パスタの形状と肉・魚介類の含有量により異なります。
詰物をしたパスタ
詰物をしたパスタには次のようなものがあります。
- 完全に封じたもの:ラビオリ、餃子
- 端を開けたもの:カネロニ
- 層状にしたもの:ラザニア
これらは、肉・魚介類の含有量に関わらず、第19.02項に分類されます。
詰物をしていないパスタ
詰物をしていないパスタは、肉、魚介類の含有量の合計が全重量の20%を超えるものは第16類に分類されます。
従って、ミートスパゲティで、肉の含有量が全体の20%以上の重量となるものは第16類に分類されます。
第19類注1
この類には、次の物品を含まない。
- ソーセージ、肉、くず肉、血、昆虫類、魚又は甲殻類、軟体動物若しくはその他の水棲(せい)無脊椎動物の一以上を含有する調製食料品で、これらの物品の含有量の合計が全重量の20%を超えるもの(第 16 類参照。第 19.02 項の詰物をした物品を除く。)
タピオカ及びでん粉から製造したタピオカ代用物((第19.03項)
第19.03項には、マニオカでん粉(タピオカ)、サゴでん粉(サゴ)、ばれいしょでん粉(farinoca、potato tapioca、potato sago)及びこれらに類するでん粉(arrow-root、salep、yucca 等)から調製された食品が分類されます。
タピオカは、カッサバ(07.14)の根茎から得られたでん粉から製造される調製食料品です。飲料などに入れられる球状の加工品は「タピオカパール」と呼ばれ、本項に分類されます。
本項には、次の物品は含まれません。
- 第11.06項に分類されるサゴやし又は根若しくは塊茎(第 07.14 項のもの)の粉及びミール
(サゴやしの髄又はマニオカ等の乾燥した根を単にすりつぶすことによって得られる。) - 第11.08項に含まれるマニオカ(カッサバ)でん粉
しばしばタピオカでん粉と呼ばれることがある。
穀物の調製品(第19.04項)
この項には次のような物品が分類されます。
- コーンフレーク
- ポップコーン
- 朝食用のシリアル(グラノーラ、Musli等)
- クリスプサボリ食品(Crisp savoury food products)
- スナック菓子(穀粒(破砕したものを含む。)を加熱処理により膨張させたもの)
(同様の食品で、ドウから作り植物油で揚げた物品は第19.05項に分類される。) - ご飯(調理済みのもの)
- ピラフ(肉・魚介類の含有量が20%以下のもの)
- 中華ちまき(肉・魚介類の含有量が20%以下のもの)
第19.04項には、加工穀物(粉及びミールを除く。)であらかじめ加熱による調理その他の調製をしたものが含まれます(他の項に該当するものを除く。)。
ベーカリー製品(第19.05項)
第19.05項には次のような食品が分類されます。
- パン
- クリスプブレッド
- ラスク、トーストパン
- ジンジャーブレッド
- プレッツェル
- ビスケット、クッキー
- ワッフル、ウエハー
- 各種のケーキ
- 穀粉を使用しないで作ったベーカリー製品(メレンゲ等)
- クレープ、パンケーキ
- キッシュ
- ピザ(あらかじめ生地を加熱調理したもの又は全体を加熱調理したもの)
- スナック菓子(製法によって、第19.04項に分類されるものもあるので注意)
- 煎餅
- 聖さん用ウエハー
- 医療用オブラート
- ライスペーパー
また、主にクリーム、クリームチーズ、ミルク及び砂糖から成るフレッシュチーズケーキ(バター、小麦粉、砂糖及び卵により作られた焼かれたケーキベースを有する。)も第4類ではなく本項に分類されます。日本人の感覚からすると殆ど乳製品ですが、あくまでもケーキ屋で売っているようなケーキベースを有するチーズケーキはベーカリー製品ですので、第19.05項に分類されるというわけです。