第7類の野菜、第8類の果実・ナットの調製品は第20類に分類されます。
 また、第20類には、その他植物の部分の調製品も分類されることとなっています。しかし、第9類から第14類に属する植物の部分の調製品は全て第20類に分類されるわけではありません。
 ここでは、第7類、第8類及び第20類に分類される物品や、第20類に分類されない植物の調製品について見ていくこととします。

目次

塩蔵のもの

 塩蔵の肉や魚はそれぞれ第2類又は第3類に分類されますが、第7類には塩蔵の野菜が分類されることは明記されていません。
 第07.11項には、「一時的な保存に適する処理をした野菜」が分類されることとなっていますが、「そのままの状態では食用に適しないもの」に限定されています。第07.11項の関税率表解説には、「この項に含まれる野菜は、一般に樽又は桶に詰められており、主として加工用の原材料として使用される。」と記載されています。従って、お漬物のように直接食用に供する塩蔵野菜は第7類には分類されません。
 一方、第20.05項には「調製し又は保存に適する処理をしたその他の野菜」が分類されることとなっています。この項の関税率表解説には「サワークラウト(ドイツのキャベツの漬物)」が例示されています。日本の各種漬物もこの項に分類されます。なお、サワークラウトは日本では「キャベツの酢漬け」と表記されますが、食酢(酢酸)を使用しているわけではなく、酸味の元は発酵によるものです。

加熱調理

 第7類の野菜には、冷凍する際に予め蒸気又は水煮により調理することは認められていますが、生鮮、冷蔵のものに熱処理を施すことは認められていません。
 例えば、生のナットは第08.01項又は第08.02項に分類されます。一方、煎ったナットは、第20.08項に分類されます。

乾燥野菜の粉、馬鈴薯、芋及び乾燥した豆の粉

 乾燥野菜で、全形のもの及び切り、砕き又は粉状にしたものは第07.12項に分類されます。
 しかし、次の物品は第11類に分類されるので注意が必要です。これらは、澱粉の製造原料や、スープの原料として使用されます。

  • 第11.05項:馬鈴薯の粉、ミール、フレーク、粒及びペレット
  • 第11.06項:
    • 第07.13項に分類される乾燥した豆の粉及びミール
    • 第07.14項に分類されるサゴヤシの粉及びミール、根茎及び塊茎の粉及びミール
    • 第8類に分類されるナット及び果実の粉及びミール

第20類に分類されない植物の調製品

 次の植物の調製品は第20類には分類されません。

  • 肉類や魚介類を含有する調製品で、これらの含有量の合計が全重量の20%以上のもの
  • 第17類の砂糖菓子
  • 第18類のチョコレート菓子
  • 第19類の穀粉調製品及びベーカリー製品
  • 第21.04 項のスープ、ブロス、スープ用又はブロス用の調製品及び均質混合調製食料品
  • 第22類に分類されるアルコール分が全容量の 0.5%を超える果汁又は野菜ジュース

 その他、次の植物の調製品も第20類には分類されません。

コーヒー・お茶の調製品

 コーヒーは生のもの、煎ったもの及びカフェインを取り除いたものは第09.01項に分類されます。
 お茶は、発酵していないもの、発酵したもの、カフェインを取除いたもの、フレイバーティーは、第09.02項に分類されます。 
 インスタントコーヒー等、これらの調製品は第21.01項に分類されます。

ハーブティー

ハーブティー

 第21.01項には、コーヒー及びお茶の調製品のほか、第09.03項のマテの調製品及びチコリー(第12.12項)その他のコーヒー代用物(いったものに限る。)も分類されます。
 ハーブティーは、使用されている材料や加工方法により次のように分類されます。 

香辛料の混合物

 主として第9類の香辛料からなるハーブティーは、香辛料の混合物として第09.10項に分類分類されます。

  • タイム、ラベンダー、ローズマリーを混合したもの
  • 破砕したしょうがを脱水し、レモングラス、ラズベリーの葉等と混合し、ティーバッグに入れたもの
  • うこん粉末、しょうが粉末、バジル粉末、アロエベラ粉末等を混合したもの

単一の植物からなるのの

 単一の植物のみを使用したハーブティーは、その植物の属する項に分類されます。

  • カモミールティー:1211.90
  • ルイボスティー:1211.90
  • ドクダミ茶:121.90
  • 蝶豆花茶(バタフライピー):1212.99

ハーブの調製品

 第12.11項に属するハーブの混合物は、同項に分類されません。また、植物を煎るなどして調理したものは、一般に第7類から第12類には分類されません。
 これらのハーブティは、通常、他の項に属さない調製食料品として第21.06項に分類されます。

  • みかんの皮を焙煎しティーバック包装したもの
  • りんご、パイナップル調製品、ローズヒップ、もも、カモミール、レモンバーベナを乾燥し、天然香料と混合したもの
  • レモングラス、ペパーミント、ブラックベリーの葉等を乾燥し、ティーバッグに充填したもの
  • スペアミント、ペパーミント、甘草を混合し、乾燥し、ティーバッグに詰めたもの

コンニャク

 コンニャク芋及びコンニャク芋から精製したこんにゃく粉は、第1212.90号に分類されます。
 コンニャク粉から製造されるコンニャクは、他の項に該当しない調製食料品として第2106.99号に分類されます。

第13類の物品の調製品

 第13類には、ラック並びにガム、樹脂その他の植物性の液汁及びエキス等が分類されます。
 これらの物質は次のようなものです。

  • ラック:コチニール(cochineal)及びカーミズ(kermes)と同じ科に属する昆虫によって数種の熱帯樹木に作られた樹脂様物質
  • 植物性分泌物:天然ガム、樹脂、ガムレジン及びオレオレジン
  • 植物性の液汁及び植物性のエキス
    • 甘草エキス
    • アロエエキス
    • 除虫菊エキス
    • うるし
    • コーラエキス
  • ペクチン質、ぺクチニン酸塩、ペクチン酸塩
  • 植物性原料から得た粘質物及びシックナー
    • 寒天

 これらには、通常、他の物質の添加や変性が行われていても良いとされています。

甘草の調製品

 甘草の調製品及び甘草由来の物品のHSコードは次のようになっています。

  • ショ糖の含有量が全重量の 10%を超える甘草エキス:17.04
  • 菓子として調製されている甘草エキス(ショ糖の含有量を問わない。):17.04
  • 甘草根から水とアンモニア水で抽出したエキスを酸性化して得た沈殿物を乾燥し、粉末にしたもの:21.06
    医薬品原料及び化粧品原料の粗原料となるものでも、21.06項に分類することとされている。
  • 甘草根から抽出したグリシルリジン(化学的に単一あるか否かを問わない。):29.38
  • 甘草を用いた漢方薬:30.03又は30.04

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